アトピー性皮膚炎の現状と治療
- 公開日: 2021/6/11
アッヴィ合同会社は、2021年4月16日にコンファレンスM+とオンラインにてアトピー性皮膚炎に関するプレスセミナーを開催しました。「アトピー性皮膚炎による患者さんの生活や対人関係への影響〜患者さん1,000人を対象にした疾病負荷調査結果を発表〜」と題し、アトピー性皮膚炎とはどんな疾患なのか、また今回の調査結果からどのようなことがわかったのか、さらに、患者さんの体験談を元に医師が解説するといった講演が行われました。
成人アトピー性皮膚炎疾患の理解・社会の理解
地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター 皮膚科 片岡葉子 先生
罹患率が高いアトピー性皮膚炎
日本でのアトピー性皮膚炎の罹患率は、年齢別に小児では5〜27%、成人では2〜10%となっており、小児だけでなく成人でも罹患率が高い疾患といえます1)。また、近年、成人のアトピー性皮膚炎も増加しています。
アトピー性皮膚炎は重症化すると心身の健康、社会生活の障害にもなります。学生では、かゆみで授業に集中できない、いじめを受けるといった問題もあります。成人ではコントロール不良の患者さんでは仕事の効率が低下するという調査もあります2)。乾燥し症状が悪化することが多い冬には人と約束をしないといった人や、症状悪化により仕事を途中で投げ出してしまったことがある、親に心配をかけたくないのでつらさを訴えることをやめたといった経験をしている成人の方もいます。小児期から青年期に至るまで、人は社会とかかわりをもちながら成長していきますが、アトピー性皮膚炎があるということで社会とのかかわりが阻害されることがあるのです。