気管挿管中の患者さんの口腔ケア、潰瘍を予防するためのポイントとは?
- 公開日: 2026/2/28
気管挿管中に潰瘍が生じる理由
気管挿管中の患者さんに対する口腔ケアは、口腔内の清潔を保つだけでなく、潰瘍形成の予防、人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発症リスク低減、さらに抜管後の口腔機能回復にも影響する極めて重要なケアです。
気管チューブの留置によって口腔内の視界が制限されることに加え、持続的な開口状態により唾液分泌が低下し、乾燥が進みやすいことから、細やかな観察と適切なケアが求められます。
気管挿管中の患者さんに潰瘍が生じる主な要因は次のとおりです。
●デバイス類(気管チューブ、バイトブロック)や固定具による同一部位(口唇、舌、歯肉、口腔粘膜)への長時間の圧迫
●頻回あるいは同一部位への持続的な吸引による物理的損傷
特に重症患者さんや管理が長期化するケースでは、これらのリスクが相乗的に高まります。
潰瘍予防のための口腔ケアのポイント
口唇部・口腔内の観察と圧迫部位の管理
同一部位への持続的な圧迫を防ぐためには、口唇部や口腔内を観察し、デバイス類や固定具の位置を定期的に変更することが重要です。
特に、歯列の突出や不整がみられる患者さん、あるいは挿管に伴い義歯を外したことで歯肉が露出している患者さんでは、デバイス類や固定具との接触部位に局所的な圧迫が生じやすくなります。圧迫箇所では血流が阻害され、容易に潰瘍の形成に至るリスクがあるため、デバイス類や固定具の位置を適宜調整するとともに、ガーゼやクッション材を活用して皮膚・粘膜を保護します。
口腔内の観察と清潔・保湿の保持
ブラッシングを行う際は、粘膜を傷つけないようスポンジブラシなどを用いて愛護的に実施します。口腔内の乾燥を防ぐことも大切です。乾燥は粘膜損傷のリスクとなるため、口腔内の観察を行い、患者さんの状態に合わせて保湿剤の塗布や保湿スプレーを使用し、湿潤環境を維持します。
口腔ケアの頻度
口腔ケアの頻度は、痰の量や粘稠度、口腔内の乾燥の程度、分泌物の量・性状をアセスメントしたうえで調整します。例えば、1日1〜2回の入念なブラッシングを基本とし、その合間に口腔ケア用ウェットティッシュでの拭き取りや湿潤剤の塗布といった簡易的なケアを適宜行うことで、良好な口腔環境の維持に努めます。
ただし、重症患者さんにおいては、循環不全や低栄養により全身状態が不良なため、最善のケアを行っていても潰瘍形成を避けられない場合があります。潰瘍を発見した際は、サイズ、深さ、出血の有無などを確認し、医師に報告します。また、チームで継続して観察・処置が実施できるように、客観的な情報を記録していくことも必要です。日々の経過がわかるように、写真で記録に残すのもよいでしょう。
