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【連載】ストーマケア 皮膚トラブル解決法

【ストーマケア】どう選ぶ? 患者さんに合ったストーマ装具

  • 公開日: 2017/7/13
  • 更新日: 2020/3/26

▼ストーマについてまとめて読むならコチラ
ストーマとは? ストーマケアについて


患者さんはどんな状態?

 60歳代女性Aさん。右下腹部に回腸双孔式ストーマを造設、術後3日目より食事が開始となりました。5日目より便漏れが生じ、7日目には1日に何度も便が漏れるようになりました。「ストーマの周りがただれてピリピリ痛くて、袋も剥がれてしまう。便が袋の下に流れず袋の上部にたまってしまう」との訴えがありました。


原因はどこにある?

腹部の状態確認は臥位と座位で

 臥位ではストーマ周囲にしわやくぼみがなく、一見問題がないようにみえました(図1)。しかし、座位になると9時方向・12時方向にストーマに連結する深いしわを認め、ストーマ周囲全周にくぼみが生じました(図2)。離床に伴い、座位姿勢をとることが多くなったにもかかわらず、腹部のしわとくぼみの確認ができていなかったことが漏れの要因であるとアセスメントできました。

臥位の写真

座位の写真

 Aさんは単品系平面装具を使用していましたが、面板の柔らかい装具であっても、深いしわにより面板の貼付面が大きく曲がるため密着しにくかったこと、また、くぼみの部分に隙間ができたことで、便が皮膚と面板(皮膚保護材)間にもぐり込み、漏れが生じたと考えられました。また、もぐり込んだ便が皮膚に直接付着したことで皮膚トラブルが生じたことがアセスメントできました。

 さらに、食事を開始してから、排泄物に食物残渣が混じるようになりました。逆流防止弁(注1)に食物残渣が詰まることでストーマ袋の上部に便が停滞し、皮膚保護材の溶解が早まったことも考えられます。

(注1)逆流防止弁とは、ストーマ袋内において排泄物がストーマ側に逆流していくことを防ぐために、ストーマ袋上部のフィルムが二重構造となっており、数カ所の穴から排泄物がストーマ袋下部に流れる仕組み

アセスメントの POINT

 装具選択時の局所アセスメントにつなげるために、4つの観察ポイントがあります。

 まず1つ目はストーマの形状で、高さ・大きさ・形に応じた装具を選択します。2つ目はストーマ周囲の皮膚の状況です。しわやくぼみの部位・深さにより面板の形状や装具の硬さなどを考慮します。3つ目は腹壁で、腹壁の硬度により面板(皮膚保護材)の柔軟性を検討します。ストーマの形状・ストーマ周囲皮膚の状況・腹壁は体位によって変化しますので、仰臥位だけでなく、日常よくとる姿勢でも評価するようにします。4つ目は排泄物の量と性状です。排泄物の量と性状により皮膚保護材の耐久性を検討します。

 局所条件以外には、カットがうまくできない・自分ではストーマが見えない・面板との嵌合ができないなど、患者さんのセルフケア力と装具が合っていない場合もありますので、ケア状況を確認することも必要です。

原因に合ったケアを実施!

装具を再選択

 現在使用している装具は、Aさんの腹壁の状態と合っていないことから、以下の流れで装具の再選択を行いました。

面板の柔軟性

 柔らかい面板は腹壁への追従性を高め、硬い面板は腹壁を平面に安定させる特徴があります。柔らかい腹壁に柔らかい装具を貼付すると動きに負けてしまい密着しにくくなります。逆に硬い腹壁に硬い装具を貼付すると硬いもの同士が反発しあい、うまく装具が密着しません。そのため、柔らかい腹壁には硬い装具、硬い腹壁には柔らかい装具が適しています。Aさんの場合、柔らかい腹壁であったため、硬い面板を選択しました。

単品系か二品系か

 単品系は面板と袋が一体になっており、二品系は面板と袋を嵌合させて使用します。嵌合部があることで二品系は面板が硬めで、腹壁の動きを押さえ安定させることができるため、嵌合部のある二品系を選択しました。さらに、動きに対する安定を増すためにストーマベルトの併用も考慮し、ベルト連結部がある二品系を選択しました。

