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【連載】190

食事介助の看護|観察項目・注意点・手順

  • 公開日: 2020/4/23
  • 更新日: 2020/10/22

目次


看護師が食事介助を行う意義

 私たちが食事を摂る意義は、栄養摂取だけではありません。好きなものを食べられる喜びが得られ、コミュニケーションを円滑にするための場でもあります。おいしい食事を楽しく食べたいという患者さんのニーズを理解し、個々の障害に応じた食事介助をすることが、看護師が食事介助をする意義だといえます。
 
 自分で食事を摂ることができない状況は、配膳されている食事がわからない、自力で食事を口元まで運べない、姿勢保持が困難、嚥下障害のために誤嚥の危険性があるなど、さまざまな状況が考えられます。患者さんのニーズと障害の程度に合わせて、できるだけ自分で食事を摂れるよう食事介助することも求められます。

食事介助の目的

 さまざまな障害によって自分の力で食事を摂取できない患者さんの障害の程度に応じて、必要な量を誤嚥せずに摂取できるようにします。また、食事を通して得られる楽しみや喜びも得られるようにします。

食事介助が必要な患者さんの例
・視覚障害のため食事内容がわからない
・脳卒中による麻痺があり姿勢の保持ができない
・治療や検査によりベッド上安静を強いられている、体力の低下のため座位が取れない
・脳卒中による嚥下障害、高齢による嚥下機能の低下がある
・脳卒中による麻痺や関節リウマチのため、箸やスプーンを握ることができない

食事介助の手順

1.患者さんの準備

①患者さんに手洗いを促します。
★POINT:手洗いに行けない場合は、おしぼりを配布します。

②誤嚥を防ぐために、頸部を前屈させ、足底をしっかり床につけた状態にして姿勢を保持します。

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★POINT1:ベッド上で食事をする場合は、膝を軽く屈曲させ、膝下に枕やクッションを当てることで、安定した姿勢を維持します。

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★POINT2:頭部に枕を当て頸部前屈位を保持し、誤嚥を予防します。

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★POINT3:できる限り座位での食事介助が望ましいですが、上体が起こせない患者さんの場合、ファーラー位(半座位)で食事をすることもあります。座位と同様に、頸部が後屈しないように注意します。

③必要に応じて、うがいなどで口腔内を清潔にします。義歯の患者さんには、義歯の装着を促します。

④嚥下機能障害がある場合は、食事前に嚥下訓練(頸部、肩の運動、口唇の周りの運動、舌の運動)をします。

2.配膳

①テーブルの位置を調整します。
★POINT:患者さんが食事内容を見ることができて、食事を口元に運ぶために上肢を動かしやすい高さにします。

②配膳します。
★POINT1:視覚障害のある患者さんでは、トレーを時計の文字盤に見立てて食事を配置します。

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★POINT2:高次脳機能障害で半側空間無視のある患者さんは、障害のない側に配膳します。
★POINT3:上肢や指の動きに障害があり、巧緻性が低下している患者さんには、障害に応じた自助具(皿、箸、スプーン、トレー)を使用します。

3.食事介助

①一口の量は、患者さんの口に入り、咀嚼できる量(小さじにのる程度)にします。
★POINT:咀嚼ができない場合は、必要に応じて刻んである食物にします。

②看護師が全介助する場合は、患者さんの前ではなく横から介助します。
★POINT:顔面に麻痺がある場合は、健側から介助します。

③口の正面からスプーンをまっすぐに入れ、患者さんの舌の中央に食物を置き、口をしっかりと閉じてもらいます。

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★POINT1:顔面に麻痺がある場合は、健側の舌の上に食物を置きます。
★POINT2:患者さんが口を開けない場合、その理由を聞く必要があります。嫌いなものなのか、お腹がいっぱいになったのかなどです。患者さんによっては、口を開けるタイミングがわからないこともあるため、「お口を開けてください」と声を掛けてもよいでしょう。

④食物が咽頭壁付近を通過し、嚥下反射を確認しながら、一口ずつ食事を介助します。
★POINT:唾液量が少ない高齢者、嚥下反射が弱い患者さんの場合、とろみをつけて食事介助します。

⑤口腔内に食物が残っていないかを確認します。

⑥食物残渣がないよう、義歯などを外して口腔ケアをします。

⑦胃食道からの逆流による誤嚥を予防するため、食後30分程度は仰臥位を避けます。

食事介助時の声掛け

 声掛けによって、食事に抵抗を示していた患者さんが前向きになったり、摂取量が増えることもあります。患者さんに楽しくおいしく食べてもらうためにも、適切な声掛けは大切です。

タイミング 声掛けの例
食事前 ・「○○さん、お食事がきましたよ、ベッドから起きましょう」

食事の時間であることを認識してもらいます。

・「今日のメニューは〇〇ですよ」
献立を伝え、食欲を刺激します。

食事中 ・「お好きなものはありますか?」「どれを召し上がりますか?」

食事に興味をもってもらい、食欲を刺激します。

・「食べにくそうな物はありますか?」
食べにくいものをあらかじめ確認し、誤嚥などを起こさないように注意します。

・「次は何を召し上がりますか?」
患者さんが自分で食事摂取できない場合は、食べたいものを確認しながら介助します。

食事後 ・「○○さん、△(量)ぐらい召し上がりましたよ」

食事をきちんと摂取できたことを伝えることで、患者さんの喜びや自信につながります。

・「○○さん、食事は召し上がりましたか? お下げしてよいですか?」
食事を終えてもよいか確認します。

・「お口の中をきれいにして、ベッドに戻りましょうか?」
口腔内を清潔にし、食後を気持ちのよい状態で過ごせるように促します。

食事介助時の観察項目

姿勢

・頸部前屈位かどうか
・姿勢が崩れていないか
・食事に関心をもって見ているか

食事を運ぶ動作

・自助具の使い方:自助具によって自力で摂取しやすい状況になっているか

咀嚼・嚥下

・咀嚼運動ができるか
・嚥下できているか
・むせがないか
・むせる食品はなにか
・口腔内に食物残渣がないか

食事介助の注意点

おいしく食べられるための工夫

・食事をおいしく食べられるよう、手洗いをし、口腔内を清潔にして準備をします。
・温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で提供できるようにします。
・姿勢を整え、自助具を適切に活用し、自らが食べられる喜びを大切にします。

高齢者の食事介助

・唾液の分泌が少なく、咀嚼により嚥下しやすい食塊にするのが難しいため、適度なトロミがある食事が望ましいです。
・義歯が合っているかを確認します。
・咀嚼しやすい大きさに切った食事を用意します。
・嚥下に関与する喉頭を動かす筋群が年齢とともに下降し、飲み込みにくくなるため、一口量を適量にします。

誤嚥予防

 誤嚥とは、食事、水分が気管内に入ることをいいます。誤嚥を防ぐために、食事時は頸部を後屈させない姿勢を取り、咳をして食物を出す力があるか確認します。

食事摂取時間の目安

 食事に要する時間は患者さんにより異なります。「患者さんの姿勢が維持できなくなる」「食事に集中しなくなる」「食事が進まなくなる」などの現象がみられたら、食事量を確認し、終了するかどうか確認するとよいでしょう。

参考文献

●井廻道夫,編:消化器 第4版.メジカルフレンド社,2017,p.385.
●茂野香おる:食事援助の基礎知識.基礎看護技術Ⅱ 第17版.医学書院,2017,p.38.
●藤本真記子,他監:看護がみえるvol.1 基礎看護技術.メディックメディア,2018,p.80-7.