第1回 振り返る大震災ー震災から1ヶ月後までの状況
- 公開日: 2014/3/18
2011年3月11日に地震が発生したあとさまざまなことが次々と起こり、合わせて国内外からの災害救助や医療支援が行われました。震災から災害に至った経緯を時系列でたどりつつ、どのタイミングでどんな支援が行われたのかを振り返ります。また、災害看護支援機構理事長の山﨑達枝さんの活動も時系列でたどっていきます。
震災直後
3月11日
■出来事
- 14時46分、三陸沖を震源とするM9.0の巨大地震が発生
- 宮城県栗原市で震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県で震度6強を観測
■行政・医療関連支援の動き
- 各地で停電
- JR東日本の5新幹線終日運休
- 東北や関東地方で約840万戸停電、断水やガス停止も相次ぐ
- 日赤医療センターDMAT、日本赤十字社の12の支部から救護班1班の派遣を決定、出発
■災害医療センターDMATの活動
看護師の江津郢ォさんを含めた調査ヘリチーム、宮城県に向かう
■出来事
- 津波が発生
- 宮城、岩手、福島をはじめ、東北の沿岸部が被害にあう
■行政・医療関連支援の動き
- 地震の発生を受け、原子力災害対策特別措置法の規定に基づき、福島原子力発電所周辺3km以内に避難を指示
■出来事
- コスモ石油千葉精油所(千葉県市原市)ブタンブチレン貯槽の支柱が折れ、破損。ガス漏れ火災
■行政・医療関連支援の動き
- 自衛隊派遣を決定
- 災害用伝言板、安否確認サイトが立ち上がる
- 11日夜都内で帰宅難民は10万人以上
3月12日
■出来事
- 3時59分、長野県栄村で震度6強、M6.7
■行政・医療関連支援の動き
- 気象庁が「平成23年東北地方太平洋沖地震」と命名
- 国境なき医師団の2つのチームが岩手県、宮城県入り
■出来事
- 12時時点、東北、関東地方で停電は計510万戸
- 夕、いまだ東北地方は約368万戸停電
■行政・医療関連支援の動き
- AMDA、第一次派遣者出発。医師、看護師ら
■出来事
- 15時36分、福島第1原発1号機で爆発、避難指示を半径20kmに拡大
■行政・医療関連支援の動き
- 都内では5人が死亡、70人以上がケガ
■出来事
- 断水17道県、140万戸で
■行政・医療関連支援の動き
- 東北道、常磐道など一部区間を緊急交通路に指定
3月13日
■行政・医療関連支援の動き
- 第2原発の10km圏内に暮らす住民に避難を促す
- 東電、14日から計画停電実施を発表
災害看護師・山﨑達枝さんの被災地活動リポート
活動1 3月12~13日
12日夕方、集合先の福井県でレンタカーを借り、富山・新潟経由で13日に福島県看護協会入り。福島県看護協会長のご尽力により、医療支援のための緊急車両として認められたため、スムーズに現地入りすることができた。福島県は電気、ガス、水道のライフラインが途絶えた状態。
福島県看護協会では県内の医療機関とファックスによる被害状況の情報収集を行っていたが、医療者の安否確認ができない状態が続いた。原子力の問題が浮上し、情報の不足から専門家による適切な情報とアドバイスが必要であった。
震災から3日後の状況
3月14日
■出来事
- 11時過ぎ、福島第1原発3号機で水素爆発。11人が負傷
■行政・医療関連支援の動き
- 自衛隊が福島第1原発の20km圏内の病院、施設の患者や入所者の搬送を開始
3月15日
■出来事
- 6時15分頃、福島第1原発2号機で、原子炉格納容器の圧力抑制プール付近で爆発音。プールが損傷したもよう、と発表
■行政・医療関連支援の動き
