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【連載】急変を見逃さないためのフィジカルアセスメント

血圧とは?血圧測定に関する注意点

  • 公開日: 2009/7/12
  • 更新日: 2021/1/5

▼バイタルサインについて、まとめて読むならコチラ
バイタルサインとは|目的と測定の仕方、基準値について


血圧とは?

 今回は、毎日測定している血圧について、再度振り返ってみます。

 血圧とは、『血管内部の圧力』をさしますが、一般的には上腕動脈の血圧値をいいます。血圧を規定する要素は、『1回拍出量』と『末梢血管抵抗』ですので、これらに変化が起これば血圧も変動します。

 血圧=1回拍出量×末梢血管抵抗

 『1回拍出量』とは、心臓が1回の収縮で拍出する血液量で、これを1分間当たりに換算した場合、『心拍出量』といいます。心拍出量は、1回拍出量×1分間の心拍数で計算され、成人では約5L/分です。一方、『末梢血管抵抗』とは、毛細血管の直上流の動脈である細動脈壁の緊張によって決定される圧で、交感神経の影響を受けて収縮・拡張します。

『心拍出量』と『末梢血管抵抗』が変動する原因

 『心拍出量』や『末梢血管抵抗』を変化させる生理的条件の例としては、以下のようなことがあります。

 1. 運動や労作 もしくは 精神的な興奮
 2. 食事直後
 3. 気温 寒冷時は温暖時よりも血圧が上昇する

 つまり、安静時に血圧を測定する意味や、病室の温度が年間で定められている理由は、このような生体変化を最小限にするということですね。 加えて、もう少し詳細に『心拍出量』と『末梢血管抵抗』が変動する原因を記載します。

『心拍出量』と『末梢血管抵抗』が変動する原因

血圧測定に際に考慮する因子

 通常人間は、恒常性(ホメオスターシス)によって一定の範囲内に調整されています。しかし、血圧は短時間でも変動しやすく生理的因子も関係します。
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1.体位
 収縮期血圧は、立位<座位<臥位 の順に高くなります。この理由は、キリンの血圧が約300mmHgであるのと同様、身体の高い位置に血液を送る場合、血圧を高めて送り出さなければならないからです。一方、拡張期血圧は、臥位<座位<立位 の順に高くなります。

 上腕動脈での血圧測定は、常に心臓と同じ高さにして測定しなければ、正確な値を得ることはできません。教科書上で、臥床にて測定とあるのは、このような理由からですね。臨床的には、座位でも臥位でも患者の状態に合わせ、可能な限り同一体位での測定が良いでしょう。腕の高さを心臓の高さに合わせることは言うまでもありません。なお、健常若年者では体位による血圧変動は起こりにくいといわれています。

2.呼吸
 正常の場合、吸気時に収縮期血圧は低下します。理由は、吸気時には胸腔内圧は一層陰圧となるため、左心系に還流する血液量が減少するためです。

 精神的な緊張状態にある時、交感神経が活性化し血圧が上昇する場合がありますが、深呼吸をすると血圧が安定(低下)することがあります。 検診などで測定する際、緊張して血圧上昇することがありますが、スクリーニングの意味では正しい値を測定することが求められます。必要に応じ、対象者は安静臥床にて複数回測定するなど考慮する必要があるかも知れません。

3.日内変動
 正常の場合、夜間睡眠中は血圧は低下し、午前中よりも午後は血圧が上昇するとされています。

脈圧について

 脈圧=収縮期血圧―拡張期血圧

 脈圧とは、収縮期血圧と拡張期血圧の差をさします。基準値は40~50mmHgとされています。

脈圧についての説明表

 脈圧が著しく大きくなる疾患としては、大動脈弁閉鎖不全症があります。拡張期には、大動脈弁が閉じ切らないために、大動脈から心室内に逆血し、末梢血管が拡張した結果、拡張期血圧が低下します。また収縮期には、逆流した血液で心室が充満し、1回拍出量が増加します。つまり、1回拍出量の増加と末梢血管抵抗の減少によって、脈圧が増大するという原理です。

 最後に血圧測定にまつわる注意点を記載します。現在では、自動血圧計が一般化され、水銀血圧計を使用する施設も少なくなったかもしれません。自動血圧計では、血圧値が奇数で表示されますが、水銀血圧計では偶数値しかありません。

血圧測定にまつわる注意点

1. マンシェットの選び方
 内袋の幅は、上腕の長さ(腋窩から肘窩)の2/3、長さは上腕円周(上腕中点の円周:上腕中点とは肩先から肘頭までの半分)の80%以上が適切とされています。 上腕に対し幅が狭い場合には、血圧は高く測定され、広い場合には低く測定されます。

血圧測定にまつわる注意点

2.マンシェットの巻き方のコツ
 マンシェットの内袋の中央、水銀血圧計であればチューブの位置を上腕動脈の上に当てます。マンシェットの下縁は、肘部より1~2cm上にし、測定者の指が1~2本入る程度に巻きます。

3.空気圧はどこまで入れる?
 以前の測定値から推定される収縮期血圧よりも、20~30mmHg高い圧まで加圧します。初めての測定の場合は、患者に普段の血圧値を尋ねても良いでしょう。

4.上肢での測定ができない場合どうする?
 上肢に内シャントや外傷、末梢ルートがある場合、または乳がんでリンパ郭清している場合、その上肢では測定はできません。反対側上肢で測定するか、大腿または下腿にて測定します。

5. こんな異常があったらどうする?
1) 上肢での左右差
 一般に10mmHg以下の左右差は正常とされます。左右を測定すると、収縮期血圧では25%、拡張期血圧では15%の者に10mmHg異常の差を認めることもあるといわれています。このことを踏まえて、それ以上の左右差がある場合は、解離性大動脈瘤や動脈炎症候群(高安病、脈なし病)などの可能性があります。

 解離性大動脈瘤の場合は、生命への重篤な影響がありますので、ショック状態の有無や腰背部痛など他の症状を含めて、至急全身のアセスメントが必要です。

2) 上下肢での左右差  
 前述したように、仰臥位では上下肢に血圧の差は生じにくく、立位の場合、下肢の方が約10mmHg高くなります。しかし、それ以上の差や上肢と比較して20mmHg以上の差がある場合は、上肢での左右差同様、解離性大動脈瘤など生命を脅かす異常の可能性があります。

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