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【連載】看護師のための口腔ケア

第2回 器質的口腔ケアと機能的口腔ケアの効果

  • 公開日: 2009/3/30
  • 更新日: 2020/10/22

器質的口腔ケアの目的と効果

器質的口腔ケアの目的

器質的口腔ケアの目的は、口腔衛生状態を改善し、細菌叢を正常化することにあります。つまり、口腔清掃により口腔内細菌を減少させるというのが狙いです。そのために、食物残渣を除去し、歯・義歯や口腔内粘膜、舌を清掃します。ポイントとなるのは歯の清掃だけではなく、舌を含め口腔内すべてを満遍なく清掃するということです。

歯の清掃法

歯の清掃には、歯ブラシを使用します。特に高齢者の場合、歯肉が弱っている患者さんも多いので、歯ブラシはソフトなものをおすすめします。歯垢(プラーク)は柔らかいため、ブラシの毛先で軽くブラッシングすれば十分です。決してゴシゴシと力を入れて磨く必要はありません。

歯垢ではなく歯石がついている場合は、歯科医師や歯科衛生士に歯石除去をお願いします。歯垢は歯ブラシで落とせますが、歯石は専用器具を使わないと除去できません。また、残存歯が少なく、歯間が空いている場合などは、ヘッドの小さいワンタフトブラシや歯間ブラシも併用するとよいでしょう。

口腔粘膜の清掃法

口腔粘膜の清掃には、専用の球状ブラシを使用すると便利です。後述しますが、球状ブラシは口腔粘膜の清掃とストレッチを同時に行うことができます。球状ブラシがない場合は、ガーゼ、スワブ(綿棒)、スポンジブラシなどを使用します。

舌苔の清掃法

舌苔とは舌に付着した汚れのことです。清掃には、専用の舌ブラシを使用すると簡単に除去できます。このほか、口腔ケア用の球状ブラシ、柔らかい歯ブラシ、ガーゼなどで代用することも可能です。舌苔の細菌が増殖すると、口臭の原因になります。

しかし一方で、舌苔は口腔内の細菌バランスを保っている一面もあるので、無闇に取りすぎないようにします。

乾燥した口腔の清掃法

唾液の分泌量が減少している高齢者や、放射線治療中などの患者さんは、口腔が乾燥している傾向があります。そのため粘膜が過敏になっているので、無理なケアを行うと出血する可能性もあります。こういった場合は、ケアの前に状況に応じて保湿剤を使うなどして、口腔内を湿潤しておく必要があります。また、ブラシによる清掃自体が口腔への刺激になるため、唾液の分泌を促す効果があります。

器質的口腔ケアの効果

器質的口腔ケアによる、清掃や細菌減少のおもな効果は以下のとおりです。

  1. 口腔の爽快感や清涼感
  2. むし歯や歯周病など口腔疾患の予
  3. 舌苔の除去により、口臭を軽減
  4. 口腔乾燥の緩和
  5. 誤嚥性肺炎の発症リスクを低減

機能的口腔ケアの目的と効果

機能的口腔ケアの目的

機能的口腔ケアのおもな目的は、摂食・嚥下機能の改善です。口から食べるための機能を維持、あるいは回復するためのケアで、わかりやすく言い換えれば口腔リハビリテーションということになるでしょう。このほか、呼吸や発話の機能改善にも、機能的口腔ケアは役立ちます。

摂食・嚥下訓練

摂食・嚥下訓練とは、捕食から咀嚼、食塊形成、移送、嚥下まで、一連の流れを正しく行えるようにするための訓練です。どの部分に障害があるかを見極めて、口腔周囲筋や舌の運動・マッサージを行い、機能回復を図ります。ただし、摂食・嚥下障害のある患者さんは、自発的な運動・訓練ができない場合もありますので、ケア術者が直接マッサージを行ったり、サポートをしてあげる必要があります。

また、口腔周囲筋は外側からだけでなく、口腔ケア用の球状ブラシなどを使って、頬粘膜などを内側からマッサージしてあげることも非常に効果的です。

唾液腺マッサージ

唾液の分泌促進は、口腔内の浄化をはじめ、摂食・嚥下機能をスムースにするためにも重要です。そこで、唾液の分泌を促す方法の一つとして、唾液腺マッサージが有効になります。耳下腺、顎下腺、舌下腺の3大唾液腺を、指で刺激するようにしてマッサージを行います。

機能的口腔ケアの効果

機能的口腔ケアによる、口腔機能の維持・回復のおもな効果は以下のとおりです。

  1. 口から食べる(経口摂取)機能の維持・改善
  2. 呼吸や発話に関する機能の維持・改善
  3. 唾液分泌の促進
  4. 誤嚥性肺炎の発症リスクを低減

免疫を高める効果

さらに、免疫の観点からも「口から食べられる」ことは、非常に重要なポイントとなります。経鼻管や胃瘻など非経口による栄養摂取が長期化すると、腸管粘膜萎縮を起こし、感染症への抵抗力が減少します。つまりヒトの免疫力は、口から食べることによって、維持向上できる仕組みになっているのです。そして、この免疫力アップこそが、誤嚥性肺炎をはじめ、さまざまな疾患予防につながっていくのは言うまでもありません。

口腔ケアとは、器質的口腔ケアと機能的口腔ケアの2つが実施されることによって、より高い効果を生み出します。しかし現状では、歯の清掃など器質的口腔ケアの一部を行っている、看護介護の現場も多いようです。ぜひ、口腔ケア本来の効果や適切な方法を知っていただき、バランスの良い口腔ケアを実践ください。

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