- 福島第1原発から半径20km以内の住民への避難指示に加え、新たに20~30kmの住民にも屋内退避を指示
- 昭和大学医療救援隊第1陣を派遣
■出来事
- 9時40分頃、福島第1原発4号機の原子炉建屋で出火
- 22時31分、静岡県東部でM6.4、震度4以上を観測。富士宮、富士宮野中では震度6強
■災害医療センターDMATの活動
3月16日
- 看護師の熊倉英高さんを含めた放射線医療チーム、福島県に向かう
災害看護師・山﨑達枝さんの被災地活動リポート
3月14~15日
14日、宮城県看護協会入り。宮城県看護協会では住民にトイレの使用や携帯電話の充電ができるように協会施設を提供。在宅看護を受けている患者さんのもとへヘルパーが行けないなど、ガソリン不足は医療者のケアを制約していた。在宅者の安否確認や、行政機関や施設へは自転車で行くケースが見られた。
避難所では寒さ対策が急務で、トイレ、食糧、日用品(おむつ・生理用品・トイレットペーパー・下着類・ホッカイロ・マスク・消毒薬・ミルク・哺乳瓶・離乳食・電池など)、医薬品(特にインスリン)の不足が続いた。避難所には看護師がほとんど配置されていなかったために、県の災害対策本部を通して看護師の派遣要請をアドバイス。ガソリン給油のために山形県と行き来しながら、避難所での被災者の健康相談、バイタルサインの測定、精神面のケアなども実施。
さらに岩沼市内数カ所の避難所を訪問。津波で濡れた状態で数人が1枚の毛布で過ごしていた。また、近隣のクリニックに通院していた内服希望者に対して患者さんのリストをつくり、それを頼りに、電気がなく、床上10cm泥が埋まっている状態のクリニックで紙のカルテを探す支援も行った。そのかいあって必要な薬剤を手配できたが、ガソリン不足などのために病院や薬局へ行けない患者さんが目立った。
震災から5日後の状況
3月16日
■出来事
- 早朝、福島第1原発4号機原子炉建屋で火災が発生
- 10時頃、福島第1原発周辺で白煙のようなものがあがった
- 12時52分頃、千葉県北東部で震度5弱の地震
- 3時33分、岐阜県下呂市で震度4の地震。M4.0
■行政・医療関連支援の動き
- 岡山大学第1班を岩手医科大附属病院へ派遣
3月17日
■行政・医療関連支援の動き
- 仙台市は宮城野、若林両区の指定避難所に精神科医を派遣し、被災者のメンタルケアを開始
3月18日
■行政・医療関連支援の動き
- 厚労省は、被災地で活動中の救急救命士に対し、医師と連絡が取れない場合でも救命処置を認めることを決定
- 災害派遣医療チーム(DMAT)は徐々に撤収し、代わりに被災者の健康相談などにあたる保健師が現地入り。避難所の感染症防止なども課題
3月19日
■出来事
- 18時56分頃、茨城県北部で、余震とみられる震度5強の地震。M6.1と推定
■行政・医療関連支援の動き
- 宮城県気仙沼市立病院で透析を受けていた200人のうち、歩ける透析患者約80人が、北海道の医療機関へ避難
3月20日
■出来事
- 10時10分、コスモ石油千葉精油所の火災が鎮火したと発表
■行政・医療関連支援の動き
- ボランティアナースの会、「キャンナス」、気仙沼に看護師を派遣
3月21日
■行政・医療関連支援の動き
- AMDAが岩手、宮城両県での活動報告、今後は介護支援という形で活動を継続していきたいと報告。AMDAは21日までに医師・看護師を計52人派遣
- 福島の介護老人保健施設「小名浜ときわ苑」から入所者と職員ら190人が千葉県鴨川市の「かんぽの宿鴨川」に集団避難。亀田総合病院が医療面を支援
- 国境なき医師団は宮城県南三陸町などでの救急医療と並行し、被災者の心理状態の調査を開始
次ページは「山﨑達枝さんの被災地活動リポート」です。