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【連載】看護師のための輸液講座

第1回 カテーテルの種類(中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテルについて)

  • 公開日: 2009/3/8
  • 更新日: 2020/10/22

カテーテルの分類

この輸液管理のセッションを担当することになりました、医療法人川崎病院外科の井上善文です。よろしくお願いします。
輸液管理を理解するためには、輸液を投与するためのカテーテルについて知っておかなければなりません。
そこで、第1回のタイトルとしては『カテーテルの分類』としました。当然ご存じと思いますが、カテーテルは、末梢静脈カテーテルと中心静脈カテーテルの2つに大きく分けられます。

末梢静脈カテーテルの分類と使い分け

末梢静脈カテーテルは、翼付静脈注射針(翼状針: winged steel-needle)とプラスティックカニューレ型静脈内留置針(留置針: over-the-needle catheter)に分けられます。
両者とも持続点滴を行う場合に使いますが、安全性の面からは留置針を使うべきです。
しかし、数時間単位での持続点滴の場合には翼状針が選択される場合もあります。
針刺し防止対策機構がついた翼状針や留置針がよく使われるようになってきています。

中心静脈カテーテルの種類

中心静脈カテーテルをIVHと呼んでいる施設がまだかなり多いようです。
IVHはintravenous hyperalimentationの略で、catheter(カテーテル)という用語は含まれていない、海外ではIVHという用語自体使われていない、のが現状です。
中心静脈カテーテルは、英語ではcentral venous catheterですので、CVCまたはCVという呼称に変更するべきでしょう。中心静脈カテーテルにも、いろんな種類があります。
まずは、短期留置用と長期留置用に分けられます。
長期留置用としては、いわゆるポート(完全皮下埋め込み式カテーテル:totally implantable subcutaneous infusion port)が広く普及しています。

中心静脈カテーテルの種類

また、体外式長期留置用カテーテルであるHickman catheterやBroviac catheterも使われています。

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体外式長期留置用カテーテル

それでは、短期とは、どのくらいの期間を指すのでしょうか。
逆に、長期留置用カテーテルとは、どのくらいの期間を指すのか、考えた方がいいかもしれません。
一般に、長期とは、カテーテルの場合には3ヶ月を目安とすると考えればいいと思います。
ICUや救急領域では、その留置期間が2週間以上になれば、長期留置であると考えるかもしれませんが、私が管理している症例は、在宅静脈栄養法の場合もありますので留置期間は年単位となります。
昔、ICU学会でカテーテル管理についての発表をした時、座長からどうしてカテーテル留置期間がそんなに長いのかという質問を受けたことがあります。
長期留置とは3ヶ月を目安としていると答えましたが、短期留置用カテーテルも、管理がよければ数ヶ月単位での留置は可能です。

短期留置用カテーテルとは

それでは、短期留置用カテーテルとは、どんなカテーテルを指すのでしょうか?
一般的にはポリウレタン製カテーテルのことを指すと思っていただいて結構です。

短期留置用カテーテル

かつては、ポリ塩化ビニル(塩ビ:PVC)製カテーテルが広く使われていましたが、塩ビに含まれている可塑剤の溶出が問題となり、カテーテルとしてはほとんど用いられていません。
現在用いられているのは、ポリウレタン製カテーテルです。
抗血栓性を高めるため、ウロキナーゼやヘパリンでカテーテルの表面をコーティングしたカテーテルも使用されています。
また、抗菌剤コーティングカテーテル(Arrow g+ard blue:クロルヘキシジンと銀が使用されている、Cook SPECTRUM:抗生物質が包埋されている)も外国では使用されています。
残念ながらこれらは現在のところ、本邦では使用されていません。
外国では、カテーテル敗血症予防上、非常に有用であるという報告が多数あります。
最近のカテーテルの大部分はポリウレタン製ですが、シリコーン製のO型シラスコンカテーテルも使用されています。
これは、シリコーン製カテーテルと、翼付き鈍針を接続して用いるタイプで、特に静脈切開法でカテーテルを挿入して皮下トンネルを作成する場合に有利です。

