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【連載】循環器看護のQ&A! 皆さんの疑問にお答えします!

「ポーズ」と「洞停止」は何が違う?

  • 公開日: 2026/2/26

Q.モニター心電図の「ポーズ」と「洞停止」は何が違うのでしょうか? それぞれの波形の特徴や必要な対応を教えてください。
A.ポーズは「波形が停止した現象全般」を指すのに対し、洞停止は「ポーズの原因の1つ」を指すという違いがあります。いずれの場合も循環動態の確認や要因を評価し、チームで対応していきますが、一時的な要因によるものか、疾患によるものかによって、対応の優先度が異なります。

刺激伝導系のメカニズムと波形が変化する要因

 まず、心臓の解剖生理をおさらいしましょう。

 心臓は電気的刺激によって収縮しており、その起点は洞房結節にあります。電気的刺激が洞房結節→房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ線維へと順に伝わり(刺激伝導系)、この電気的な興奮に連動して心筋細胞が収縮することで、心電図ではP波やQRS波として現れます(図)。

 電気的刺激の速さやリズムは、自律神経(交感神経・副交感神経)や電解質のバランスによって変化し、それに伴い心電図の波形や心拍数も変化します。

 また、心臓そのものの状態だけでなく、循環血液量、低酸素血症、高二酸化炭素血症などの全身状態によっても心臓の動きは変化します。例えば、脱水で頻脈が生じている患者さんに遭遇した経験をもつ人もいるのではないでしょうか。これは、脱水で循環血液量が減少すると、心臓が低下した拍出量を補い、全身の血流を維持しようとして心拍数を増加させるためです。

 このように、心電図の波形は心臓そのものの異常のみならず、全身のさまざまな要因に左右されることを知っておくことが、ポーズの評価において重要です。

図 刺激伝導系

ポーズと洞停止の違い

 次に「ポーズ」と「洞停止」の違いを整理します。どちらも「刺激伝導系に何らかの異常が生じ、心電図の波形が一時的に途切れる状態」を指しますが、用語としての定義だけでなく、臨床における判断や対応の優先度も異なります。

ポーズとは

 ポーズとは、本来出るべきタイミングで電気的刺激が発生せず、R-R間隔が延長した(波形が停止した)現象全般を指す言葉です。

 モニター心電図で「ポーズがある」という場合、多くはP波が途絶えてみえますが、これだけでは洞房結節に異常が生じているとは言えません。ポーズにはさまざまな要因が考えられ、例えば、薬剤(β遮断薬、抗不整脈薬など)の影響、電解質異常(高カリウム血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症など)、気管吸引・体位変換・排便などによる迷走神経反射といった一時的な要因で起こることもあります。この場合、原因を取り除けば波形は正常に戻るため、洞房結節の異常である可能性は低いと考えられます。

洞停止とは

 洞停止とは、ポーズが生じる原因の1つで、洞房結節の電気的活動そのものが停止している状態を指します。洞房結節から電気的刺激が発生しないため、R-R間隔が延長した波形がみられます。

 洞停止でもP波が途絶えてみえますが、特に注意したい要因として、洞房結節が障害されて起こる洞不全症候群(SSS)があります。SSSに対する適切な治療が開始されなければ、ポーズが頻発したり、停止時間が延長したりするリスクがあるため、一時的な要因によるポーズと比較して、対応の優先度を高める必要があります。

 以上のことから、ポーズと洞停止の関係を整理すると、「洞停止(洞房結節の異常)の結果としてポーズが生じている」と言えますが、「ポーズが生じているからといって、必ずしも洞停止とは限らない」ということになります。ポーズという現象に遭遇した際、それが一時的な要因によるものなのか、あるいは洞停止によるものなのかを見極めることが重要です。

ポーズ、洞停止がみられた場合の対応

 ポーズであれ洞停止であれ、モニター心電図で一時的なR-R間隔の延長を確認した際は、循環動態が適切に保たれているかを観察します。

 モニター上で心拍数がすぐに回復したとしても、実際に有効な拍動が行われ、循環動態が安定しているかどうかは、患者さんの様子を直接確認しなければ評価できません。そのため、患者さんの表情を観察し、冷汗、めまい、意識障害などが生じていないかを確認します。同時に、患者さんに触れて、橈骨動脈または頸動脈で脈拍を触知できるか確認を行います。

 ポーズや洞停止により一時的なR-R間隔の延長を認めても、それ自体が循環動態の破綻を起こしていなければ、落ち着いて対応して問題ありません。ただし、SSSなどの疾患が疑われる場合や、ポーズの時間が3秒を超える場合などは、再発や停止時間の延長のリスクがあるため、警戒感をもって対応することが求められます。バイタルサインなどの情報を整理したうえで、医師への報告やリーダー看護師への情報共有を行い、チームで対応していきましょう。

イラスト/早瀬あやき

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