【連載】何かヘンだ”がわかる! 急変前に気づく五感アセスメント
第11回 急変の予兆を知る 意識・精神活動の変化と「お決まりの抵抗手段」⑦「炎症反応と冬眠行動」
- 公開日: 2015/10/25
はっきりとした予兆もなく、患者さんが急変したり、重篤な疾患が進行していたりする経験があると思います。そのような急変に先立って、先輩の看護師や医師から「あの患者、何かヘンだよね」という直感的な台詞を聞いたことがあるかもしれません。
この連載では、急変前の「何かヘン」と感じる患者への直感的な違和感について解説し、急変を見抜く力を養います。
炎症反応と「冬眠」行動
「冬眠」行動は「淀んだ雰囲気」と「重苦しいムード」
有害刺激と炎症反応の深い関連を考えれば、「生命の危機」→「生き残りシステム」の活性化→炎症反応で抵抗」という一連の流れは、全身状態悪化のメインルートであることがわかるでしょう。血中に増加したサイトカインが炎症反応と「冬眠」行動を誘発します。
ところで、炎症反応は身体の「内」で活発に発動しますが、身体の「外」には発熱以外ははっきりした変化は起きません(炎症局所に関連する自覚症状や発赤・腫脹はあるかもしれませんが)。しかし、「はっきりした変化」ではありませんが、みなさんの直感に訴えかけてくるものがあります。それが、「冬眠」行動による「全体的イメージ」です。
「冬眠」行動によって「身体の動き」が抑制され、「心の動き(=頭の回転)」が停滞するため、患者には「淀んだ雰囲気」や「重苦しいムード」が漂います。おおざっぱに表現すれば「元気がない」「活気がない」「ぐったりしている」です。
「冬眠」行動による「雰囲気」や「ムード」の変化は、全身状態が悪化しつつあるときに、自覚症状や身体徴候よりも先に現れます。例えば、高齢者の敗血症や心筋梗塞は、しばしば「急に元気がなくなった」とか、「急に食事をしなくなった」という「家族の心配(直感)」をきっかけにして発見されます。
続いては「重症感の正体は?」について説明いたします。
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