窒息への急変対応 5ステップ
- 公開日: 2014/12/15
急変に遭遇!そんなときに慌てず焦らず処置を行うには、急変対応を繰り返しおさらいしておくことが必要です。
今回は、「窒息」という緊急度の高い事態への対応を解説します。
ステップ1 早期に「窒息」を認識する
患者さんの気道閉塞について周囲の認識が早ければ早いほど、良好な転機をたどります。
異物による気道閉塞が「軽度」であれば、「咳き込む」という症状が出ます。
ただし、咳き込みが激しすぎて助けを呼べないこともしばしばあります。
また、咳と咳の間に喘鳴が聞こえることもあります。
重篤な場合では、
- 発声できない
- 弱い咳
- 吸気時の甲高い音
- 音がしない
- 増悪する呼吸困難
- チアノーゼ
などの現象が観察できます。
自分に窒息を起きていることを知らせるサインとして、自分の喉を親指と人差し指でつかむチョークサインは万国共通です。
チョークサイン(窒息を知らせるサイン)
ステップ2 周囲へ知らせる
ナースコールなどで助けを呼んで、患者さんが窒息していることを周囲に知らせます。
患者さんのそばを離れてはいけません。
他に協力者がいる場合は、ドクターコールや急変対応システムへの連絡を依頼します。
ステップ3 咳を促す(軽度の場合)
激しく咳をすると、しばしば気道に詰まっていたものが吐き出されることがあります。
自発的に強い咳をしている場合は、咳や努力呼吸を妨げないことが大事です。
強く咳き込んでいる場合は、そのまま咳を続けてもらいます。
正常に話すことができていても、しばらくは強く咳き込むことがあります。
ステップ4 異物を喀出させる
咳によって異物が喀出できない場合、また重度の気道閉塞の場合、異物を喀出させるための緊急処置、腹部突き上げ法(ハイムリック法)を行います。
腹部突き上げ法によって、内臓には大きな外力が加わります。
そのため、内臓損傷などの合併症が引き起こされることがあります。
腹部突き上げ法を行ったときは、腹痛やバイタルサインの変化、ショックの徴候の有無を観察します。
腹部突き上げ法(ハイムリック法)
小児や妊婦、肥満者などで腹部突き上げ法(ハイムリック法)ができない場合は、胸部突き上げ法と背部叩打法を併用します。
背部叩打法
1歳未満の乳児の場合は、乳児を腕に乗せ、胸部突き上げ法と背部叩打法を併用します。
乳児の窒息解除
ステップ5 心肺蘇生を行う
心肺蘇生を行う際は、気道確保し人工呼吸を行うたびに咽頭内の異物を探し、もし見つかれば取り除きます。
窒息解除のアルゴリズム
(『ナース専科マガジン』2015年1月号から改変利用)
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