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【連載】今さら聞けない! 基礎看護技術をおさらい

身体(身長・体重・胸囲・腹囲)計測の目的・方法

  • 公開日: 2020/4/13

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知っておきたい!基礎看護技術の根拠・手順・コツ


看護師が身体計測を行う意義

 看護師が身体測定を行ことによって、さまざまな測定値を統合的に見て、発育や健康状態を評価することができます。また、これらの計測がどのような目的で行われ、何に活用されるのかを理解できるため、異常があった場合、問診、視診、聴診などを用いた評価もできます。

 さらに、計測をするための姿勢を保つこと、衣類の着脱など一連の動作を援助すること、露出部に配慮した環境整備も求められるため、看護師が行うとよいでしょう。

身体計測の目的

 身体計測には、一般的に、身長測定、体重測定、胸囲測定、腹囲測定、皮下脂肪計測、握力、肺活量の測定などが含まれます。発育や健康状態を評価し、病状を診断するだけでなく、治療開始や治療評価のために行います。短時間に簡便な方法で身体の発育、健康状態を評価して、治療開始前・開始後の効果の指標を知ることができます。

基準値(平均値)

身長・体重

 身長・体重の平均値は表のとおりです。身長・体重からは体格指数(body mass index:BMI)を算出することが可能で、栄養評価に役立てられます。BMIは「体重(㎏)/身長(m)2」で算出し、25以上は肥満、22は理想値、18.5未満はやせと評価されます。また、体重は、透析患者さんの除水に関する評価としても活用されます。

表 身長・体重の平均値 
身長・体重の平均値

厚生労働省:国民健康・栄養調査.(2020年3月3日閲覧)http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/gaiyo/k-eisei.htmlより引用

腹囲

 メタボリックシンドロームの診断(腹囲、BMI、血圧、血糖値、中性脂肪の値を統合して診断)に用いられ、基準値は男性85㎝未満、女性90㎝未満です。腹囲はほかに、腹水貯留の程度の評価にも活用されます。

身体計測の方法

身長測定

①厚手の上着、履物を脱いだ状態で踏み台に乗ってもらいます

②尺柱に後頭部、背部、臀部、踵部をしっかりとつけてもらい、つま先を30~40度に開いた状態でまっすぐ立ってもらいます(図1)

図1 身長測定
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③肩の力を抜いて正面を向き、視線が水平になるよう顎を引いてもらいます(図2)。

図2 身長測定時の患者さんの視線
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④頭頂部に軽く着くまで横規をゆっくり降ろします。

⑤看護師は、目盛りと同じ高さになるよう視線を合わせて、小数点第一位まで測定値を読み上げます。
★POINT:身長は起床時が最大で、夕方に最少となります。その差は0.5~1.0cmとわずかではありますが、変動があることを考慮しましょう。

⑥測定後は、踏み台から降り、履物を履いてもらいます。

体重測定

①患者さんに合った測定具を選択します
★POINT:両足に同じ重力をかけ、立位が取れるかどうかで測定具を選択します。

②体重計の針が0を指していることを確認します。

③履物を脱いで体重計に乗ってもらいます。
★POINT:バランスを崩して転倒しないよう、ゆっくり架台に乗ってもらいます。看護師は、患者さんを支えられる位置で見守ります。

④小数点第1位まで目盛りを読み取ります。

⑤測定後、転倒しないようゆっくり架台から降りてもらいます。

◆車椅子で測定する場合
 車椅子に乗車したまま測定できる体重計を活用します(図3)。車椅子の重さを差し引いた体重を記録します。

図3 車椅子用体重計(提供:株式会社タニタ)
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◆臥床状態で測定する場合
 バイタルサインの変動が激しく、臥床以外の体位が取れない重症患者さんに対して、腹水や胸水の評価、腎機能不全で透析前後の体重評価が必要な場合は、デジタルスケールベッドを用いて測定します(図4)。掛物の重さなどを差し引いた体重を記録します。

図4 デジタルスケールベッド(提供:株式会社エー・アンド・デイ)
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胸囲測定

①肩甲骨部、乳頭部が確認できる程度に脱衣します。

②立位がとれる場合は直立姿勢、立位が取れない場合は仰臥位にして、上半身がまっすぐになる姿勢にします。

③肩甲骨直下部から乳頭直上を水平に通過するように巻き尺を回します。乳房が大きい場合は乳頭部ではなく、肩甲骨部から乳房上を水平になる部位を測定します。

④呼吸によって胸郭の大きさに変化が生じることを加味して、数回自然に呼吸させ、呼気時を測定します。
★POINT:測定値は小数点1位まで読みます。

腹囲測定

 通常は臥位で行いますが、検診でメタボリックシンドローム判定するときには、立位で行うこともあります。体位によって測定方法が変わるため、注意しましょう。

◆臥位で測定する場合
 ベッドに仰臥位になり、腹筋を弛緩させないため膝関節を伸展してもらい、臍部の高さで測定します(図5)。膝関節の伸展ができない場合は、屈曲した状態で測定します。

図5 腹囲測定
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★POINT:腹水が貯留し、仰臥位で下肢を伸展させることが難しい場合は、屈曲させることもあります。この場合、誤差が生じないように「下肢を屈曲して測定する」と統一します。

◆立位で測定する場合
①両足を揃え、両腕を自然に下した状態で立ってもらいます。

②臍部が確認できる程度に脱衣させます。

③臍部の高さを測定するために水平に巻き尺を巻きます。
★POINT:最大径が臍部ではないときは、測定部位を「最大径が測定できる場所」とすることもあります。測定部位の統一を図るため、場合によっては患者さんに断って、測定部位をマーキングすることもあります。

④呼吸によって腹囲が変化することを加味して、数回自然に呼吸させた後、息を吐き切った状態になった腹部の目盛りを読みます。
★POINT:測定値は小数点1位まで読みます。

身体測定の注意点

・脱衣をするときには、室温24±2℃ですきま風がない環境にします。
・腹囲、胸囲など露出をする場合は、カーテンを閉める、掛物をかけるなどの配慮をしましょう。
・正確な値が測定できる体位にしましょう。ただし、無理な姿勢を取らせて転倒がないよう注意します。

参考文献

●有田清子,他:基礎看護技術Ⅰ 第16版.医学書院,2019,p.106-22.

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