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【連載】高齢者の機能低下をアセスメント

第4回 転倒・転落の原因は?なぜ起きる?

  • 公開日: 2012/10/2
  • 更新日: 2020/10/21

機能低下に伴うさまざまな症状をどのようにアセスメントをすればよいのでしょうか。
今回からは、症状別に具体的なポイントを挙げ、解説していきます。
まずは転倒・転落がどんな症状なのか、なぜ起こるのかを知っておきましょう。


どんな症状?

高齢者の代表的なリスクの一つになっている転倒・転落。
高齢者は身体・精神の機能が変化・低下することから、一般成人よりもそのリスクが高くなります。
一般に転倒・転落というと、倒れて、あるいは高い所から落ちて、身体全体が地面や床についた状態を指しますが、医療現場においては、「身体の足底以外の部分が床についたもの」として考えます。

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従って、つまずきやふらつきで床に手や膝をついた、便座に座るときに便座からずり落ちてしまった、あるいはベッドや階段などを下りようとして尻もちをついた、なども転倒・転落としてとらえます。
高齢者が転倒・転落により骨折すると、それが寝たきりの原因になってしまうことが少なくありません。

また、転倒・転落を繰り返すことで、「また転ぶのではないか」と歩行や日常生活動作に不安を抱き、室内に閉じこもりがちになった結果、筋力低下や意欲低下などが生じ、QOLやADLの低下を招くことにもなりかねません。

どうして起こるの?

こうした転倒・転落は、加齢による身体・精神機能の低下が発生原因のベースにあります。
具体的原因としては、大きく内的要因と外的要因に分けられ、多くの転倒・転落はいくつかの要因が複合して起こります。

内的要因は、筋力や平衡維持能力、運動速度の低下など加齢による身体機能の低下、転倒・転落のリスクを高める身体疾患、服用薬物、さらに転倒・転落を繰り返したことで生じる恐怖心、医療者・介護者への遠慮、自分自身の身体的機能と持っているイメージとのずれ、などがあります。

例えば入院中の場合、看護師に遠慮してナースコールを押さずにトイレに行って転倒したり、今までできていたからと自分の身体機能の低下に気付かず、ベッドから一人で下りて転倒することは少なくありません。

また、平衡維持能力が低下しているため、背後から看護師が「○○さん」と呼び止めた際、振り向きざまに転倒したり、トイレ誘導の途中で「ちょっとここで待っていてください」とほんの一瞬その場を離れた隙に、尻もちをついていたりと、さまざまな場面で転倒・転落が起こっています。

転倒・転落のリスクを高める疾患としては、脳血管疾患、パーキンソン病、認知症、せん妄が代表的です。薬物に関しては、睡眠薬、精神安定薬、鎮痛薬、降圧薬などがリスクを高めるので服用時には十分な注意が必要となります。
一方、外的要因については、段差や滑りやすい床といった物理的環境が挙げられます。
特に、病室での生活は日常とは異なる環境下にあることから、さまざまなものが外的要因になり得ます。

例えば、ベッドや履き物、寝衣などが、普段使用しているものと違っただけでリスクは高まり、固定されていないオーバーテーブルが原因での転倒なども見られます。
転倒・転落は、このような要因がもたらした「結果」なのです。

患者さんのQOLを尊重し、身体拘束せずに転倒を防止した事例

多発性脳梗塞で入院してきた98歳の女性・Aさんは、意識レベルも低く軽度の麻痺が見られました。
点滴治療が開始されましたが、環境に適応できず混乱を来し、入院していることが分からない状況でした。
その後、麻痺の程度が改善されてくると、入院前にADLが自立していたこともあり、一人で動きだし、転倒・転落のリスクが非常に高まりました。

そこで、ベッドの4点柵と腰部ベルトの着用という予防策を取りました。
しかし、これがAさんのADLひいてはQOLを著しく低下させることを予測する看護師の声が高まったため、Aさんの年齢を考慮し、なるべくQOLを維持して在宅療養へとつなげるアプローチへ切り替えることにしました。

1週間ほどでAさんは生活のリズムを取り戻し、病院の環境に慣れてきたことから、腰部ベルトの使用をやめ、ベッドを3点柵に変更。

トイレはベッドサイドにポータブルトイレを設置しました。
また、Aさんがナースコールを押せなかったため、床に敷くタイプのセンサーマットを設置して早めに行動をキャッチすることに加え、看護師の訪室頻度が高い部屋に入室してもらい、訪室の際にはトイレ誘導の声掛けをし、排泄したい様子がないか注意するようにしました。

次第に、Aさんは看護師が通ると尿意を訴えられるようになっていきました。
その結果、自宅での療養が可能と診断され、Aさんは転倒・転落が生じることなく、無事退院されました。

次回は、転倒・転落の観察・アセスメントのポイントを解説します。

(『ナース専科マガジン』2011年2月号より転載)

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