【セミナーレポ】新卒訪問看護師教育プログラムセミナー
- 公開日: 2014/5/11
- 更新日: 2021/1/5
聖路加国際大学とケアプロ株式会社の共同事業「新卒訪問看護師教育プログラムセミナー(通称:きらきら訪問ナースの会」の様子をご紹介します。
新卒でも訪問看護師になれる!
4月19日(土)に、聖路加国際大学とケアプロ株式会社の共同事業「新卒訪問看護師教育プログラムセミナー(通称:きらきら訪問ナースの会」が開催されました。今回のセミナーは、全国の訪問看護事業所で新卒訪問看護師の採用・教育を促進することを目的としたもの。新卒採用を積極的に行う訪問看護ステーションの教育担当者と新卒入職者、それぞれの講演が行われました。
臨床経験がないとダメってホント?
最初に講演したのは、訪問看護ステーションみけの所長である椎名美恵子さん。
「“臨床経験が3~5年はないと訪問看護師にはなれない”という看護業界の先入観を払拭するため、新卒訪問看護師の教育には力を入れています」と椎名さん。
180時間以上の内部研修をはじめ、学会発表や看護大学、看護協会などが主催する研修会の参加を義務付けるなど、外部研修も設けているとのこと。また、訪問先で判断に迷った場合や困ったことがあれば、いつでも所長や先輩に相談できる状況にあるとし、スタッフ全員で教育に取り組んでいると言います。
魅力たっぷりの訪問看護
このような教育体制を整える訪問看護ステーションみけに、新卒で入職したのが矢作さん。入職してしばらくは同行訪問を実施。単独訪問に移ってからも、「判断に困った時は、すぐに先輩や所長に相談できる体制が整っているので、安心して看護に取り組めました」と話します。
さらに、ケアマネジャー、介護士など、さまざまな職種の人から知識やアドバイスをもらえるため、学習の機会も多いとのこと。
訪問看護師の魅力を「あらゆる人と生活・時間を共有できて、利用者さんとじっくり向き合えるところ」と話す矢作さん。「知識と技術をしっかりと身に付けて、利用者さんや職場で信頼される、懐の深い訪問看護師をめざしたいです」と締めくくりました。
「利用者さんの向き合える訪問看護は、看護の本質を追及できます」と椎名さん
次ページも引き続き、新卒訪問看護師教育プログラムセミナー の様子をご紹介します。
新卒者の教育で見えてきた課題とは?
さて、続いて講演を行ったのは、24時間365日のサービスを提供する、ケアプロ訪問看護ステーションの岩本大希さん。
「新卒者の教育には、看護師全員が携わるようにしています」と岩本さん。新卒者の教育に取り組むうちに、いくつか課題が見えてきたそうです。
【課題】
- 先輩との振り返りの時間を持つこと
- 病院に比べて、急変や緊急時の場数を踏む機会が少ない
- 教育者のあるべき姿の設定
- 担当させる利用者さんの設定基準
- 夜間・緊急時の訪問の開始時期と基準
- 同期がいないため、精神面のフォロー
現在は、精力的に課題解決に取り組み、新卒でも臨床経験が浅くても、訪問看護師ができる環境作りに力を入れていると言います。
自分が証明してみせる!
そんなケアプロ訪問看護ステーションに、新卒で入職したのが、小瀬文彰さん。当初は「自分がまず挑戦して、新卒でも訪問看護師になれることを知ってほしい!」と意気込んでいたものの、仕事ができる先輩たちに囲まれ、技術も未熟で役に立たない自分に落ち込む日々が続いたと言います。
また、同行訪問と単独訪問を繰り返し、技術に慣れてくると、身体面ばかりに気をとられてしまい、精神面のフォローがおろそかになるなど、なかなか成長している実感が持てなかったとのこと。 先輩たちの手厚いサポートを受け、入職して1年が経つ頃にようやく、自分ひとりで振り返りを行い、技術を成長させることができるようになったと言います。
入職してから今までを顧みて、「先輩たちの手厚いサポートで、新卒でも訪問看護師として成長することはできます」と小瀬さん。これからの活躍が期待されます。
「学生に訪問看護の魅力を伝えたい」と小瀬さん