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【連載】難しい患者さんの日常ケア

精神疾患でコミュニケーション不良の患者さんにどう対応する?

  • 公開日: 2014/3/15
  • 更新日: 2020/3/26

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看護師のコミュニケーションとマナー


コミュニケーションが難しい患者さんへの対応のキホン

 患者さんとうまくコミュニケーションが取れないことは、看護師にとって大きな悩みの一つです。良好なコミュニケーションは、質の高いケアのためには欠かせないもの。不良になると、治療効果やケアに良くない影響を及ぼすばかりでなく、患者さんにつらい思いをさせたり、我慢を強いることになってしまいます。

 原因としては、疾患や薬剤による影響、加齢に伴う身体機能の低下、環境の変化や治療に対する不安、個人の性格などが挙げられます。まずは、その原因が何であるかを探ることが必要になります。

まずは患者さんの背景を理解し、その心情に寄り添って

 さらに、対応する上で非常に大切なことは、患者さんの背景を理解することです。原因によって対応が異なる場合はありますが、それぞれの背景を考慮して働きかけることは、どんな原因であっても変わりません。病歴、入院前の生活状況、入院時の状況、患者さんが発する言葉などから、全体的な背景や置かれた状況の理解に努め、患者さんの思いや感情に寄り添ったアプローチを行うようにしましょう。この場合、話を聞く姿勢や共感を示すことが重要です。コミュニケーションが取れなくなっているとき、患者さんの多くは、周囲の理解が得られていないと感じ、大きな不安を抱いています。そんな患者さんに安心感を与え、自分が頼りになる存在であるというメッセージを伝えることが求められます。

精神疾患でコミュニケーション不良の患者さんにどう対処する?

統合失調症である場合

〔原 因〕

 統合失調症の発症原因はまだ明確にされてはいません。現時点では、神経伝達物質であるドーパミンの過剰活動や遺伝的要因、環境などが発症に関与していると考えられています。
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 症状は、大きく陽性症状と陰性症状とに分けられます。陽性症状とは、妄想や幻覚など通常とは異なる精神活動が見られること。その内容は、患者さんの価値観や関心、人間関係が主題となっていることが多く、不安や恐怖といった感情を伴うことが特徴です。一方、陰性症状は、本来の機能が低下することで出現し、会話や行動の障害、感情の障害、意欲の障害が見られます。陽性症状に比べて疾患との因果関係が理解されにくいという特徴があり、そのため、周囲から誤解されやすく、日常生活や社会生活に大きな支障をきたすことがあります。また、病気であることを指摘されても、それをなかなか受け入れらないこと(病識の障害)も、統合失調症の症状の一つです。

 治療は、抗精神病薬による薬物治療が中心です。近年は薬剤の進歩によって症状コントロールが容易となり、通院しながら社会復帰を果たしている患者さんも多くいます。

〔対処法〕

 統合失調症の患者さんとのコミュニケーション不良は、疾患によるところがほとんどです。しかし、医療者側が病名だけを聞いて過敏に反応する傾向がないとはいえません。これが必要以上にコミュニケーションを阻害していることもあるので、まずは病態に対する理解を深め、こうした考えをなくしていくことが必要です。その上で、統合失調症の患者さんがどのような「生きづらさ」を抱えているか、想像してみるようにしましょう。精神症状の影響で、社会生活が営めない、人との関係をうまく築けない、楽しさを感じられない、身体が重くて何もできないなどの状態に陥り、健康な生活が送れない……。そのために、臆病で傷つきやすい傾向にあり、ときに暴力や自閉につながるのです。このつらさや苦しさをわかろうとするだけでも、患者さんへの見方が変わると思います。

不安や恐怖心が強い患者さん

 理解と共感を言葉や表情などで示し、看護師(自分)が味方であることを患者さんに発信し、関係を作ることが重要になります。統合失調症の症状が現れていても、健康な自我は残されています。そこに訴えかけることがポイントです。その場合、口の動きや表情が伝わるようマスクは外すようにします。

 また、患者さんの話をきちんと聞き、受け止めることが大切。発言の背景にあるものを知り、どのような気持ちにあるかを考えることができれば、アプローチの仕方も見えてくるはずです。引きこもりのある患者さんには、挨拶するなどこまめに声かけをすることも効果的です。

