【連載】看護学原論に立ち戻って考える!KOMIケアで学ぶ看護の観察と看護記録
第2回 看護にとって「病気」とは?―看護のものさし①生命の維持過程(回復過程)を促進する援助
- 公開日: 2015/8/13
そもそも「看護」って何だろう?何をすれば看護といえるのだろう?本連載では、看護とはどのようなことであり、どのような視点で患者を観察し、また記録するのかについて、ナイチンゲールに学びながら解説します。
「回復過程」って何?
本連載の第1回で、「病気とは何か?」という問いに対しては、「健康でない状態」「何らかの異変を体内に抱えた状態」などという答えがあるとお話しました。
そして、もちろん、この答えは誤りではないですが、その答えでは看護独自の視点が欠けてしまうという点もお伝えしました。ナイチンゲールは、看護師としての独自性は病気を見つめるその延長線上にあると考えていました。
そこで改めてクローズアップされるのが彼女の疾病観です。
ナイチンゲールは「病気とは、その性質は回復過程である」と指摘しています。
これは、“病気は必ず回復するものである”ということを言いたいのではありません。
例えば、咳やクシャミなどの感冒症状が現れた場合、“その原因は「カゼという病気」があるからだ”と考えるのが医学一般の思考です。
しかし、看護では「病気とは、身体内部で働く自然の努力の現れである」という視点で症状をみるため、咳やクシャミは“身体にとって不要なものや害となるものを取り除こう(体外へ吐き出そう)とする「自然の努力」の現れ”と解釈します。
ではこの「自然の努力」とは一体何を指すのでしょうか。