認知症の「BPSD」を知る! 見極める!
- 公開日: 2017/4/10
BPSDがどのような症状なのか、対応するときに知っておきたいポイントを解説します。その困った症状がBPSDかどうかを見極めるためにも、まずはその全体像を知ることが必要です。そのうえで各症状への対応へ結びつけていきましょう。
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認知症・認知機能障害の看護ケア|原因、症状、アセスメントのポイント
知っておこう1 BPSDは認知機能障害(中核症状)とは異なる
認知症とは、一度獲得した記憶や言語などの認知機能が、後天的な脳の障害によって低下して、社会生活や日常生活に支障をきたし、それが持続する状態をいいます。
中枢神経変性疾患、脳血管障害、頭蓋内病変、神経感染症など多くの疾患が原因となり(認知症様症状を含む)、その中でも下記の4疾患の頻度が高く、重要になっています(表1-1)。
認知症で現れる症状には、中核症状と行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)があります(図1-1)。
中核症状は、脳の神経細胞が死ぬことによって起こる認知機能障害のことで、記憶障害、失語、失行、失認、遂行機能障害などがみられます。
それらに加えて、患者さんの性格や人間関係、環境要因などが複雑にからみ合って起こるのがBPSDです。
抑うつなどの精神症状、暴力、大声といった行動上の問題など多様な症状が現れます。BPSDは周辺症状と呼ばれていたものと概ね一致しますが、せん妄は含まれません。
せん妄は、疾病分類上認知症と同じ階層に並ぶ症候群に位置づけられ、認知症患者さんによくみられて対応に苦慮する症状の1つです。