第16回 末梢静脈栄養法PPNと末梢静脈輸液
- 公開日: 2010/6/30
末梢静脈へのカテーテル(カニューラ、留置針)挿入は、ナースが行う施設が増えてきました。となると、末梢静脈輸液のほとんどの管理はナースが行う、ということです。末梢静脈への輸液(栄養)でもカテーテル敗血症になるし、針刺し(事故)の問題もあるし、穿刺時の神経損傷の問題もあるし、本当、安易に「点滴しましょう」なんて言えない時代になっているのかもしれません。
実は、アメリカにはIVナースという制度を持っている施設が増えていて、院内のすべての末梢静脈留置針も挿入しているとのことです。以前説明した、PICC(末梢挿入式中心静脈カテーテル)の挿入もナースがやっている施設があります。実際、エコーガイド下上腕PICC法をアメリカに見学に行った時、手技を教えてくれたのはシンシナチのChrist病院のIVナースだったのです。Christ病院にはIVセンターがあり23人のナースが所属して、24時間体制で末梢静脈留置針も挿入していました。
今回の内容は、その穿刺手技だけの解説ではありません。輸液内容も考えましょう、という内容です。
末梢静脈へのカテーテル挿入
自分が患者になって、採血だけではなくて末梢静脈に留置針を挿入された経験から言うと、スムースに挿入できなくて、皮下などで「探る」という操作をされると、無茶苦茶痛い!これは間違いありません。できたら、一発でスムースに挿入して欲しいものです。本当、皮下で針を動かされると、かなり痛いのです。これは、はっきり言うと、やられた人でないとわかりません。
一発で入れていただくと、「チクッ」ですみますが、なかなか入らないと、「痛い、まだ入らんのか、下手なんと違うか、痛い、本当に痛いぞ、ええ加減にして、早く入れて、ダメなら誰かうまい人に代わって・・・」などと思いながらがまんすることになります。 「私が下手なんじゃないですよ。あなたの血管が細い、出てない、見えない、触れない、からです。私のせいではありません、あなたのせいです」とナースは思っているのかもしれませんが。あ、失礼。
ほとんどのナースは、「痛い?ごめんなさいね」とやさしく思ってくれているはずですよね。さらに、2回も失敗すると患者さんも怒り出す。右手でダメなら左手で、と思っても、もうイヤと拒否する患者さんもいる。「私が苦労しているのは誰のため?あなたのためでしょう?それなのにイヤ?どうしよう。こんな静脈が見えにくい患者さんに末梢点滴の指示を出す井上先生が悪いのよね。自分で入れりゃあいいのに。」と、最後は主治医のせいにしてしまう?