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【連載】注射・採血・輸液の手技徹底攻略!

高齢患者さんの穿刺部位、どう選ぶ?

  • 公開日: 2023/9/30

Q. 高齢者で痩せている方、筋肉が落ちている方への筋肉注射はどこにすればよいのでしょうか。

A. 臀部(中殿筋)への注射を検討します。どうしても難しい場合は、筋肉注射以外の薬剤に変更できないか検討します。

どうしても難しい場合は筋肉注射以外の投与方法を検討

 筋肉注射の穿刺部位は、筋肉が豊富で神経や血管が少ない部位として、前後の腋窩ひだの上縁を結ぶ線と肩峰中央からの垂線の交点が選択されます(図)。しかし、高齢者では特に上腕部の筋肉は落ちやすく、この部位への注射が難しい場合は、臀部(中殿筋)を選択するとよいでしょう。どうしても筋肉注射が難しい場合は、医師に相談して、筋肉注射以外の薬剤への変更が可能かどうか検討しましょう。

図 前後の腋窩ひだの上縁を結ぶ線と肩峰中央からの垂線の交点

前後の腋窩ひだの上縁を結ぶ線と肩峰中央からの垂線の交点


Q. 高齢者の場合、穿刺部位の選択に迷います。どのようなことに注意して選択するとよいのでしょうか。

A. 成人への穿刺と同じように患者さんへの負荷が少ない場所を選ぶのが基本です。細い血管しかない場合は少しでも穿刺しやすいように工夫します。

【採血の場合】

 まず、肘正中皮静脈などの上肢の血管を一通り確認し、適した血管が見つからない場合は、手背の尺骨皮静脈、橈骨皮静脈を選択します。ただし、手背は血管が見えやすい反面、内出血を起こしやすいので注意が必要です。下肢の血管は血栓形成の可能性があるため原則避けますが、シャントがある場合など上肢での採血が不可能な場合は足背静脈、小伏在静脈を確認します。

 どうしても難しい場合は、医師と相談し動脈からの採血も検討するとよいでしょう。

 

【静脈ルート確保の場合】

 穿刺部位の確認の方法は、基本的には採血と同じです。ただし、上肢の場合、肘の動きの妨げにならない前腕部や手背で、利き腕とは反対側の腕を選択するようにします。

 また、歩行などの日常生活動作を考慮し、できる限り動作の妨げにならない部位を選びましょう。太く弾力のある血管を選択することが基本ですが、高齢者では血管が細くなっていることが多く、血管が見つかりにくいことがよくあります。


図/ふるやますみ

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