1. トップ
  2. 看護記事
  3. 医療・看護技術から探す
  4. インアウトバランス
  5. 1日当たりの最低必要尿量の基準ってどのくらい?

【連載】IN/OUTバランスと輸液

1日当たりの最低必要尿量の基準ってどのくらい?

  • 公開日: 2015/6/1

脱水や浮腫などの症候だけでなく、腎不全、心不全、糖尿病など、さまざな疾患の原因となるIN/OUTバランス(水分出納)。ここでは、IN/OUTバランスについて解説します。


【関連記事】
IN/OUTバランスから見る「カリウム濃度異常」への輸液療法
1日当たりどのくらいの水と電解質量が必要?


腎機能に問題がなければ、600mL/日くらいまで濃縮して、1日に産生される不要な物質すべてを排泄することができます。

腎臓が水分の再吸収を繰り返し、尿量を限界まで減らす

 体液のほとんどは腎臓で再吸収されますが、エネルギー代謝などによって生成された老廃物などの不要な溶質は、尿とともに体外に排泄されます。

 そのため、たとえ十分な水分を摂取できない状況にあっても、腎臓で再吸収を繰り返しながら、どうにか体内の水分量を確保しつつ、老廃物を排泄するための最小限の尿を確保しようとします。長時間水分が取れなかったときや、朝起きてすぐの尿の色が濃くなっているのは、再吸収を繰り返した結果です。

 一般的に、人が通常の生活で老廃物を排泄するのに必要な尿量はおよそ1000mL/日とされていますが、腎臓の尿濃縮力が最大に機能したなら700〜800mL/日まで減らすことができます。さらに、蛋白質や塩分を減らした食事であれば、もう少し減らすことも可能といわれています。

少なすぎる尿量は循環血液量の減少を示している

 尿量は体重1kgに対して0.5mL/時が最低でも必要とされます。したがって、体重×0.5mL×24という計算式で必要最低尿量を求めることができます。体重60kgの人であれば、60×0.5×24=720で、720mLが1日に必要な最低尿量になるわけです。

逆に、1時間当たり体重×0.5mLの尿量が得られない場合は、循環血液量の低下が既に存在しており、急性腎不全や循環血液量減少性のショックなど重大な合併症を招く危険があるので注意を要します。

加えて、絶飲食状態にある場合はもっとクリティカルです。生体が自らの筋肉や脂肪をエネルギーとして利用し、代謝を行っている以上、老廃物は生成されます。この老廃物を体外に排泄するためには尿量を維持する必要があります。

(『ナース専科マガジン』2015年6月号から改変利用)

【関連記事】
電解質輸液製剤とは?「電解質輸液製剤」の種類を知っておこう!
抗生剤と生食50mlを、30分間 成人用ルートで投与する時、1分間の滴下数はいくつ?

この記事を読んでいる人におすすめ

輸液の看護|輸液とは?種類、管理、ケア

輸液ケアを行うときに、知っておきたい知識が得られる記事をまとめました。 輸液ケアとは  輸液ケア(輸液療法)の目的には、主に蘇生、生命の維持、栄養の補給の3つがあります。輸液は開始後ずっと同じものを投与しつづけるわけではなく、病態や疾患の悪化・回復に合わせて、

2016/11/3

【体液量について】体液はどのようにバランスを保っているのか?

脱水や浮腫などの症候だけでなく、腎不全、心不全、糖尿病など、さまざな疾患の原因となるIN/OUTバランス(水分出納)。ここでは、IN/OUTバランスについて解説します。 水分保持のために身体はどんな調節機能をもっているの? 腎臓が関与する2つの受容体が

2015/5/30

体液(体内水分)の役割

脱水や浮腫などの症候だけでなく、腎不全、心不全、糖尿病など、さまざな疾患の原因となるIN/OUTバランス(水分出納)。ここでは、IN/OUTバランスについて解説します。 水と電解質は不可分の関係 人体は体重の約60%が水分(体液)で占められています。そ

2015/5/28

「脱水」への輸液療法|インアウトバランスから見る!

脱水や浮腫などの症候だけでなく、腎不全、心不全、糖尿病など、さまざな疾患の原因となるIN/OUTバランス(水分出納)。ここでは、IN/OUTバランスについて解説します。 体内ではこんなことが起きている! 脱水(dehydration)は、「体液量、特に

2015/6/13

尿量を「0.5ml×Kg(体重)/h(時間)」に維持するべき理由

【関連記事】 ● 1日当たりの最低必要尿量ってどのくらい? ● 1日当たりどのくらいの水と電解質量が必要? 体重50kgの患者の場合、25ml/ hを維持 術後の観察項目として尿量測定は欠かせません。そして「0.5ml×Kg(体重)/h(時間)」を下回

2014/8/1

カテゴリの新着記事

体液過剰に対する看護計画|心不全の患者さん

心不全による体液量過剰が生じている患者さんに関する看護計画  心不全とは心臓に器質的、機能的な異常が生じて心臓のポンプ機能の代償機転が破綻した状態です。そして、それによって体液量が過剰になり、呼吸困難や倦怠感や浮腫などが生じます。今回は心不全による体液量過剰が生じている患者

2023/6/29