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【連載】エキスパートが教える! 知っておきたい看護技術

Aライン確保の目的、手順、手技・観察のポイント

  • 公開日: 2019/3/6

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Aライン確保とは?

 Aライン(arterial line、動脈ラインとも)確保とは、動脈内にカテーテルを留置することです。

Aライン確保の適応

 持続的な血圧のモニタリング(観血的動脈圧測定)や頻回な動脈採血が必要な場合、マンシェットによる血圧測定ができない場合などに行われます。また、動脈圧波形を解析することで心拍出量を評価することも可能です。

 臨床では、手術中や集中管理下で多く行われています。

【Aラインが必要な例】
・持続的血圧モニタリングが必要な例:昇圧薬や降圧薬で厳密な血圧管理を行っている場合など
・頻回な動脈採血の例:呼吸不全で動脈血液ガス分析が必要、カリウムなどの重篤な電解質異常など
・マンシェットによる血圧測定ができない例:広範囲の熱傷や外傷など

観血的動脈圧測定とは

 観血的動脈圧測定は、動脈にカテーテルを挿入し、動脈内の圧力をトランスデューサーで検知し、モニター画面に圧波形として表示します。心拍出ごとに最新の収縮期血圧と拡張期血圧、そして平均血圧がわかります。

 一般的に、末梢側になるにつれて収縮期圧が上昇し拡張期圧が低下しますが、平均血圧(平均血圧=拡張期圧+収縮期圧/3)は、ほとんど変化しません。また、平均血圧は臓器還流を反映するとされています。

Aラインの刺入部位

 主に、橈骨動脈・足背動脈が用いられます。選択の理由として、血管が比較的太くて留置しやすい、万が一、空気が入り込んでも他の動脈からの血流があるため、塞栓症リスクが少ないという点があります。

 これらの動脈が触知困難な場合は、上腕動脈・大腿動脈が選択されますが、固定性や清潔面から橈骨動脈・足背動脈に劣ります。

橈骨動脈
橈骨動脈


足背動脈
足背動脈


上腕動脈
上腕動脈


大腿動脈
大腿動脈


Aライン確保の方法

 Aラインの確保は、動脈に穿刺するため、医師が行う手技です。看護師は物品の準備や介助を行います。清潔操作が必要になるため、看護師は滅菌物の取り扱いに注意します。

物品の準備

<Aライン挿入>
●20~22G血管内留置針
●シリンジ(5mL)
●局所麻酔薬・シリンジ
●消毒用綿球
●処置用シーツ(汚染防止)
●穴あきドレープ(滅菌)
●カテーテル用テープ・固定用テープ
●布地やタオルなど(手首を背屈させるため)

医師側:未滅菌手袋・滅菌手袋・マスク・ビニールエプロン
看護師側:未滅菌手袋

<観血的動脈圧測定>※装置によって異なる
●スタンド
●観血的動脈圧モニタセット(圧トランスデューサー・耐圧チューブ)
●耐圧延長チューブ(必要時)
●加圧バッグ
●圧トランスデューサーホルダー
●レーザーポインター(トランスデューサー設定用 ※使用しない施設もある)
●ヘパリン加生理食塩液(生理食塩液500mL・ヘパリンの量は医療施設の基準に応じる※ヘパリンを使用しない施設もある)

図 主な物品

生理食塩液など

①生理食塩液500mL、②加圧バッグ、③シリンジ、④20~22G血管内留置針、⑤観血的動脈圧モニタセット

圧トランスデューサー

⑥圧トランスデューサーホルダー

Aライン

準備

 医師による穿刺の前に、観血的動脈圧測定の回路をスタンドにセットしておきます。

 施設や装置によって準備方法は異なるので、使用説明書などに従います。

 空気が残っていると、空気塞栓を起こすリスクがあります。ライン内の空気を丁寧に抜き、空気が残っていないか確認します。

 また、接続部がゆるんだり、外れたりすると、出血してしまいます。確実に接続し、ゆるみがないかどうか確認しましょう。

●空気塞栓を防ぐポイント
・ラインをヘパリン加生理食塩液で満たすときは、ゆっくりとヘパリン加生理食塩水を流すと、空気が入りにくくなります。

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