短期留置用カテーテルの挿入方法

短期留置用カテーテルは、挿入方法によって直接穿刺法とSeldinger法に分けられます。
直接穿刺法はdirect puncture法またはthrough-the-cannula法とも呼ばれ、カテーテルの外径よりも太い穿刺針で穿刺し、その外套の内腔にカテーテルを挿入する方法で、本邦ではSeldinger法よりもよく用いられています。
金属針で穿刺してこれを外套としてカテーテルを挿入する方法と、外套付き針(外套はプラスティック製)で穿刺して内針を抜去し、外套内にカテーテルを挿入する方法の2種類があります。
かつては、金属針がよく用いられていましたが、途中まで挿入したカテーテルを引き戻す時、金属針の先でカテーテルを切ってしまうという問題が生じる危険がありますので、現在は外套付き針がほとんどです。
Seldinger法とは、細い穿刺針で血管を穿刺し、その中に細いガイドワイヤーを挿入し、カテーテルはガイドワイヤーに沿わせて挿入するという方法です。
従って血管を穿刺する針は直接穿刺法よりも細く、肺や胸膜、あるいは動脈を穿刺しても、損傷が小さい、という利点がありますが、慣れていないとガイドワイヤーをうまく扱えないでカテーテルを挿入できない場合がある点に注意が必要です。

短期留置用カテーテルの挿入方法

特にダブルルーメンカテーテルやトリプルルーメンカテーテルの場合にはカテーテルの外径が大きいため、直接穿刺法は危険ですので、ほとんどのカテーテルはSeldinger法で挿入することになっています(右図)。
穿刺時の安全性を考えたら、Seldinger法による中心静脈カテーテル挿入がもっと普及しなければならないと思います。

中心静脈カテーテル挿入経路とカテーテルの選択

CVCの挿入経路は、穿刺法、静脈切開法をすべて考慮すると31あります。
左鎖骨上穿刺は胸管を損傷する可能性があるので禁忌としています。
鎖骨下穿刺、内頸静脈穿刺、大腿静脈穿刺が最もよく用いられます。
感染予防の面からは鎖骨下穿刺が推奨されていますが、穿刺時の合併症予防に注意しなければなりません。 
使用するカテーテルとしては、鎖骨下穿刺や内頸静脈穿刺では20cm前後のCVC、大腿静脈穿刺では50cm前後のCVCが用いられます。
また、末梢挿入式中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted central venous catheter)の場合にも50cm前後のCVCが用いられます。
穿刺時の安全性という面ではPICCが最も安全であることは間違いないでしょう。

中心静脈カテーテル挿入経路とカテーテルの選択

PICCは肘の静脈から挿入されている施設が多いようですが、肘を屈曲すると滴下が悪くなる、血栓性静脈炎の発生頻度が比較的高いという問題があります。
それらの問題を解決する方法として、私はエコーで上腕の尺側皮静脈や上腕静脈を穿刺してPICCを挿入しています。

上腕の尺側皮静脈や上腕静脈を穿刺してPICCを挿入している例

この方法であれば、輸液の滴下不良や静脈炎という問題はほぼ解決できます。

中心静脈カテーテルの使用目的とカテーテルの選択

長期にわたる栄養管理や化学療法を行う場合には長期留置用カテーテルを選択するべきですが、必ずしもポートである必要はありません。 持続投与を行う場合にはHickman catheteやBroviac catheterという選択肢もあります。

中心静脈カテーテルの使用目的とカテーテルの選択

重症症例を管理する場合には、マルチルーメンカテーテルが使用されます。
ダブルルーメンカテーテルやトリプルルーメンカテーテルが用いられますが、CVCの多目的使用はカテーテル関連血流感染症(catheter-related blood stream infection:CRBSI)発症の危険性を高めることになるので、シングルルーメンカテーテルよりも厳重な無菌管理が必要である、ということを理解しておかなければなりません。
シングルルーメンカテーテルに多数の三方活栓を用いて管理するよりもマルチルーメンカテーテルを使う方が感染率が低いのか、ということに関するデータはありませんが、適切にマルチルーメンカテーテルを使用すれば感染率を高めずに管理することは可能です。 要は、CVC留置後の維持期の管理が重要である、ということです。
第1回として中心静脈カテーテルの種類と選択について解説しました。次回は輸液ラインの管理について解説したいと思います。ご期待下さい。

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