【NPPVのトラブル対応】患者さんが抑うつ状態になってしまったら?
- 公開日: 2014/5/1
NPPVでは、低酸素血症はもとより、そのメカニズムや構造上、エアリークやスキントラブル、粘膜の乾燥、腹部膨満など、特有のトラブルが存在します。
ここでは、トラブルの原因と対応のコツ、ケアのポイントを紹介します。
Q9 NPPV中の患者さんが抑うつ状態に!
A9 装着時間の短縮や中止を検討してみましょう
NPPVは通常、意識の鮮明な状態で実施するため、長時間マスクを装着していることによる圧迫感や閉塞感などが、精神的ストレスとなり、抑うつ状態を呈する患者さんがいます。
また、換気圧が高くなると患者さんは不快を感じやすく、これがストレスになる場合もあります。
特に高齢の患者さんなどでは、こうしたストレスから不穏を呈することも多いため、マスクを装着している間は、患者さんの状態をよく観察することが大切です。
時には医師と相談の上、装着時間の短縮や中止などを検討する必要もあります。
NPPVは本来、会話や食事ができることがメリットです。
このメリットを生かし、患者さんの話によく耳を傾け、訴えがある場合はストレス緩和に努めます。
ある患者さんの場合は、「新聞を読みたいのに、マスクがあるためにメガネがかけられない」ことがストレスとなっており、抑うつに陥っていました。
そこでメガネをかけられるマスクに変更したところ、マスクを受け入れられるようになり、精神状態も改善しました。
患者さんによっては、ストレスが抑うつに向かわず、マスクを拒絶する行動に向かう場合があります。特に急性期などで導入に失敗すれば、拒絶もあり得ますし、慢性期でも患者さん自身が“楽になった”という感覚を得られなければ、受け入れられません。
上手に導入できるか否かは、看護師の腕にかかっているといえます。
一方、高二酸化炭素血症や低酸素血症を呈すると、NPPV中に不穏を呈することがあります。
これらの場合、NPPVを中止し、迷わず気管内挿管に移行すべきでしょう。
NPPVは患者さんを鎮静(セデーション)してまで行う治療ではなく、誤嚥の可能性も生じて危険です。
「患者さんから、どうしても拒否された場合は、どうしますか」と、あらかじめ医師に確認しておくことや、患者さんや家族から、実施前に意向を聞いておくことが必要です。
続いては「普通のNPPVと睡眠時無呼吸症候群の人が使っているCPAPはどう違う?」について解説します。