pHとPaCO2とHCO3-との関係
- 公開日: 2015/3/17
pHは体の恒常性を判断するのに欠かせない指標です。pHはPaCO2とHCO3–によって調整されています。このPaCO2は換気により調節され、HCO3–は、腎臓により調節されます。今回からは密接にかかわっているpH、PaCO2、HCO3–をどう評価していけばよいのかを解説します。
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pHって何?
血液ガスのデータを見る場合、まずPaO2とPaCO2に注目する人が多いようです。もちろん、生命を維持するためには酸素化(PaO2)が最も重要ですが、体の細胞の働きを保つために重要なpHのバランスも忘れてはいけません。
pHとは、水溶液中の水素イオン(H+)の濃度を示し、体内の血液の状態が酸性であるか、アルカリ性であるかを表しているものです。
人間の血液は、化学的な中性よりもわずかにアルカリ性の7.40が中性となる性質をもっています。pHが正常値を外れると、酵素の働きや代謝に異常を生じます。そのため調節機能があり、pHは常に7.35~7.45に保たれるというわけです。
このpH値に影響を与えるのが、PaCO2とHCO3–です。
体内では有酸素呼吸により1日に12000~15000mmol程度の酸が産生され、H+が放出されています。そして、そのH+はすぐに二酸化炭素に置き換えられて体内に存在します。それが、酸を中和する「緩衝」機能であり、主に重炭酸イオン(HCO3–)によって中和されているのです。
PaCO2とHCO3–
二酸化炭素は呼吸によって排出されるので、揮発性の酸といって、成人の1日当たりの排出量は15000~20000mEq/kg(体重)となっています。体の中に二酸化炭素が増えると、延髄の呼吸中枢を刺激して呼吸回数が増えます。こういったメカニズムによって二酸化炭素はコントロールされています。
また不揮発性の酸はリン酸や硫酸などがあり、これは尿によって体外に排出されます。
PaCO2は、動脈血中の炭酸ガス分圧のことで正常値は40torrです。静脈血中の二酸化炭素は、肺胞内の二酸化炭素との分圧較差によって静脈血中から肺胞内へと移動し、呼気となって体外へ排出されます。