第1回 がん化学療法時の口腔ケア
- 公開日: 2013/2/22
協賛:サンスター株式会社/主催:ナース専科
がん化学療法に伴い高い頻度で発生する副作用の一つに口腔粘膜炎、口腔乾燥、知覚過敏など口腔トラブルがあります。これらのトラブルは、患者さんのQOLを低下させ、がんの治療にも影響を与えます。
2012年12月8日、口腔外科医師、看護師、歯科衛生士、管理栄養士の4人の講師により、がん患者さんのための口腔ケアセミナーが行われました。ダイジェストを4回にわたりレポートします。
治療を継続させながらQOLを高める支援
最初の講義は、看護師である山田みつぎ先生から。患者さんが高いQOLを維持しながら、治療の完遂を実現できるように支援することが何より大切として、「抗がん剤治療中の看護と口腔ケア」と題して行われました。
講師の山田みつぎ先生
まず、正常な細胞であっても、骨髄、毛母細胞、消化管粘膜などの代謝が盛んな細胞組織に、がん化学療法時の副作用が現れやすいこと、抗がん剤の種類や治療計画によって副作用の発現する部位や時期が異なることなど、化学療法と副作用の基礎知識についての説明がありました。
丁寧な観察と、病態に合ったケアの提案が大切
副作用の一つである口腔粘膜炎は、投与後、数日~2週間以内に起こりやすく、特にフッ化ピリミジン系やタキサン系の抗がん剤投与後に発現しやすいといわれています。また、患者さん側の因子としては、糖尿病や自己免疫疾患など基礎疾患がある方や、十分なセルフケアができない方は、口腔粘膜炎が悪化しやすく回復もしにくくなります。
さらに、口腔乾燥やう歯、歯肉炎、歯周病のある患者さんも、骨髄抑制により白血球減少が起こると、口腔粘膜炎を発症しやすく重症化もしやすいため、合併症や口腔内の慢性疾患を十分にアセスメントする必要があるとのこと。
口腔粘膜炎のタイプとしては、(1)抗がん剤により口腔粘膜にフリーラジカルが発生し、それが口腔粘膜にストレスを与えて破壊や炎症を生じる「一次的な口腔粘膜炎」、(2)抗がん剤によって免疫機能が低下し、骨髄抑制によって局所感染を起こす「二次的な口腔粘膜炎」の2つの機序を説明し、ケアのポイントは、保清、保湿、刺激からの保護、症状管理、栄養管理の5つであると述べました。
がん治療を支える看護師の役割についてレクチャー