脱水や自己抜去など高齢患者さんのルート確保が難しい場合はどうする?
- 公開日: 2023/10/15
Q. 高齢者で脱水の患者さんの血管確保がなかなかできませんでした。コツがあれば教えてください。
A. 腕を心臓より下げる、臥位で行うなど体勢を工夫します。
血管が怒張しやすくなるように体勢などを整える
脱水時は、血管のボリュームが低下するため、血管が細くなり目視が困難になることが少なくありません。駆血後に怒張した血管を探して、血管の走行をよく観察しながら指で触れ穿刺します。
怒張した血管が見つからない場合、心臓よりも低い位置に腕を下げると、血液が集まり、血管が怒張しやすくなります。さらに、座位よりも臥位でベッドの端に腕を下げてもらったほうが、血管が怒張しやすくなることが多いため、体勢を工夫してみましょう。また、24Gの細い針を用いて、ゆっくりと針を刺入するようにすると、穿刺できる場合があり、針の選択も大切です。
Q. 認知症の高齢者で漏れやすいだけでなく、すぐに自己抜去してしまうので、点滴針の留置場所に困りました。どのようにすればよいのでしょうか。
A. ルート類は患者さんの目につかない位置に配置します。違和感や苦痛があるから抜去してしまうということも念頭に置きましょう。
痛みや苦痛など自己抜去の理由を探るとともに、ルートが視界に入らないようにする
ルートを抜いてしまうのは、患者さんに違和感や痛みなどの苦痛があるからです。認知症患者さんでは、穿刺やルート固定により痛みや搔痒感など苦痛を感じていても、うまく伝えることができません。まずは、患者さんの様子や対話の中から自己抜去をする理由をよく考え、患者さんに寄り添った方法を模索することが大切です。
点滴の実施を説明して了承の返事をもらっていたとしても認知機能の低下から理解できず、穿刺部位やルート類が気になり自己抜去してしまうことも多くあります。そのため、患者さんの視界に入らないように、穿刺部位は上腕部を優先的に選択し、ルートは衣類の袖下を通し、首元から出すようにするとよいでしょう。加えて、点滴バッグやスタンドを患者さんの目に触れないように後方に置くなど、環境整備にも配慮します。
点滴の実施中は、30分毎に観察を行うことが大切です。救急外来など人員の確保が難しい場合は、付き添っている家族に注意してもらうなど、協力を求めることも考慮します。
なお、自己抜去の防止策としてミトンの着用などがありますが、身体拘束になるため、可能な限り避けたほうがよいでしょう。