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【連載】吸引困難5大ケースを攻略する!

第6回 体位排痰法をマスターしよう!

  • 公開日: 2014/2/16
  • 更新日: 2021/1/5

今回は困難ケースの解説をお休みして、ここで体位排痰法の手順について解説します。
患者さんの全身の状態を十分にアセスメントした上で、手早く実施しましょう。

長期臥床患者さんによくある左下葉貯痰への体位排痰法

術後や意識のない患者さんは、仰臥位で長時間過ごすことにより、左下葉などに分泌物が溜まりがちです。
自力での喀出が困難な患者さんには、体位排痰法で痰を移動させます。

例えば、胸部X線や聴診などで痰が左下葉に溜まっている部位を確定したら、その部位が上になるようにポジショニングします。
望ましい体位はギャッジアップした前傾60°です。数十分くらいで痰が移動するといわれているので、胸の聴診などで評価していきます。
患者さんの状態によっては禁忌となる体位もあるので、事前に確認しておくことが大切です。また、この前傾60°の姿勢は、つらい体位になる患者さんもいるので、調整が必要となります。

例えば、いきなり60°にすると循環動態に影響が出るので、循環動態を見ながら、最初に20~30°後方に傾けた側臥位をとり、次に60°傾け、循環動態が安定したら身体を垂直にし、その後前傾60° の姿勢を維持します。

数十分たったら40~60°ギャッジアップから背面開放座位、端座位を目指すようにします。前傾60°の度体位保持時間については、痰は前述のように、数十分を目安に音を聞きながら評価して、維持する時間を決めるといいでしょう。

(左)後傾20~30°イラスト図(右)後傾60°イラスト図

(上)後傾20~30°
(下)後傾60°

(左)垂直イラスト図(右)前傾60°イラスト図

(上)垂直
(下)前傾60°

※続いては、「体位排痰法の基本」について解説します。
>> 続きを読む

 

体位排痰法の基本

痰の貯留している肺区域から、重力を利用して、痰を中枢気道に移動させるのが、体位排痰法です。
例えば右側臥位の患者さんの場合、下側になっている右肺に分泌物が溜まりやすくなるので、左側臥位にすることで重力により痰が下に流れ落ちるようにします。こうして肺胞から中枢気道に分泌物を移動させることで、肺胞の換気血流比の改善、機能的残気量の正常化促進が期待されます。

基本的に手技はそれほど難しくありません。
アセスメントによって痰の貯留部位が確定されたら、その部位が最も高い位置にくる体位をとります。そのとき、痰の貯留する肺区域と重力の作用を考慮し、末梢気道から中枢気道へ痰の移動排出をうながす体位をとる必要があります。
このときの体位が不適切だと十分な効果が得られないので、痰が貯留する肺区域の確定はとても重要です。

貯留する肺区域を確定するには、必ず聴診、触診、胸部X線、腹部CT所見などによって評価します。
体位の保持時間に決まりはなく、患者さんが苦痛に感じなければ1時間半から2時間程度、同一体位を保持してもかまいません。

体位排痰法で注意したいのは、体を動かすことで循環動態に影響を及ぼす可能性があること、体位によってリスクがあるということです。全身状態を十分にアセスメントした上で実施しましょう。
特に肺疾患の患者さんで喀血や血胸などのある片肺を上にした体位をとると、下の健康な肺に分泌物が流れ込んでしまうことがあるため、実施できる体位が限られているので、工夫が必要です。

肺野の分類

肺野の分類説明図

右肺

上葉

  1. S1:肺尖区
  2. S2:後上葉区
  3. S3:前上葉区

中葉

  1. S4:外側中区
  2. S5:内側中区

下葉

  1. S6:上-下葉区
  2. S8:前肺底区
  3. S9:外側肺底区

左肺

上葉

  1. S1+2:肺尖後区
  2. S3:前上葉区
  3. S4:上舌区
  4. S5:下舌区

下葉

  1. S6:上-下葉区 ※:上枝下-下葉区
  2. S8:前肺底区
  3. S9:外側肺底区

修正した排痰体位

仰臥位 S1、S3、S8説明イラスト

a:仰臥位 S1、S3、S8

腹臥位 S6、S10説明イラスト

b:腹臥位 S6、S10

側臥位 S9、患側上の肺野説明イラスト

c:側臥位 S9、患側上の肺野

前傾側臥位(45°)S2、S6、S10説明イラスト

d:前傾側臥位(45°)S2、S6、S10

後傾側臥位(45°)、S4、S5説明イラスト

e:後傾側臥位(45°)、S4、S5

  1. a:仰臥位(肺尖区、前上葉区、前肺底区)
  2. b:腹臥位(上-下葉区、後肺底区)
  3. c:側臥位(外側肺底区、患側上の肺野)
  4. d:前傾側臥位(後上葉区[上-下葉区、後肺底区])
  5. e:後傾側臥位(中葉、上-下舌区)

※患者状態に問題がなければ、dの前傾側臥位60゜、eの後傾側臥位60゜が最も効果的とされる

(ナース専科マガジン2012年12月増刊号『一冊まるごと呼吸ケア』より転載)

次回は、「吸引困難ケース(4)」について解説します。

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