1日当たりの最低必要尿量の基準ってどのくらい?
- 公開日: 2015/6/1
脱水や浮腫などの症候だけでなく、腎不全、心不全、糖尿病など、さまざな疾患の原因となるIN/OUTバランス(水分出納)。ここでは、IN/OUTバランスについて解説します。
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腎機能に問題がなければ、600mL/日くらいまで濃縮して、1日に産生される不要な物質すべてを排泄することができます。
腎臓が水分の再吸収を繰り返し、尿量を限界まで減らす
体液のほとんどは腎臓で再吸収されますが、エネルギー代謝などによって生成された老廃物などの不要な溶質は、尿とともに体外に排泄されます。
そのため、たとえ十分な水分を摂取できない状況にあっても、腎臓で再吸収を繰り返しながら、どうにか体内の水分量を確保しつつ、老廃物を排泄するための最小限の尿を確保しようとします。長時間水分が取れなかったときや、朝起きてすぐの尿の色が濃くなっているのは、再吸収を繰り返した結果です。
一般的に、人が通常の生活で老廃物を排泄するのに必要な尿量はおよそ1000mL/日とされていますが、腎臓の尿濃縮力が最大に機能したなら700〜800mL/日まで減らすことができます。さらに、蛋白質や塩分を減らした食事であれば、もう少し減らすことも可能といわれています。
少なすぎる尿量は循環血液量の減少を示している
尿量は体重1kgに対して0.5mL/時が最低でも必要とされます。したがって、体重×0.5mL×24という計算式で必要最低尿量を求めることができます。体重60kgの人であれば、60×0.5×24=720で、720mLが1日に必要な最低尿量になるわけです。
逆に、1時間当たり体重×0.5mLの尿量が得られない場合は、循環血液量の低下が既に存在しており、急性腎不全や循環血液量減少性のショックなど重大な合併症を招く危険があるので注意を要します。
加えて、絶飲食状態にある場合はもっとクリティカルです。生体が自らの筋肉や脂肪をエネルギーとして利用し、代謝を行っている以上、老廃物は生成されます。この老廃物を体外に排泄するためには尿量を維持する必要があります。
(『ナース専科マガジン』2015年6月号から改変利用)
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