面板の形状

 面板の粘着面側の形状には、平面型と凸面型があります。Aさんはストーマ周囲皮膚にくぼみがあったため、くぼんでいる皮膚の隙間を埋めるために凸の形状が適していると考えました。また、ストーマに連結するしわがあり、凸の形状が近接部の密着を高めると考え、凸型嵌め込み具内蔵装具を選択しました。

ストーマ孔

 凸型嵌め込み具内蔵装具は、凸形状の嵌め込み具が装具に内蔵されています。凸型嵌め込み具内蔵装具は自由開孔より、既成孔のほうが近接部を効果的に押さえることができるため、既成孔を選択しました。

 Aさんのように、楕円形のストーマに既成孔の装具を使用する場合は、孔の内側に露出する皮膚ができるため、露出部位を保護することが必要です。そのため、露出した皮膚を保護する目的でリング状皮膚保護材も併用しました。

皮膚保護材の耐久性

 回腸ストーマのため、多量の水様便であっても溶け崩れしにくく、耐久性が高い、膨潤型の皮膚保護材を選択しました。

ストーマ袋の機能

 食物残渣で逆流防止弁がつまることが考えられました。そこで、逆流防止弁がついていなく、Aさんが慣れているキャップタイプの排出口のストーマ袋を選択しました。

びらんのケア

 びらんからの滲出液により皮膚が湿潤すると、面板の密着性が低下し、装具が剥がれやすくなります。粉状皮膚保護材は滲出液を吸収しながら、徐々にゲル化することでびらん部の治癒環境を整えつつ、面板の密着を助けます。びらん部に粉状皮膚保護材を振り、薄く残る程度に粉をはたいたあと、装具を貼付します。

装具交換の目安を調整

 びらんが生じている場合は、まず皮膚トラブルを治癒させることが大切です。びらんの程度や排泄物の潜り込みの状況により、その都度調整が必要になりますが、Aさんの場合、びらんが治癒するまでは1~2日で交換を行いました。びらんが治癒したあとは、剥がした装具の裏をみて、膨潤が圴一に5~8mmで交換できるように間隔を調整します。

患者さんにどう指導する?

しわができないように指導

 装具を変更したことで、皮膚トラブルは徐々に改善し、14日で治癒しました。

 ただし、装具が適正であっても、面板を貼る際にしわが伸ばせていないと、しわに沿って便が面板と皮膚の隙間に入り込んでしまいます。装具交換の際は皮膚を伸ばしながら貼るよう指導が必要となります。装具をよく見ようとAさんが前かがみになると、しわが寄ってしまうため、背もたれのある椅子やソファーに浅く座った状態で貼付してもらいます。

 また、装具が適正であれば、皮膚保護材は均一に膨潤します。均一に5~8mm程度に膨潤していることが適正に貼れていることの目安になります。交換の際は剥がした装具の裏を見て、1cm以上膨潤していたら交換を1日早くするよう間隔の調節を伝えます。

装具選択の POINT

 ストーマの高さ(排泄口の高さ)は10mm以上あると漏れにくいといわれています。そのため、ストーマの高さが10mm以上ある場合は平面装具を、10mm以下の場合は凸面嵌め込み具内蔵装具を検討します。

 ストーマ周囲のしわ・くぼみは、ストーマに連結するか・連結しないかを見ます。ストーマに連結し、腹壁が柔らかい場合は凸型嵌め込み具内蔵装具、ストーマに連結せず腹壁が硬い場合は、用手成形皮膚保護材でしわやくぼみを補正し、柔らかい装具を選択するとよいでしょう。柔らかい腹壁に柔らかい装具は粘着面の動きが安定せず剥がれやすくなります。逆に硬い腹壁に硬い装具では反発しあい密着しにくいです。柔らかい腹壁には硬い装具・硬い腹壁には柔らかい装具が、貼付面がフィットすると考えられます。

 ケア条件としては、装具交換の一連の流れのなかで、本人あるいはケア協力者ができない部分を補える装具(カットができなければ既成孔や自在孔、嵌合ができなければ単品系など)を検討します。

(ナース専科マガジン2015年10月号より転載)

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