1. トップ
  2. 看護記事
  3. 医療・看護技術から探す
  4. 注射
  5. 脱水や自己抜去など高齢患者さんのルート確保が難しい場合はどうする?

【連載】注射・採血・輸液の手技徹底攻略!

脱水や自己抜去など高齢患者さんのルート確保が難しい場合はどうする?

  • 公開日: 2023/10/15

Q. 高齢者で脱水の患者さんの血管確保がなかなかできませんでした。コツがあれば教えてください。

A. 腕を心臓より下げる、臥位で行うなど体勢を工夫します。

血管が怒張しやすくなるように体勢などを整える

 脱水時は、血管のボリュームが低下するため、血管が細くなり目視が困難になることが少なくありません。駆血後に怒張した血管を探して、血管の走行をよく観察しながら指で触れ穿刺します。

 怒張した血管が見つからない場合、心臓よりも低い位置に腕を下げると、血液が集まり、血管が怒張しやすくなります。さらに、座位よりも臥位でベッドの端に腕を下げてもらったほうが、血管が怒張しやすくなることが多いため、体勢を工夫してみましょう。また、24Gの細い針を用いて、ゆっくりと針を刺入するようにすると、穿刺できる場合があり、針の選択も大切です。


Q. 認知症の高齢者で漏れやすいだけでなく、すぐに自己抜去してしまうので、点滴針の留置場所に困りました。どのようにすればよいのでしょうか。

A. ルート類は患者さんの目につかない位置に配置します。違和感や苦痛があるから抜去してしまうということも念頭に置きましょう。

痛みや苦痛など自己抜去の理由を探るとともに、ルートが視界に入らないようにする

 ルートを抜いてしまうのは、患者さんに違和感や痛みなどの苦痛があるからです。認知症患者さんでは、穿刺やルート固定により痛みや搔痒感など苦痛を感じていても、うまく伝えることができません。まずは、患者さんの様子や対話の中から自己抜去をする理由をよく考え、患者さんに寄り添った方法を模索することが大切です。

 点滴の実施を説明して了承の返事をもらっていたとしても認知機能の低下から理解できず、穿刺部位やルート類が気になり自己抜去してしまうことも多くあります。そのため、患者さんの視界に入らないように、穿刺部位は上腕部を優先的に選択し、ルートは衣類の袖下を通し、首元から出すようにするとよいでしょう。加えて、点滴バッグやスタンドを患者さんの目に触れないように後方に置くなど、環境整備にも配慮します。

 点滴の実施中は、30分毎に観察を行うことが大切です。救急外来など人員の確保が難しい場合は、付き添っている家族に注意してもらうなど、協力を求めることも考慮します。

 なお、自己抜去の防止策としてミトンの着用などがありますが、身体拘束になるため、可能な限り避けたほうがよいでしょう。


この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

トイレ誘導に関する看護計画|誤嚥性肺炎治療中の認知症のある患者さん

誤嚥性肺炎の治療中にトイレ誘導を行う認知症がある患者さんに関する看護計画  認知症は認知機能の低下に加えて活動性の低下や嚥下機能低下といった日常生活に支障をきたす症状も見られる疾患で、血管性、アルツハイマー型、レヴィー小体型、前頭側頭型といった原因があります。今回は認知症の

2023/12/22

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
4位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
5位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
6位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
7位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
8位

術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防な

患者さんが問題なく手術を受け、スムーズに回復していくためには、周手術期をトラブルなく過ごせるよう介入しなければなりません。 術前の検査  術前は、手術のための検査と、手術を受ける準備を...

249741
9位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
10位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949