歩行や座位が可能な高齢患者さんへのおむつケア【PR】
- 公開日: 2017/5/16
座位や歩行が可能な患者さんでもおむつが必要となるケースがあります。
このような患者さんは在宅で療養している方も多く、いかにADL・QOL を低下させないおむつを使用するかが大変重要です。
そこで今回は、座位や歩行が可能な患者さんには、どのようなおむつを選択するとよいのか、また、誤ったおむつの使用により生じた問題にどのように対応すればよいのかを、高齢者ケアのスペシャリストである東京都健康長寿医療センターの皮膚・排泄ケア認定看護師の野島陽子さんと認知症看護認定看護師の白取絹恵さんが解説します。
座位や歩行ができる人にはパンツタイプを
座位や歩行が可能な人にはパンツタイプのおむつが適しています。テープ式を使っている人も、ADLが改善してきたら日中だけでもパンツタイプにするとよいでしょう。
おむつ選びで重要なことは、①サイズが適切なこと、②座って過ごす時間が長い場合は特に、腹部を締め付けないこと、③足の付け根がきつくなく動かしやすいこと、④上げ下げが楽なこと、これらを踏まえて履き心地のよいものを選びます。
サイズが合っていないと、隙間からモレやくい込み(圧迫)による皮膚トラブルを生じるだけでなく、おしりの大きさから、おむつを使用していることが他者にわかり、自尊心を傷つけることにもつながります。
必要に応じておむつに尿とりパッドをつけてもよいでしょう。その場合、患者さんの失禁量に合った吸収量のパッドを選び、パッドは重ねづけしないようにします。
認知症がある場合でも、麻痺や疼痛などの運動機能に障がいがある場合でも、これらのおむつ選びの基本は変わりません。
モレや皮膚トラブルへの対応
おむつから尿が漏れてしまうときは必ず原因があります。
おむつのサイズが合っていない、吸収量と失禁量が合っていない、パッドを使用する場合はおむつの立体ギャザーの中に尿とりパッドがしっかり収まっていない、尿漏れが心配でパッドを何枚も重ね結果的にすき間ができてしまうといったことなどがモレの原因になります。
またおむつやパッドに違和感があると、患者さんが自分で直そうとして、パッドがずれてモレにつながることがあります。
例えば、男性の陰茎にいわゆる貝巻きをするとき、片側が防水シートのパッドを使ってしまうとそこに接する陰嚢が蒸れてかゆくなったりしますし、陰茎の位置や方向が習慣と違うと違和感を覚え、おむつを自分でいじってしまうのです。
おむつかぶれといわれる皮膚トラブルは、失禁関連皮膚障害(IAD)といわれます。
その原因の多くは、おむつによる接触性皮膚炎というよりは、皮膚のバリア機能が低下したうえに、排泄物が付着する刺激や、何度も洗浄を行うことによる擦る刺激、皮脂が除去されるための乾燥などによって生じることが多いです。
便失禁がある患者さんに尿とりパッドを使っていて、便が吸収されず皮膚が汚染されかぶれたケースもありました。
これらのトラブルは、愛護的な予防的スキンケアとともに、患者さんに合ったおむつやパッドを選び、正しく使えば防止できることが多いのです。
「この状況でおむつは当たり前だ」「いつもこのやり方だから」と漫然とケアをするのではなく、患者さんにとっておむつがなぜ必要なのか、またそのおむつが患者さんの病状やADL、失禁の状態、体格、生活習慣、在宅の場合は介護力などに合っているか、随時見直すことが大切です。
尿とりパッドもさまざまな種類があるため、パッドの特徴と使用者のニーズを考え選択するようにしましょう。
認知症患者さんに多いおむつの悩み
当院では、認知症患者さんの家族会などで皮膚・排泄ケア認定看護師と認知症看護認定看護師が協働し、在宅での排泄ケアについて勉強会を開催したり、ご家族からの相談にかかわったりしています。
夜間尿が多く、頻繁なおむつ交換が必要な方やおむつ交換に強い拒否がある方などに対して、本人と介護者の睡眠を確保するために、吸収量が多く、おむつ内のpHを皮膚と同じ弱酸性に長時間保つタイプのパッドを紹介したところ、本人のみならず家族もよく眠れたといったケースがありました。
また、失禁があるのに「自分は大丈夫」と言っておむつをはいてくれない、おむつやパッドを交換させてくれないといった相談が寄せられることがあります。
そのような場合、必要性を説明して納得してもらうことも大切ですが、かたくななときは無理強いせず、おむつを自然に受け入れてもらえるような工夫をしてみましょう。
薄めの尿とりパッドなど違和感の少ないものから始めたり、パッドをあらかじめ下着にセットしておき、下着交換のときにそのままつけてもらうとよいかもしれません。
パンツタイプのおむつを下着と一緒にタンスに入れておき、本人が偶然手に取ってくれるのを待つのも一案です。
匂いがしているのに取り替えさせてくれないときは、濡れていないかチェックするふりをしておむつを少し破き、「破れているから取り替えよう」と促したところ受け入れてくれたというケースもありました。
このように、受け入れてもらうきっかけを上手に作ることも大切です。
おむつがやむを得ず必要な状況であっても、おむつをつけることで患者さんの自尊心が傷ついたり羞恥心が生じることを忘れてはいけません。誰でも最後まで自分でトイレに行って排泄したいと思うものだということを念頭に、おむつケアにあたることが何より大切だと思います。
白十字 サルバやわ楽パンツ
お肌を考えた素肌と同じ弱酸性素材!
ヒトの皮膚表面はpH 4〜6程度の弱酸性といわれています。やわ楽パンツの吸収体(パルプ層)は皮膚と同じ弱酸性に調節されており、おむつ内の環境の改善が期待されます。
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パンツを引き上げると、装着前は開いているギャザーがスイン
グして立ち上がり、パッドを包み込みます。
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