1. トップ
  2. 看護記事
  3. 医療・看護技術から探す
  4. 採血
  5. Aライン確保の目的、手順、手技・観察のポイント

【連載】エキスパートが教える! 知っておきたい看護技術

Aライン確保の目的、手順、手技・観察のポイント

  • 公開日: 2019/3/6

【関連記事】
* 輸液ライン(点滴ライン)作り方 9ステップ
* 点滴と同じ腕(末梢から)の採血はOK? NG?
* 【血圧異常】異常に高い血圧への対応 7ステップ


Aライン確保とは?

 Aライン(arterial line、動脈ラインとも)確保とは、動脈内にカテーテルを留置することです。

Aライン確保の適応

 持続的な血圧のモニタリング(観血的動脈圧測定)や頻回な動脈採血が必要な場合、マンシェットによる血圧測定ができない場合などに行われます。また、動脈圧波形を解析することで心拍出量を評価することも可能です。

 臨床では、手術中や集中管理下で多く行われています。

【Aラインが必要な例】
・持続的血圧モニタリングが必要な例:昇圧薬や降圧薬で厳密な血圧管理を行っている場合など
・頻回な動脈採血の例:呼吸不全で動脈血液ガス分析が必要、カリウムなどの重篤な電解質異常など
・マンシェットによる血圧測定ができない例:広範囲の熱傷や外傷など

観血的動脈圧測定とは

 観血的動脈圧測定は、動脈にカテーテルを挿入し、動脈内の圧力をトランスデューサーで検知し、モニター画面に圧波形として表示します。心拍出ごとに最新の収縮期血圧と拡張期血圧、そして平均血圧がわかります。

 一般的に、末梢側になるにつれて収縮期圧が上昇し拡張期圧が低下しますが、平均血圧(平均血圧=拡張期圧+収縮期圧/3)は、ほとんど変化しません。また、平均血圧は臓器還流を反映するとされています。

Aラインの刺入部位

 主に、橈骨動脈・足背動脈が用いられます。選択の理由として、血管が比較的太くて留置しやすい、万が一、空気が入り込んでも他の動脈からの血流があるため、塞栓症リスクが少ないという点があります。

 これらの動脈が触知困難な場合は、上腕動脈・大腿動脈が選択されますが、固定性や清潔面から橈骨動脈・足背動脈に劣ります。

橈骨動脈
橈骨動脈


足背動脈
足背動脈


上腕動脈
上腕動脈


大腿動脈
大腿動脈


Aライン確保の方法

 Aラインの確保は、動脈に穿刺するため、医師が行う手技です。看護師は物品の準備や介助を行います。清潔操作が必要になるため、看護師は滅菌物の取り扱いに注意します。

物品の準備

<Aライン挿入>
●20~22G血管内留置針
●シリンジ(5mL)
●局所麻酔薬・シリンジ
●消毒用綿球
●処置用シーツ(汚染防止)
●穴あきドレープ(滅菌)
●カテーテル用テープ・固定用テープ
●布地やタオルなど(手首を背屈させるため)

医師側:未滅菌手袋・滅菌手袋・マスク・ビニールエプロン
看護師側:未滅菌手袋

<観血的動脈圧測定>※装置によって異なる
●スタンド
●観血的動脈圧モニタセット(圧トランスデューサー・耐圧チューブ)
●耐圧延長チューブ(必要時)
●加圧バッグ
●圧トランスデューサーホルダー
●レーザーポインター(トランスデューサー設定用 ※使用しない施設もある)
●ヘパリン加生理食塩液(生理食塩液500mL・ヘパリンの量は医療施設の基準に応じる※ヘパリンを使用しない施設もある)

図 主な物品

生理食塩液など

①生理食塩液500mL、②加圧バッグ、③シリンジ、④20~22G血管内留置針、⑤観血的動脈圧モニタセット

圧トランスデューサー

⑥圧トランスデューサーホルダー

Aライン

準備

 医師による穿刺の前に、観血的動脈圧測定の回路をスタンドにセットしておきます。

 施設や装置によって準備方法は異なるので、使用説明書などに従います。

 空気が残っていると、空気塞栓を起こすリスクがあります。ライン内の空気を丁寧に抜き、空気が残っていないか確認します。

 また、接続部がゆるんだり、外れたりすると、出血してしまいます。確実に接続し、ゆるみがないかどうか確認しましょう。

●空気塞栓を防ぐポイント
・ラインをヘパリン加生理食塩液で満たすときは、ゆっくりとヘパリン加生理食塩水を流すと、空気が入りにくくなります。

この記事を読んでいる人におすすめ

動脈血液ガスと静脈血液ガスの違い

動脈血液ガスと静脈血液ガスの違いについて解説します。 【血液ガスまとめ記事】 ● 血液ガス分析とは?基準値や読み方について 【関連記事】 ● 酸素化の指標、SpO2・SaO2・PaO2とは?● pHとPaCO2とHCO3-との関係 動脈血と静

2014/10/10

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, BEがよくみられる項目です。 主な基準値

2016/12/24

CaO2(動脈血酸素含有量)の見方と計算式

▼血液ガスについてまとめて読むならコチラ 血液ガス分析とは?基準値や読み方について  いまさら聞けない血液ガスに関する基礎知識。今回は、CaO2の見方、二酸化炭素の血中からの放出について、アシドーシスとアシデミアの違いについて解説します。 CaO2の

2015/3/11

動脈血液ガスと静脈血液ガスの違い

動脈血液ガスと静脈血液ガスの違いについて解説します。 【血液ガスまとめ記事】 ● 血液ガス分析とは?基準値や読み方について 【関連記事】 ● 酸素化の指標、SpO2・SaO2・PaO2とは?● pHとPaCO2とHCO3-との関係 動脈血と静

2014/10/10

カテゴリの新着記事

動脈血採血の看護|目的、部位、手順、検体の取り扱い、看護の注意点

動脈血採血とは  動脈血採血とは、経皮的に橈骨動脈や大腿動脈等を穿刺して、動脈血を採取することをいいます。動脈血採血は基本的に医師が行う手技であり看護師は行ってはいけない行為と思っているかもしれません。しかし、看護師は医師の指示のもと診療の補助として動脈血採血は実施可能であ

2023/12/9