モニター心電図の波形が急に低電位に! 心臓の異常を疑うべき?
- 公開日: 2026/8/9
「低電位=心臓の異常」とは限らない
心機能が低下して心停止に近づくと、波形は徐々に平坦化して低電位になっていきます。それだけに、急に低電位の波形が現れると「心臓に何か起きたのかもしれない」と不安になる気持ちはよくわかります。
しかし、波形が小さくなる原因としては、心臓の異常よりもモニター側の問題であることのほうが多い傾向にあります。そのため、心臓の異常と思い込まず、「患者さん側の要因」と「モニター側の要因」とに分けて原因を探っていくことが大切です。
「患者さん側の要因」の確認
低電位に限らず、心電図の波形が急に変化した際に優先すべきなのは、ベッドサイドに足を運び、患者さんの状態を直接確認することです。心臓に重大な変化が生じていれば、緊急対応を行う必要があるためです。バイタルサインの変化に加え、意識レベル、冷汗、呼吸状態(頻呼吸)などを確認し、循環動態に影響が出ていないかアセスメントします。
また、心タンポナーデによる心嚢液の貯留、気胸による胸腔・皮下の空気貯留、慢性閉塞性肺疾患(COPD)による肺の過膨張などにより、低電位が生じている可能性もあります。こうした患者さんの状態変化を見逃さないよう確認を行うことが大前提となります。
「モニター側の要因」の確認
緊急対応の必要がないことを確認できたら、モニター側に問題がないかチェックを進めます。
心電図の波形は、電極に向かってくる電気的刺激は上向き、離れていく電気的刺激は下向きに示されますが、波形の高さは心臓の電気的活動の大きさだけで決まるわけではありません。身体に貼付している電極が電気的刺激を「どの方向、どの距離、どの条件」で拾っているかによっても変わります。そのため、急に低電位のような波形になっても、心臓の動きが弱くなったとは限らないのです。
発汗や清潔ケアの影響による電極の密着不良、皮膚に残った保湿剤や軟膏による接触不良、体位変換や頭部挙上(ヘッドアップ)に伴う電極位置のズレが原因となることもありますし、検査や処置で同じ電極を何度も貼り直しているうちに粘着力が低下して、うまく貼れなくなることもあるでしょう。ケアや検査などに伴い、電極の貼り替えや再装着を行った際は、モニターの心拍数と実際に触診した脈拍数が一致しているか、QRS波が表示されているかを確認します。
また、波形の見え方は誘導の変更により改善することもあります。例えば、Ⅱ誘導で低電位に見えても、別の誘導では十分に大きなQRS波が表示されることがあるため、誘導の変更は有効な手段の1つとなります。臨床工学技士などと連携し、モニターの感度や表示スケールの設定を確認するのもよいでしょう。
これらの確認や対応を行っても急な低電位の原因が特定できない場合は、たとえ患者さんの状態が安定していても医師へ報告し、チームでも情報を共有して継続的に観察していくことが必要です。
