肥満度分類
- 公開日: 2024/6/17
肥満度分類は何を判断するもの?
肥満度分類とは、Body Mass Index(BMI)の数値によって肥満度を分類するスケールです。BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出される数値であり、成人の肥満度を評価する国際的な指標になっています。
肥満は、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMI≧25の場合とされています1)。日本人における肥満者の割合は、男性で約30%、女性で約20%とされ、特に男性は肥満に該当する患者さんが年々増えています2)。肥満になると、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病のほか、心血管疾患など命にかかわる疾患の発症リスクが高まるため、適切な対策が求められているのが現状です。
肥満度分類は、生活習慣病の患者さんの状態把握に活用されるのはもちろん、体重管理を行ううえでモチベーションの一つにもなりえます。また、身長と体重から簡易的に算出できるBMIを用いてスケーリングできることから、医療の場だけでなく、患者さんが自宅で体重管理をするときに活用しやすい点もメリットとして挙げられます。
一方で、BMIは単純に身長と体重のみから算出するため、体脂肪が少なくても、脂肪より重い筋肉や骨量が多いとBMIは高くなります。反対に、筋肉や骨量が少ないと、体脂肪が蓄積していてもBMIは低く算出されます。BMIが肥満に該当しなくても、いわゆる「隠れ肥満」の可能性もあるため注意が必要です。特に生活習慣病のリスクを評価するときなどは、単にBMIの数値だけで判断するのではなく、体脂肪量なども適切に評価する必要があります。
肥満度分類はこう使う!
肥満度分類では、BMIの数値をもとに、肥満の程度を6つの段階に分類します(表)。
肥満度分類で肥満あるいは高度肥満に分類されたからといって、ただちに治療対象となるわけではありません。『肥満症診療ガイドライン2022』では、肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で、医学的に減量を必要とする病態を「肥満症」と定義し1)、治療指針を設定しています。
肥満症の治療には、食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法、外科療法があり、肥満の程度により減量目標や治療内容が変わるため、肥満度分類で患者さんの状態を確認することは重要です。
表 肥満度分類
BMI(kg/m2) | 判定 | WHO基準 | |
---|---|---|---|
BMI<18.5 | 低体重 | Underweight | |
18.5≦BMI<25 | 普通体重 | Normal range | |
25≦BMI<30 | 肥満(1度) | Pre-obese | |
30≦BMI<35 | 肥満(2度) | Obese class I | |
35≦BMI<40 | 高度肥満 | 肥満(3度) | Obese class II |
40≦BMI | 肥満(4度) | Obese class III |
引用・参考文献
2)厚生労働省:令和元年 国民健康・栄養調査報告.p.47.(2024年5月15日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/content/001066903.pdf
●田中逸:肥満と肥満症.健診・健康管理専門職のための新セミナー生活習慣病 第2版.日本医事新報社,2018.