第1回 がん化学療法に伴う口腔合併症の看護ケア
- 公開日: 2014/5/23
がんの化学療法では 、抗がん剤の副作用が口腔粘膜に及びやすく、高頻度で口腔粘膜炎などの口腔合併症が起こります。その結果、食事や水分摂取、会話などが困難になり、患者さんのQOLが著しく阻害されます。
外来でのがん化学療法がますます増える中で、どんなケアや支援が求められるのか。看護師に求められる口腔ケアのスキルを身につけるセミナーが開催されました。
治療に伴う口腔有害事象 看護は何を目指せるか
がん化学療法の副作用として高率に起こる口腔合併症は、患者さんのQOLを著しく阻害し、生命予後や、治療方針の変更にも影響を及ぼしかねない重要な問題です。
──がん専門病院で活躍する山田みつぎさんの、豊富な臨床経験に基づく問題提起からセミナーが始まりました。
看護の目標は、患者さんが治療を継続しながら、よりよいQOLを実現できるよう支援すること。そのためには、副作用症状の予防および早期発見と迅速な対応、個々の状態や生活に合わせたケアの工夫、セルフマネジメント力を高めるための支援などを行っていくことが必要だと述べました。
口腔粘膜のアセスメントとセルフマネジメント支援の実践法
予防や迅速な対応のために大切なのがアセスメントです。講義はそのポイント解析へと続きます。まず、発現のメカニズムから根拠に基づくケア方法まで基本を知ること。それに照らして、個々の患者さんの症状やリスクファクター、ケア能力などを判断すること。そして、行ったケアに対して何が、なぜよかったのか評価することを繰り返していきます。
また、これからのがん看護では、患者さんのセルフマネジメント能力を高める支援もますます求められます。「旅行に行っておいしいものを食べる」など、患者さんの目を一歩先のQOLに向けてもらえる目標を提案するといった、患者さんに寄り添う実践法の紹介が印象に残ります。
講義の様子