【連載】何かヘンだ”がわかる! 急変前に気づく五感アセスメント
第11回 急変の予兆を知る 意識・精神活動の変化と「お決まりの抵抗手段」⑦「炎症反応と冬眠行動」
- 公開日: 2015/10/25
- 更新日: 2021/1/6
はっきりとした予兆もなく、患者さんが急変したり、重篤な疾患が進行していたりする経験があると思います。そのような急変に先立って、先輩の看護師や医師から「あの患者、何かヘンだよね」という直感的な台詞を聞いたことがあるかもしれません。
この連載では、急変前の「何かヘン」と感じる患者への直感的な違和感について解説し、急変を見抜く力を養います。
炎症反応と「冬眠」行動
「冬眠」行動は「淀んだ雰囲気」と「重苦しいムード」
有害刺激と炎症反応の深い関連を考えれば、「生命の危機」→「生き残りシステム」の活性化→炎症反応で抵抗」という一連の流れは、全身状態悪化のメインルートであることがわかるでしょう。血中に増加したサイトカインが炎症反応と「冬眠」行動を誘発します。
ところで、炎症反応は身体の「内」で活発に発動しますが、身体の「外」には発熱以外ははっきりした変化は起きません(炎症局所に関連する自覚症状や発赤・腫脹はあるかもしれませんが)。しかし、「はっきりした変化」ではありませんが、みなさんの直感に訴えかけてくるものがあります。それが、「冬眠」行動による「全体的イメージ」です。
「冬眠」行動によって「身体の動き」が抑制され、「心の動き(=頭の回転)」が停滞するため、患者には「淀んだ雰囲気」や「重苦しいムード」が漂います。おおざっぱに表現すれば「元気がない」「活気がない」「ぐったりしている」です。
「冬眠」行動による「雰囲気」や「ムード」の変化は、全身状態が悪化しつつあるときに、自覚症状や身体徴候よりも先に現れます。例えば、高齢者の敗血症や心筋梗塞は、しばしば「急に元気がなくなった」とか、「急に食事をしなくなった」という「家族の心配(直感)」をきっかけにして発見されます。
続いては「重症感の正体は?」について説明いたします。
>> 続きを読む
新着

急変を察知する実践法
緊急性が高く、患者さんの予後を左右するクリティカルケア領域に関する知識や技術について解説します。 急変予測に役立つ「情動」とは? 急変に関する重要な病態にはショックや全身性炎症反応症候群(SIRS)があります。 一般的な急変予測は、ショックやSI
-
-
- 第20回 五感アセスメントの総まとめ
-
-
-
- 第19回 自覚症状で捉える“何かヘンだ”―急性の「気分不快」
-
-
-
- 第18回 急変の予兆を知る 「行動」で捉える“何かヘンだ”
-
-
-
- 第17回 急変の予兆を知る 「顔」で捉える“何かヘンだ” ③「目」と「表情」
-