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視覚障害の原因疾患 緑内障の割合が40%超

  • 公開日: 2023/4/29

緑内障増加に視覚障害の認定基準改正の影響

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(眼科学)の森實祐基教授と的場亮助教、鹿児島大学大学院医歯薬学総合研究科(眼科学)の坂本泰二教授らの研究グループ(厚生労働省、難治性疾患等政策研究事業、網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班)は、2019年度に視覚障害の実態の全国調査を行いました。

 本調査は、2015年度に行われた第1回目の全国全数調査に引き続いて実施され、新規に視覚障害認定を受けた18歳以上の人を対象に、年齢、性別、原因疾患、等級を調べたものです。

 全国161の福祉事務所から得られた回答を解析した結果、年齢の割合は80~89歳が29.6%、70~79歳が28.2%、60~69歳が15.3%と高齢者がほとんどを占め、視覚障害の原因疾患については、第1位が緑内障、第2位が網膜色素変性、第3位が糖尿病網膜症と、2015年度から順位に変化はありませんでした。しかし、緑内障の割合が28.6%から40.7%へと急増しており、2018年に実施された視覚障害の認定基準改正の影響が大きいとしています。

岡山大学学術研究院医歯薬学域 助教 的場 亮先生のコメント

 身体障害のデータを管理する福祉事務所は全国に161もありますが、今回初めて回答率100%を達成し、精度の高い調査を行うことができました。協力してくださった全国の担当者の皆様に感謝申し上げます。

 緑内障は末期まで症状を自覚しにくく、一度進行してしまうと治療をしても視機能を回復することが難しい病気です。そのため、40歳を過ぎたら自覚症状が無くても目の検診を受けることが重要です。また、すでに緑内障と診断されている方は、今回の基準改正によって新たに視覚障害に認定され、必要な福祉サービスを受けられる可能性があります。一度担当の先生に相談されることをお勧めします。

◆論文情報
・論文名:A nationwide survey of newly certified visually impaired individuals in Japan for the fiscal year 2019: impact of the revision of criteria for visual impairment certification 掲 載 紙:Japanese Journal of Ophthalmology
・著者:的場 亮(岡山大)、守本典子(岡山大)、川崎 良(大阪大)、藤原美幸(岡山大)、金永圭祐(岡山大)、山下英俊(山形市保健所)、坂本泰二(鹿児島大)、森實祐基(岡山大)
・DOI:https://doi.org/10.1007/s10384-023-00986-9

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