手術室看護とは? 手術室看護師に必要なこと
- 公開日: 2017/3/18
手術室看護師の役割とは
周術期とは「患者が手術療法を選択するか否かに関する看護から、手術前・手術中・手術後を経て退院するまでの一連のプロセスに関わる看護(引用・参考文献1)」とされ、その上で「看護師は健康上の問題をもった人々が心身ともに自立できることを支援する専門職であり、患者さんの苦痛を軽減し、安全・安楽を保障することが看護の基本原則である(引用・参考文献2)」とされています。
患者さんが安全・安楽に手術を受けられるように、正しい知識を身に付け、常に最新の技術を円滑に提供できるようにすることが看護師の役割です。
一般的に手術を受ける患者さんはそれまで送ってきた日常が一変し、今後の生活に対する不安などさまざまな問題が起こります。また人それぞれで個別性があり、緊急手術となるとさらに多くの問題が起こり得ます。強い緊張状態や不安、手術中意識のない患者さんの声にならない訴えに耳を傾け、代弁者となり、患者さんの立場に立って考える必要があります。
手術を受けることは一生に一度あるかないかの出来事という人も多いでしょう。患者さんは執刀する外科医、手術室看護師に自分の運命を預けなければなりません。その期待に応えることが手術室看護師として大きな役割と言えると思います。
患者さんの不安軽減に努める
手術室看護師は術前訪問などを行い、医師からの説明や患者さんや家族がどのような思いでいるのか、手術に対する援助だけではなく手術を受ける前から受けた後まで、一つの流れとして看ていく必要があります。
術前訪問では患者さんの既往歴やアレルギーの有無など全身状態のアセスメント、手術を受け入れる心理状況、手術当日の流れなどの説明などを行い、患者さんが少しでも安全・安楽に不安が軽減できるようにアプローチしていきます。また、患者さんの個別性とニードに合わせた看護計画を立案し、必要時追加しながら看護を実践していきます。
器械出し看護師と外回り看護師の違いとは
手術中は主に器械出し看護師と外回り看護師の二つの役割があります。
器械出し看護師
器械出し看護師は術前に、術式名だけでなく患者さんの手術歴や現在の状態などから手術に必要な器械や物品を不足がないように準備します。術中は無菌操作による適切な使用方法で手術器械・物品を扱い、スムーズに手術が進行するよう介助を行います。ドラマなどで医師から「メス!」と言われた時に器械を渡している姿を良く見かけます。
その他にも、使用した器械やガーゼなどが手術前と数が合っているか確認することも重要な役割の一つです。
外回り看護師
外回り看護師は、患者の観察や看護記録・麻酔介助などの業務を行います。器械出し看護師は外科医と共に清潔野に入ってしまいますので、術中は清潔野以外の業務をすべて請け負います。手術中に必要になった物品の準備や、チーム医療として協働する為に全体的なマネジメントを行うことも重要な役割です。
手術の進行や状況を把握しながら業務を進める必要がありますので、経験年数の長い先輩看護師が担当することが多いです。
器械出し看護師と外回り看護師に共通して言えることは、外科医、麻酔科医、その他コメディカルとチーム医療として協働するために情報共有をし、コミュニケーションを密に取ることが重要です。
短い期間にいかに患者さんとかかわるかが腕の見せ所
手術室には看護がないと言われる場面を見かけます。しかし、それはまったくの間違いで、手術室にも看護が存在します。
確かに患者さんと話をするといった部分では機会が少ないかもしれないですが、周術期として患者さんを看ることに病棟看護師と手術室看護師と何も変わらないと感じています。
周術期という短い間、さらに患者さんとコミュニケーションを取りにくい状況の中、確実な情報を入手しアセスメントしていく必要があり、高い能力が求められると思います。さらに患者さんによって求めるもの、ニードに応えながら看護を実践できた時にやりがいを感じます。
引用・参考文献
1.竹内登美子:周手術期看護Ⅰ 外来/病棟における術前看護.医歯薬出版株式会社,2007.医歯薬出版株式会社
2.日本麻酔科学会・周手術期管理チームプロジェクト:周術期管理チームテキスト第2版.公益社団法人 日本麻酔科学会,2011.
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