ショック時の輸液(輸液蘇生)
- 公開日: 2017/4/13
輸液反応性とはなにか
ショック時には、輸液の急速投与を行います。これは、輸液によって一回拍出量が増えることにより、心拍出量が増えて、結果、酸素供給量が増えることを期待するためです。
一回拍出量、そして心拍出量が増えるのは、心臓の前負荷が影響します。前負荷とは、心臓が収縮を開始する直前に心筋にかかる負荷のことで、静脈から心臓に戻ってくる血液の量、すなわち静脈還流量、あるいは血管内容量と呼ばれることもあります。
前負荷が多ければ多いほど心筋が伸びて、その分、縮むため、心拍出量は増えてくるのです(図)。
以前は、前負荷の指標として中心静脈圧(central venous pressure:CVP)が使われていました。しかしながら現在ではCVPは、輸液によって心拍出量が増えるかどうか、すなわち輸液反応性の指標としての性能は低いことがわかっています。
つまり、CVPが低いときに輸液をしても心拍出量が増加しないことや、逆にCVPが高くても心拍出量が増加する場合が多いのです。実際、輸液反応性があるかないかをCVPで予測しようとしても50%の確率でしか当たらないのです1)。