第6回 せん妄を見逃さないためには?②認知症との見分け方
- 公開日: 2015/10/7
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認知症・認知機能障害の看護ケア|原因、症状、アセスメントのポイント
大きな手術後やがんの終末期などに極めて高頻度にみられる「せん妄」。せん妄は、注意力や意識が低下することで患者さんが転倒・転落したり、幻覚が見えて暴れたりと治療を大きく阻害するものです。特に低活動型のせん妄は見落としがち。本連載ではそんなせん妄へのアプローチ法をやさしく解説します。
今春から外科病棟に配属された看護師のAさん。担当患者さんが手術後にせん妄を発症してしまい、日夜悪戦苦闘・・・。これを機に、せん妄について体系的に勉強したいと考えています。
せん妄と認知症では原因が違う
看護師Aさん:「今回のテーマは『認知症との見分け方』ですね。せん妄と認知症、実際にどこがどう違うのか、今ひとつ自信がありません…。」
井上先生:「せん妄と認知症は似たような症状がたくさんありますよね。でも、見分けることはとても重要です」
看護師Aさん:「でも、せん妄と認知症、結局使う薬は一緒ではないのですか?」
井上先生:「確かに、どちらも不穏や幻覚・妄想などを認めることがあって、それに対して抗精神病薬を使われることが多いという共通点があります。ただし、せん妄の診断基準にもあったように、せん妄は身体疾患や薬剤などが原因で起こるものです。認知症は一般的には脳の器質的変化によるものですよね」
看護師Aさん:「原因が違うということですね」
井上先生:「その通りです。もし、患者さんがせん妄であるにもかかわらず、医療スタッフが認知症だと誤って認識してしまうと、どうなりますか?」
看護師Aさん:「せん妄であればその原因検索が必要ですが、それが行われなくなります」
井上先生:「その通りです。認知症とされた場合、行われることは対症療法としての薬物治療と看護ケアになります。せん妄は身体疾患や薬剤が原因ですので、そこにアプローチすることによってせん妄からの改善が期待できるかも知れないのです」
せん妄と認知症の症状の違い
看護師Aさん:「となると、せん妄と認知症をしっかり区別することが大切なのですね。では、具体的な違いについて教えて下さい」
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