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【連載】輸液製剤がわかる! なぜ、その輸液製剤が使われるのか?

サードスペースってなに?術後の輸液管理はナゼ難しい?

  • 公開日: 2014/9/9
  • 更新日: 2020/3/26

輸液管理にはさまざまな確認事項があります。ここでは、輸液を行う看護師が確実に押さえておきたい内容をまとめて解説します。


目次


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サードスペースって何?

術後の患者さんの輸液管理では、サードスペースに移動した水分量の把握と、利尿期の輸液量に注意が必要となります。

そもそも、サードスペースとは何でしょう?

生体は、外傷や手術などの侵襲(ストレス)を受けると、生体炎症反応やストレスホルモンの分泌によって血管透過性が亢進されます。

これは血管壁の隙間が大きくなった状態で、通常は血管内にとどまっているはずの水やNaが血管外へ漏出し、細胞内でも血管内でもない場所に溜まる現象が起こります。それらが貯留している部分を「サードスペース(third space)」と呼びます。

術中~術後半日はサードスペースへの移動が続き(侵襲期)、この時期は全身に浮腫が生じて、循環血液量が減少し、結果として尿量も減少します。

そして、手術侵襲後2~3日で炎症反応が沈静化すると、サードスペースに貯留していた水とNaは血管内に戻り、尿量が増加します(下図)。これを「利尿期」または「リフィリング(refilling)」といいます。

侵襲による非機能的細胞外液の流れ説明図

侵襲による非機能的細胞外液の流れ

まずは、サードスペースに水分が移動しているという生体の仕組みを理解した上で、尿量や術前~術後に至る周術期のIN/OUTバランスをしっかりと確認します。循環血液量を保つという輸液の本来の目的を踏まえて、輸液の必要性を考えることが大切です。

サードスペースを考慮してIN/OUTバランスをみる

侵襲期は補液しても血管外に漏れやすいため、どうしても循環血液量が少なくなります。特に術中は多少の出血も加わるので、十分な細胞外液を入れなければ、循環血液量は欠乏し、血管内は脱水状態になります。

侵襲期では、通常の維持輸液と併用して、

  1. 出血量の2~3倍
  2. 創部やドレーンからの排液
  3. サードスペース分の細胞外液

が補充されます。

サードスペースに考慮した輸液管理で基本となるのは、周術期のIN/OUTバランスをみることと、口渇など基本的な自覚症状や全身状態をフィジカルアセスメントすることです。

利尿期に入ると尿量が増えますが、それだけをみて経口摂取や輸液の追加の指示を仰ぐのではなく、脱水なのか利尿期なのかをアセスメントした上で対応することが求められます。特に高齢者や心臓・腎臓機能に問題がある場合は、心不全や肺水腫に備えて、輸液の調整や利尿薬の投与についての検討が必要です。

また、栄養を投与したほうがよいと考えがちですが、侵襲期は異化亢進によってエネルギーとなるブドウ糖を投与しても、グルコース利用率の低下やインスリン抵抗性の増大などから高血糖状態になります。

高血糖による弊害は大きいため、血糖コントロールもしっかりと行わなければなりません。術後2~3日の過剰な栄養は不要で、通常必要エネルギー量の半分程度の投与で問題ありません。

(『ナース専科マガジン』2013年10月号から改変引用)

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