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【連載】急変対応マニュアル

【急変事例】人工呼吸中に気道内圧のハイアラームが鳴った

  • 公開日: 2014/2/19
  • 更新日: 2020/10/21

「急変対応の思考過程」に沿って事例で考えてみましょう。「急変対応の思考過程」の1「おかしさに気づく」は満たすものとして、2以降の流れで考えていきます。


事例 人工呼吸中に気道内圧のハイアラームが鳴った

肺炎で入院中のDさん(55歳・男性)は、人工呼吸器を装着しています。設定は、SIMVで呼吸数が12回/分、1回換気量は500mlで同調し、SpO298%でした。しかし、気が付くと呼吸数が24回/分になっており、気道内圧のハイアラームが鳴っていました。その時の血圧は100/80mmHgで、脈は120回/分、SpO288%でした。

2 なぜおかしいと感じるのか?

呼吸数が12回/分から24回/分と頻呼吸になっており、脈も120回/分と頻脈で、気道内圧が上昇しており、明らかに変化が起こっています。また、脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)が20mmHgとかなり低くなっている点にも、注目する必要があるでしょう。

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3 何が起こったのか? どんな可能性があるか?

  1. 原疾患である肺炎が悪化した
  2. 肺炎であることから、痰詰まりが起こった
  3. 人工呼吸器の影響で緊張性気胸が起こり、ショック状態になっ

4 同定するために足りない情報は何か?

まずは可能性を精査する(否定できる可能性はないか)

  1. 肺炎の悪化
  2. 痰詰まり 肺雑音があれば、肺炎の悪化か痰詰まりが考えられます。
  3. 緊張性気胸 片肺または部分的に呼吸音が聴こえなければ、緊張性気胸が考えられます。

** 肺炎の悪化あるいは、緊張性気胸であることを同定(あるいは否定)する**

まずは、緊張性気胸の可能性を優先します。血液ガスデータや呼吸音の左右差の有無、胸郭運動低下の有無などの情報が必要です。患側の呼吸音が聴こえず、患側の胸郭が上がっていなければ、緊張性気胸の確定診断を行うために、胸部X線の情報も必要です。このときに、肺炎の状態も確認できます。

5 緊張性気胸だとしたら、何をするか?

ここでは、危険度の高い緊張性気胸について考えます。緊張性気胸であれば、すぐに脱気しなければならないので、胸腔穿刺か胸腔ドレナージを行います。前述のとおり確定診断のためには胸部X線撮影が必要ですが、緊急性の高い場合は、すぐに胸腔穿刺か胸腔ドレナージを行うこともあります。

脱気後は呼吸音を聴取し、バイタルサインをチェック、血液ガスなどをモニタリングします。そして、再度胸部X線撮影を行い、気胸の状態が改善されているかを確認します。

6 そのために看護師ができることは何か?

まずは人を呼び、医師へ連絡します。そして、バイタルサインやSpO2のモニタリングを行い、トロッカーカテーテルや縫合セット、チェストドレーンバッグなど胸腔ドレナージの準備をします。

トロッカーカテーテルを挿入したからといって、確実に脱気できているとは限らないので、脱気後の観察も大切です。患側の呼吸音がしっかり聴こえるようになったか、血液ガスデータやバイタルサインは改善したか、チェストドレーンバッグからエアリークがあるかどうかなどを、引き続きみていく必要があります。その上で、胸部X線撮影の手配・準備をします。

また、人工呼吸器の設定などを、再検討する必要もあるでしょう。この事例の場合、SIMVが1回換気量500mlで設定されています。以前は「体重1kgあたり換気量10ml」を目安にしており、例えば「50kgの人なら500ml」としていました。しかし最近では、設定量を少なめにしたほうが気胸が起こりにくいとされています。その目安はおおよそ「体重50kgの人の場合350ml」とされていることから、500mlという1回換気量は多かったかもしれません。

(『ナース専科マガジン』2012年6月号より転載)

次回は「事例にそって考える急変対応(その5)」について解説します。