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【連載】ICU・HCU看護のQ&A! 皆さんの疑問にお答えします!

IABPのオーグメンテーション圧から判断できることとは?

  • 公開日: 2026/8/20

Q.IABPのモニターに表示される「オーグメンテーション圧」とは何を判断する指標ですか?
A.冠動脈への血流をどれくらい補助できているかを判断する指標になります。

心臓と冠動脈の関係

 「オーグメンテーション圧」を理解するためには、まず心臓と冠動脈の関係を知っておく必要があります。

 心臓は自ら収縮して全身へ血液を送り出しますが、心臓自身を栄養する冠動脈への血流は、心臓が収縮しているときではなく、拡張しているときに流れる仕組みになっています。IABPはこの冠血流のメカニズムを利用した補助循環装置です。心臓が収縮する直前にバルーンをしぼませることで、左心室が血液を送り出すときの抵抗(後負荷)を減らし、反対に心臓が拡張するタイミングに合わせてバルーンを膨らませることで、冠動脈に流れる血液量を増やします。

オーグメンテーション圧とは

 オーグメンテーション圧とは、心臓の拡張期にバルーンが膨らむことにより押し上げられた圧のことで、冠動脈への血流をどれくらい補助できているかを判断する指標になります。

 通常の動脈圧波形では、収縮期に一つの山ができ、拡張期に大動脈弁が閉鎖したサインである小さな切れ込み(ディクロティックノッチ)を作りながら、なだらかに基線に戻っていきます。しかし、IABPが動いているときの波形は大きく異なり、拡張期に見られるディクロティックノッチの直後に、もう1つ大きな山が現れます。この直後に現れた大きな山の圧がオーグメンテーション圧です(図)。

図 通常の動脈圧波形とIABP駆動時の動脈圧波形

通常の動脈圧波形とIABP駆動時の動脈圧波形

 オーグメンテーション圧の山が、患者さん自身の収縮期血圧(自己収縮期圧)の山と同等か、それを上回る高さになっていれば、拡張期の圧が十分に高まり、冠動脈への血流が補助できていると判断できます。反対に、オーグメンテーション圧が自己収縮期圧を下回っている場合は、補助効果が不十分である可能性を考えます。

 IABPが拡張期の圧を上げて冠動脈への血流を補助しているイメージをもつと、モニター上の波形を理解する手助けになります。

オーグメンテーション圧の変動要因と観察ポイント

 オーグメンテーション圧が高いからといって、「心臓の機能が回復している」と判断することはできません。なぜなら、オーグメンテーション圧は、昇圧薬の量や末梢血管の収縮などに影響されるためです。例えば、ノルアドレナリンを増量して血管が収縮すれば、オーグメンテーション圧は高く表示されますし、ドブタミンを増量した場合も同様に高くなります。これは心機能が改善したわけではなく、薬剤の効果で一時的に圧が押し上げられている可能性があるため、全身状態の観察を適宜行っていきます。

 オーグメンテーション圧が低くても、IABP側に原因があるとは限りません。出血や脱水などによる循環血液量の減少、心房細動をはじめとする不整脈の出現、バルーンの駆動タイミングのズレなど、数値が低くなっている要因を一つひとつ確認していくことが求められます。

 つまり、オーグメンテーション圧の数値だけを見るのではなく、IABPモニター上の自己圧、平均動脈圧、尿量、意識レベル、末梢皮膚の冷感、乳酸値の推移、モニター心電図や12誘導心電図の変化など、患者さんの現在の状態や治療の経過を踏まえて考えていく必要があるということです。

機器トラブル・合併症の早期発見のポイント

 IABP側のトラブルや合併症を早期に発見することも、看護師の重要な役割です。IABPが留置されている間は、下記のポイントを定期的に観察しましょう。

●トリガーが正しく拾えているか
●心電図や血圧の波形が乱れていないか
●バルーンの破裂やガス漏れを示すアラームは出ていないか
●カテーテル刺入部に出血や血腫がみられないか

 また、カテーテル挿入に伴う下肢虚血を防ぐため、挿入側の下肢の足背動脈の触知、皮膚色や冷感の確認もあわせて行います。

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