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【連載】急変対応マニュアル

ドクターコール、何をどう伝える?isbarcを用いた伝え方

  • 公開日: 2014/12/26

急変の徴候をキャッチできたら、それを誰かにつなげなければなりません。
事実を迅速かつ正確に伝えるにはいくつかのコツがあります。
誰に何を伝えるか、ここでは院内リリースのつなぎ方を解説します。


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▼急変対応について、まとめて読むならコチラ
急変時の対応



リーダーへの報告でできること

1.「何か変」だけどそれを誰かに報告すべき?

報告は複数の目で異変をキャッチするチャンス

 漠然とした変化を感じたとき、いつ・誰に・何を報告すればよいのか悩む人は多いようです。しかし、些細に思えるようなことでも、チームとして情報を共有することはとても重要。

 誰かに伝えて複数の人の目でアセスメント評価することで、以下2点のメリットがあります。

1.見逃していた急変の徴候をキャッチできる
2.より早い段階での対応が可能になる

 異変を感じたら、急変の徴候として確信できない場合でも迷わずリーダーに報告しましょう。

 報告するときは、

1.どこに違和感を覚えたのか
2.なぜ報告したいのか
3.バイタルサインの異常の有無

 などの情報を提供しながら説明します。

一次評価で急変の可能性をいち早くつかむ

 ここからはリーダーも、一緒にその患者さんのところに行ってさらに観察・アセスメントし、少し様子をみるか、医師に報告することになるでしょう。経過観察という判断になったとしても、患者さんに向けられる意識が変わるので、たとえその後に変化が生じても早めに対応ができるはずです。

 初めに何か変ときになった後に、より詳しく患者さんの状況を観察するため、一時評価を行います。

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 その結果を受け、リーダーは報告した看護師に、「どこを」「どのように」評価すればよいのかをフィードバッグしながら、急変に至る可能性を考えていくとよいでしょう。併せて、経過観察あるいはドクターコールの判断の理由も明確にしておきます。

医師への通報・報告の仕方とその内容

2.患者急変の第一報!医師には何をどう伝えればいいの?

緊急時こそ事実を的確かつ迅速に

 医師に通報する場合、どのように報告するかでその後の対応にも影響が及ぶため、事実を的確・迅速に伝えることが大切です。

 報告の形式としては、日本で以前から普及している「5W1H」、「SBAR」などがありますが、現在ではSBARに、報告者である自分(Identify)と、復唱確認(Confirm)を強調した「ISBARC」が用いられることもあります。

 SBARとISBARCの違いは、「報告者と患者の同定」をより重視するため、以前は「S」に含まれていた「I」を強調する意味であえて別にしているところにあります。また、医師への報告時は緊急で指示を受けなければならない状況が多く、電話等での口頭指示がほとんどです。そのため、事故防止の視点から口頭指示における復唱確認は必須とされ、「C」が追加となりました。

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 続いてISBARCによる報告の流れを具体的に解説します。

「緊急性」と「要請の内容」が報告のポイント

 報告時のポイントは、緊急性が高い症状を最初に伝え、医師に何を要請しているのかを手短に明瞭に伝えることです。

 例えば、診察してほしいのか、治療をしてほしいのか、薬を出してほしいだけなのかなど、何を目的に報告しているのかをはっきりさせます。また、要領よく迅速に報告するためには、緊急コールする前に報告内容を確認することが大切です。確認すべき内容としては、一次評価のサマリです。その他、カルテの確認、連絡する相手の連絡先などがあります。

ISBARCを用いた状況報告の流れと内容

 ISBARCによる報告は、次のような流れに沿って行います。

I Identify:報告者と患者さんの同定

 報告している人の所属と氏名、患者さんの氏名を伝えます。
■報告者の所属と氏名
→「私は○○病棟の看護師○○です」
■患者さんの同定
→「○○病棟○○号室の○○さんが……」

S Situation:患者さんの状態

 患者さんの状態を伝えます。
■患者さんの状態
→「ショックを呈しています」
■一刻の余裕もない場合はコードの一斉放送を要請する。

B Background:臨床経過

 患者さんの入院理由、目的、入院後の経過サマリ、バイタルサイン、患者さんの訴え、問題に関する身体所見などを要領よく、手短に報告します。
■入院になった理由やその目的と、入院後の経過のサマリを手短に報告する。
■バイタルサイン、SpO2値、現在投与している酸素の流量を報告する。
■患者さんの訴えや痛みの程度を伝える。
■患者さんの問題、特に急変の前兆に関連する身体所見を報告する。
■意識状態、不安・せん妄など意識内容・感情の変化、皮膚所見などを報告する。

A Assessment:状況評価の結論

 自分の評価を報告します。状況評価の結論は観察項目から主観的に導くもので「正解」はありません。急変対応の初動では「自分の評価」に自信を持ち、「判断」を述べることが重要。または、それを受け入れる医療文化が重要になります。
■患者さんの状態と状況に関する評価者の結論を述べる。
→「ショックと判断します」「心筋梗塞を起こしているかもしれません」
※「……かもしれません」「……の可能性があります」は有用な表現。結論として診断名を考える必要はありません。

R Recommendation:提言または具体的な要望・要請

 報告者は、どのような対応が適切と考えているかを報告します。
■報告者が適切と考える対処方法を提言する。
→「輸液の準備をしますか」「酸素投与量を上げたほうがよいですか」など。 採血と血液検査・X線撮影・12誘導心電図、ICUへの移動など。
■バイタルサインのチェック間隔とコールバックする場合について具体的な指示をもらう。
■Assessmentの結果、高度な緊急治療ができるチームあるいは主治医・当直医に要請事項があれば明確に伝える。
→「患者さんについて懸念があるのですぐに来てください」など。

C Confirm:指示受け内容の口頭確認

 医師の行動・指示内容を口頭で確認します。
■「すぐに来てくれますね」「ラシックスR20mg投与ですね」など、口頭指示の内容確認。

報告しやすい環境づくりのヒント

3.これって報告すべきレベルの異変?

オーバートリアージを恐れない

 異変を感じた看護師が、それを医師や先輩看護師に報告することをためらう理由の一つには、「そんなことで連絡してきたのか」と叱責されることへの恐れがあります。しかし、最も優先されるべきは患者さんの生命です。躊躇は捨てて、ちょっとした変化でも何かしら気に掛かるところがあるなら、しっかりとアセスメントして医師や先輩看護師に相談、報告していきましょう。

 それには、報告しやすい環境を作ることが重要です。たとえそれがオーバートリアージだったとしても、「気になったので報告しました」「報告してくれてありがとう」と言えるような体制づくりが求められます。むしろ、躊躇して急変を見逃すことに比べれば、オーバートリアージのほうがよいくらいかもしれません。良好な関係性が築けていれば、「○○さんが言うことだから」と注意を向けてくれやすくもなります。ただし、先を予測した報告をするためにも、自分のアセスメント能力を高めていくことは大事です。

連絡経路を確保しよう

 迅速な報告のために忘れてはいけないのが連絡経路の確保です。例えば、報告したい主治医あるいは担当医が手術中の場合はどう対応するか、夜勤時はどうするかなど、あらゆる可能性を想定して整備しておくとよいでしょう。主治医あるいは担当医以外の医師に報告する場合の報告の仕方としては、患者さんの治療経過などを詳しく伝えることがポイントです。

 急変対応はチーム医療です。お互いの意見を交換しながら相手を理解し、信頼関係を築いていくことが大切なのです。


(ナース専科「マガジン」2012年6月号より改変利用)

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