1. トップ
  2. 看護記事
  3. 医療・看護技術から探す
  4. 急変対応
  5. 急変サイン・徴候
  6. 第11回 急変の予兆を知る 意識・精神活動の変化と「お決まりの抵抗手段」⑦「炎症反応と冬眠行動」

【連載】何かヘンだ”がわかる! 急変前に気づく五感アセスメント

第11回 急変の予兆を知る 意識・精神活動の変化と「お決まりの抵抗手段」⑦「炎症反応と冬眠行動」

  • 公開日: 2015/10/25

はっきりとした予兆もなく、患者さんが急変したり、重篤な疾患が進行していたりする経験があると思います。そのような急変に先立って、先輩の看護師や医師から「あの患者、何かヘンだよね」という直感的な台詞を聞いたことがあるかもしれません。

この連載では、急変前の「何かヘン」と感じる患者への直感的な違和感について解説し、急変を見抜く力を養います。


炎症反応と「冬眠」行動

「冬眠」行動は「淀んだ雰囲気」と「重苦しいムード」

有害刺激と炎症反応の深い関連を考えれば、「生命の危機」→「生き残りシステム」の活性化→炎症反応で抵抗」という一連の流れは、全身状態悪化のメインルートであることがわかるでしょう。血中に増加したサイトカインが炎症反応と「冬眠」行動を誘発します。

ところで、炎症反応は身体の「内」で活発に発動しますが、身体の「外」には発熱以外ははっきりした変化は起きません(炎症局所に関連する自覚症状や発赤・腫脹はあるかもしれませんが)。しかし、「はっきりした変化」ではありませんが、みなさんの直感に訴えかけてくるものがあります。それが、「冬眠」行動による「全体的イメージ」です。

「冬眠」行動によって「身体の動き」が抑制され、「心の動き(=頭の回転)」が停滞するため、患者には「淀んだ雰囲気」や「重苦しいムード」が漂います。おおざっぱに表現すれば「元気がない」「活気がない」「ぐったりしている」です。

「冬眠」行動による「雰囲気」や「ムード」の変化は、全身状態が悪化しつつあるときに、自覚症状や身体徴候よりも先に現れます。例えば、高齢者の敗血症や心筋梗塞は、しばしば「急に元気がなくなった」とか、「急に食事をしなくなった」という「家族の心配(直感)」をきっかけにして発見されます。

「冬眠」行動による「雰囲気」や「ムード」イメージ図

続いては「重症感の正体は?」について説明いたします。

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

発熱している患者さんのアセスメントと対応

事例紹介 患者背景 Nさん、50歳代、女性 ・身長154cm、体重72kg、BMI 30.4kg/m2 ・既往歴:なし ・内服歴:なし 現病歴 右大腿骨遠位下部粉砕骨折により手術を実施。術後は右大腿から下腿遠位にかけてシーネ固定を必要としたが、本日、手術後1

2021/7/15