1. トップ
  2. 看護記事
  3. 症状から探す
  4. 皮膚障害・皮疹
  5. かゆみ・掻痒感
  6. 【ストーマケア】どう対処する? 副作用による掻痒感

【連載】ストーマケア 皮膚トラブル解決法

【ストーマケア】どう対処する? 副作用による掻痒感

  • 公開日: 2017/7/4
  • 更新日: 2020/10/21

【目次】


▼ストーマについてまとめて読むならコチラ
ストーマとは? ストーマケアについて


患者さんはどんな状態?

60歳代男性Fさん。既往歴なし。直腸がんで左下腹部にS状結腸ストーマが造設されました。セルフケアは自立。外来化学療法中。退院2週間後に「かゆくて眠れない」と訴えがありました。


原因はどこにある?

バリア機能が低下したのはなぜ?

 皮膚掻痒感の主な原因は、バリア機能の低下による乾燥です。なぜバリア機能が低下したのか(加齢、環境、排泄物、全身疾患、治療の副作用、ストーマのケア方法など)を突きとめる必要があります。掻痒感の原因になりそうな全身疾患や治療内容がないかを確認し、ストーマケアが原因か、疾患的なものなのかを見極めていきます。疾患が原因の場合は、医師の介入が必要になります。

 Fさんは、全身に掻痒感を訴えていましたが、掻痒感に関連のある基礎疾患はなく、発生時期が化学療法開始後であることから、治療の影響が考えられました。掻痒感の程度を確認すると、ストーマ装具の貼付部が一番強い状態でした。ストーマ装具の貼付部は、剥がす、擦るといった物理的刺激や、排泄物の化学的刺激など慢性的な刺激を受けることから、これらの影響も考えられました。さらに、ストーマケアの方法が間違っていると症状を悪化させてしまうこともあるため、日々のケアの仕方についても具体的に確認していきます。

アセスメントのPOINT

 掻痒感の出現状況、程度、発生時期(原因として考えられる要因との関連性)からアセスメントします。まず、皮膚の乾燥(角質肥厚、落せつなど)はないかをみます。ストーマ周囲皮膚の観察は、面板貼付部位だけでなく、貼付部外の皮膚と比較して観察すると乾燥していることがわかりやすいです。このとき、乾燥を誘発するストーマケア(必要以上に擦る、刺激の強い洗浄剤を使用している、装具の粘着力が強い時期に剥がしている、熱風による熱刺激など)を行っていないか、また、環境因子(暖房器具など)も確認するようにしましょう。

 ほかに、掻痒感に影響すると考えられる基礎疾患(腎疾患、肝疾患、内分泌障害、血液疾患など)や治療(抗がん剤、モルヒネ、放射線治療など)についても確認します。

掻痒感とは?

軽視できない掻痒感

 掻痒感(かゆみ)は皮膚をかいたり、こすったりしたくなるような不快な皮膚の感覚をいいます。

 掻痒感の多くの原因は乾燥です。例えば、がんの治療で化学療法を受けている患者さんの皮膚は、角質層の水分保持能力が低下することにより乾燥し、皮膚のバリア機能が低下します。乾燥した皮膚は、些細な刺激で容易に皮膚トラブルを起こしやすい状況になります。ストーマ周囲皮膚も常にさまざまな刺激を受けていることから、皮膚トラブルがないからといって軽視せず、患者さんから掻痒感の訴えがあれば、積極的に介入していくことが必要です。

原因に合ったケアを実施!

乾燥を助長させている要因を除去

 まず、掻痒感の主な原因として考えられる乾燥を助長させている要因を除去することが大切です。Fさんの場合、ストーマ周囲皮膚をナイロンたわしでゴシゴシ擦り、入浴後にストーマ部にドライヤーを使用していました。過剰な摩擦や熱刺激は皮膚を乾燥させ、掻痒感の原因になることを説明し、同意のもと中止してもらいました。

継続したスキンケアを

 Fさんは保湿剤を塗る習慣がなく、気が向いたときにのみ塗っていました。化学療法を受けている場合、症状がなくても保湿などのスキンケアを継続することが大切です。そこでFさんにはスキンケアの必要性を説明し、継続した保湿の習慣をつけてもらうようにかかわりました。

剥離剤で刺激を軽減

 通常、剥離剤は装具を剥がしにくいときに使用しますが、化学療法中は皮膚への刺激をできるだけ軽減するために、原則として非アルコール性の剥離剤を使用します。また、丁寧に剥離しても皮膚には負担がかかるため、Fさんの場合は装具の貼付期間を長めに設定し、可能な範囲で交換回数を減らしました。

掻痒感を緩和

 掻痒感が強い場合、ステロイド剤が処方されることがあります。塗布する際は、擦り込まず、皮膚にトントンのせるようにすると摩擦を最小限に抑えることができます。ほかに、アイスノンなどで局所を冷やすのも症状緩和には有効です。また、ステロイド剤を使用するよりも、保湿剤を使ったスキンケアなどもおすすめです。Fさんの場合も、原因をつきとめケアに関わることで、入眠できる程度に掻痒感は軽減しました。さらに、早期に介入することで重篤な皮膚トラブルを起こさず経過できました。

ケア方法のPOINT

 掻痒感の原因となる乾燥の要因を適切に判断し、それを除去することで症状改善につながります。

 ストーマケアに問題がある場合は、ケアの見直しを行います。ケアを継続するには患者さんの同意が必要です。まずケアを見直す理由をわかりやすく説明し、予防的スキンケア(愛護的な洗浄、保湿)が継続して実施できるようにしましょう。乾燥を防ぐために加湿器を使用するなど、環境を調整することも大切です。

 基礎疾患による影響が考えられる場合は、専門医を受診し診断・治療を受けます。抗がん剤やモルヒネ、放射線治療による影響がある場合は、主治医と相談し、治療を進めていきましょう。

患者さんにどう指導する?

定期的な受診を

 Fさんは現在、皮膚トラブルを認めていませんが、治療の影響から皮膚トラブルが発生しやすい状態です。一度皮膚トラブルが発生すると治りにくいため、装具の交換時は皮膚をみて、発赤や傷がある場合はすぐにストーマ外来を受診するように説明しました。

(ナース専科マガジン2015年10月号より転載)