妄想のある患者さん

 患者さんの妄想は、自分の内面や現在の状況を反映していることが少なくありません。そこから患者さんの状況を理解することも可能です。妄想は否定せずに、その背景を考えながら対応します。話は聞くものの、迎合する必要はなく、「そういうものなのですね」程度に受け流して構いません。だたし、患者さんの感情が表れているときには、共感の姿勢を示します。

うつ病である場合

〔原 因〕

 うつ病は気分障害の一つで、発症のおもな原因として、遺伝や脳の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリンの機能低下などが挙げられます。ストレスが主原因となる、いわゆる「こころの病気」ではないので、薬物療法による治療が必要です。眠れない、食欲・意欲の低下、否定的発言、暗い表情などの症状が見られ、セルフケアにも障害をきたします。生きることに対し消極的になり、自殺願望を持つ場合も少なくありません。うつ病という診断を受けていなくても、否定的な発言や妄想的な傾向などうつ病のサインが見られたら、精神科医に診察を依頼します。

〔対処法〕

 うつ病患者さんの場合、コミュニケーションの妨げになるのは心身の症状。内省的あるいは被害妄想的など、うつ病の症状を理解したかかわりが必要になります。よくいわれることですが、患者さんを励ますような声かけはNG。治療やケアにあっては、身体を休めながら行えるよう配慮します。場合によっては、カーテンを閉める、個室にするなど、ほかの患者さんからの刺激を受けないような環境づくりを行います。

 患者さんは自分がおかしくなってしまったと感じていることがあります。その場合「同じ立場であれば、私もそう思います」「病気のせいですよ」など、患者さんの気持ちをくみ、共感を示す言葉かけを行います。患者さんが孤立するのを防ぎ、安心感を与えるようなかかわりが大切になります。

「気難しい」「かたくな」など高齢者特有の気質を持つ患者さんにどう対処する?

大声や暴言など怒りの感情を見せる場合

〔原 因〕

 怒りの感情は、欲求不満や強い不快感、拒絶、喪失体験などの強いストレスに対する正常な反応です。患者さんが怒っている場合、必ず何かしらの理由があります。

〔対処法〕

 怒りは個人的な感情なので、看護師がその理由を考えても意味がありません。何に対して怒っているのかを、患者さんに聞いてその原因に対応します。

 このとき注意したいのが、看護師が感情的にならないことです。怒りは強い感情であるため、看護師が怒りの感情を受け止めてその場が収まる場面と、そうはならない場面があります。患者さんが興奮しているときは、まずは落ち着かせることが重要。患者さんの感情に巻き込まれないようにします。

 普段看護師は医療職として自己を抑制しています。しかし、互いの関係性を理解できるような患者さんであれば、人として向き合い、「私は心配です」など、自分自身の感情を伝えてもよいでしょう。そのときは、「私が」という言葉を使い、誰がそう感じているのかを明確にします。

 ここで気をつけたいのが、看護師自身のイライラや不快感が患者さんに向いていないかということです。患者さんには関係のない要因による感情が行動に出てしまい、患者さんの怒りを誘発することもあるのです。自分の精神状態や感情を振り返り、ときには内省してみることも必要です。また、怒りには器質的な障害が影響していることあるので、その影響の有無も確認しましょう。

かたくなな態度を続ける場合

〔原 因〕

 高齢者には、長年の生活で培われてきた価値観や習慣があります。それが自分自身にとっての当たり前であり、快適な状態でもあります。高齢者が、自分の生活習慣に固執し、それを崩すことに不安を感じることは当然ともいえるでしょう。特に、こだわりが強い性格の場合、その傾向は強くなります。

〔対処法〕

 もし、治療や入院生活に影響がなければ、すべてを否定するのではなく、可能な限り患者さんの要望に沿うようにします。治療に影響が出る場合は、部分的に譲歩してもらえるよう話をします。そして、治療は患者さんや家族も参加して医療者と協働で行うものであることを伝え、「一緒にやりましょう」などの声かけをして、患者さんを治療に巻き込むようにします。一方では、ケアの必要性がきちんと伝わっているか確認することも大切です。もし理解していないようだったら、感情を交えず、効果とリスクを淡々と伝えるようにします。

 かたくななケアの拒否には、実は物理的な理由がある場合があります。たとえば、服薬拒否の場合、剤形が飲みにくいことが原因かもしれません。それならば、剤形や投与方法の変更で対応できます。また、疾患や薬剤の影響による理解度の低下が、ケアの拒否につながっていることもあります。患者さんの身体機能の状態と併せて見ていくようにしましょう。

(ナース専科マガジン2014年4月号より転載)

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