第4回 『DESIGN』を褥瘡治療に活用する
- 公開日: 2009/6/2
褥瘡治療の前に褥瘡発生の原因を発見し取り除く
第4回目の今回は、前回ご紹介しました褥瘡の創評価ツール『DESIGN』を褥瘡治療に活用する方法を、『褥瘡予防管理ガイドライン(日本褥瘡学会発行)』をもとにお話ししたいと思います。
褥瘡が出来てしまうと、どうしても局所にばかり目が行ってしまい、「どんな外用薬を使用したらよいか?」「被覆材は何が適切か?」などに目が向けられる傾向があります。しかし局所治療に取り掛かる前に、褥瘡が発生した原因を明らかにすることがとても重要になります。褥瘡発生の原因を除去しなければ、褥瘡の治癒が遅延したり、それどころか褥瘡が悪化してしまうこともあるのです。
たとえば、こんな状況がないでしょうか・・・?
A) 長時間車いすに乗っていたり、麻痺などがあって座位姿勢の崩れやすい方で、片側の坐骨に褥瘡が発生した場合
B) 車いすを動かす際に、足を使って漕ぐように動かし、坐骨部に褥瘡が発生した場合
C) 急激な体重の減少に伴って骨突出が強くなり、体圧が上昇したのではないか?
D) 経管栄養投与や食事の為に、長時間ベッドの頭側を挙上する必要がある場合
などなど、患者さんによって、原因となる環境は様々だと思います。患者の生活環境を振り返り、褥瘡の発生原因を考え、それを取り除くケアをしていきます。
各環境のアセスメントと対処方法
A) の場合
麻痺がある方の場合は、患側に姿位が崩れやすいため、姿勢が崩れないよう、上肢をサポートするクッションなどを使用したりします。また、座面クッションの評価が重要となります。 車いすの座面シートは、中心部がたわみ、長時間座位には向いていません。車いす専用のクッションを用い、姿勢を安定させ、ずれを予防したり体圧を分散させたりします。
B) の場合
座位で発生する坐骨部の褥瘡は非常に深いのが特徴です。 やはり、座面クッションの評価が重要となってきます。また、足こぎがずれ・摩擦の要因になっているようであれば、足こぎをやめるようにして、移動の介助をしたり、手で移動するように促します。
C) の場合
骨突出が強くなった患者さんの場合では、現在使用している体圧分散寝具が適切かアセスメントし、さらに低圧に保持できるものを選択しなおします。 急激に体重が低下した場合は、栄養状態も低下していることが予測されます。栄養状態のモニタリング、食事摂取などを考えていきます。
※「患者さんが寝ていると、なかなかマットレスを評価できない」と言うお声をよく耳にします。リスクの高い患者さんには、使用しているマットレスが十分な体圧分散効果があるのか、定期的に簡易体圧測定器などを用いて評価することは大切なケアです。
D) の場合
ヘッドアップの角度を見直します。30°までであれば、比較的体がずれにくいとされています。また、背上げ時の体のずれに配慮された体圧分散寝具を使用します。また、臀部の底づきが起きにくい二層式の体圧分散寝具を選択します。