ヒヤリハットしない輸液管理|点滴筒の満たし方、輸液量の確認など
- 公開日: 2016/1/17
- 更新日: 2021/1/6
ヒヤリ・ハット事例発生場面の上位に入るのがこのケア。感染はもとより手技の誤りによる事故には注意が必要です。
輸液管理のリスクを理解しよう!
一般病棟でも末梢静脈を介した輸液療法を行っている患者さんは多く、日常的な看護の一環として捉えている人も少なくないでしょう。
しかし、薬剤にかかわるヒヤリ・ハット事例は多く、2010年の報告件数累計の44%を占め、そのうちの9.6%が末梢静脈点滴に関係するものであるという結果が示されています(日本医療機能評価機構調べ)。
輸液療法は、薬剤の全量が直接循環器系に入るため、内服与薬に比べ作用が急速で、適切な管理が行われていないと重篤な合併症につながる危険性があります。
このようなリスクを踏まえて管理にあたることが大切です。
輸液療法は、[1]体液の恒常性の維持、[2]循環血漿量の回復、[3]熱量やたんぱく、各栄養素の補給、[4]薬剤投与を目的としますが、末梢輸液の場合は、主に脱水・低栄養、電解質異常、出血、抗生剤投与などに対する補液のために実施します。
まずは、どのような目的で実施されているかを把握し、薬剤の取り違い、用量違い、投与法・時間違い、投与忘れ、患者誤認などがないか、事前に確認することが重要です。
その上で、これらを起こさない確実な実施方法を身に付けなければなりません。
ケア1 点滴筒内の輸液量は1/2~1/3にする
点滴セットの針を輸液バッグに直角に差し込んだら、点滴筒を押して輸液を内部に入れますが、このとき筒内を満たす輸液の量は1/2~1/3が適当です。
筒内の液面が高すぎると、滴下数が数えられなくなり、逆に低すぎると、急速投与を行った場合や何らかの理由で点滴筒が傾いたときに、ルート内に空気が混入する恐れがあるからです。
ケア2 輸液を準備する際にルート内を薬液で満たしておく
準備の段階でルート内を薬液で満たしておかないと、空気が入りやすくなってしまいます。
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