第14回 経管栄養時の水分投与と薬剤投与
- 公開日: 2015/10/6
ポイント
1.1kcal/mlの標準的な液状経腸栄養剤の水分量は80-85%ほどである。そのため、一般的に経腸栄養管理時には水分補給が必要となる。市販の半固形化栄養剤の多くは、高カロリー濃度(1kcal/ml以上)であるため、やはり、水分補給が必要である。
2.水分投与のタイミングに関して、液状経腸栄養剤、半固形化栄養剤使用時に、その経験と理論から水分補給を栄養剤投与前に行うことを推奨している専門家がいる。
3.錠剤やカプセルを粉砕、開封せずに、そのまま、約55度のお湯に入れて、崩壊懸濁させる方法を簡易懸濁法と呼ぶ。
4.薬剤を粉砕して、水に溶かして注入する方法に比較して、簡易懸濁法は、多くの点でメリットがある。使用直前まで、錠剤やカプセルの状態のまま保管でき、薬品の品質は保たれ、薬の無駄もなくなる。粉末状では薬の内容が分からなくなるが、それも簡易懸濁法ではない。チューブ詰まりも少ない、などである。
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経腸栄養(経管栄養)とは|種類・手順・看護のポイント
1、水分投与
1) 経管栄養時の水分投与の必要性
[1] 液体栄養剤の場合
標準的な経腸栄養剤の濃度は1kcal/mlに調整されています。この濃度の栄養剤の水分量は80-85%ほどです。胃瘻から1kcal/mlの栄養剤を1000ml投与した場合、投与される水分は800-850ml程度ということになり、1000mlの水分が投与されたことにはならないことに注意しましょう。
胃瘻から、必要エネルギー量1000mlの栄養剤が投与されている場合、それと同程度の水分、すなわち、少なくとも1000mlの水分が計算上必要となります。少なくとも150-200mlの水分を補わなくてはなりません。
臨床的には、脱水を予防するうえで、さらにそれ以上の水分量が投与され、必要とされます。経腸栄養剤の濃度の標準である1kcal/mlは、栄養管理をするうえで人間が勝手に設定した値で、この濃度では、栄養剤投与に加えて、水分補給がどうしても必要になるのです。まして、現在市販されている高濃度の経腸栄養剤では、水分補給はさらに必要です。
ちなみに、1.5kcal/mlの栄養剤では、その水分量は約75%、2.0kcal/mlでは約70%が水分となっています。
[2] 半固形化栄養剤の場合
在宅でも広く使われている市販の半固形化栄養剤の多くは、カロリー濃度が1kcal/ml以上で、かなりの量の水分補給が必要となります。