最終回 母親から子どもへの伝え方
- 公開日: 2013/4/20
患者さんが子どもに伝える際に、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。今回は、子どもの不安をどう解消するか、患者さんの精神的負担を軽減するためにどうフォローしたらいいのかを解説します。
Q. 母親が子どもにがんについて伝える際には、どのような点に注意すればよいですか
A. 子どもの不安を解消するとともに、患者さん自らの精神的負担の軽減にもつながるような説明を行えるようフォローします。
子どもは親の変化を感じ取り不安を抱くこともある
患者さんが子どもに病気を告げるかどうかは、患者さんと家族の意向に任せていますが、子どもは、親が病気のことを隠していても、日常生活のちょっとした変化から、それを感じ取っています。
子どもは、「親に何が起こっているのかわからない」──そのことに大きな不安を抱きます。なかには、「自分が悪い子だから親が死んでしまう」と考える子どももいます。患者さんが自分に起こっていることを伝えて、そうした不安を解消することは大切なことです。
また、患者さんにとっても、つらい治療に耐えているうえ、子どもに「病気を隠しながら生活する」ことは、精神的にも大きな負担になります。子どもに安心を与えるとともに、本人も精神的負担を軽くして治療に臨めるようにしたほうが、お互いの心の負担を軽くすることになると思われます。
※続いては、病気の伝え方について解説します。
病気を伝えるときは本人の口から伝える
患者さんが病気(がん)であることは、本人の口から伝えることが大切です。それにより、後から子どもに聞きたいことが生じたら、直接患者さんに聞ける環境を整えることができるためです。そして、子どもに話をするときは、夫や両親など、一緒に子どもをサポートしてくれる人にも同席を依頼し、子どもの表情や言動を観察してもらい、その後のフォローに役立てることも必要です。
また、感情的になるとうまく伝えられなくなってしまうので、リハーサルをしたり、話したいことをあらかじめメモにまとめるなどして、心の整理をしてから話すようアドバイスします。
話すタイミングは、子どもの日常生活にあまり影響を与えない日を選びます。話をした翌日に、子どもと一緒に過ごしてコミュニケーションがとれるよう、休前日がよいでしょう。
また、子どもの年齢に応じて、子どもが理解できるような言葉や方法を選ぶことも大切です。最近は、そのための絵本も出版されているので、そのようなものを利用するのもよいでしょう。中学生以上になるとインターネットから情報を得て、詳しい情報をもっていることもあるので、場合によっては医師からの説明に同席してもらってもよいかもしれません。
(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)