第7回 角化した部位のケア・観察
- 公開日: 2018/3/14
今回は爪に続いて足裏の角化した部位などに行うやすりがけについてです。
角化は生活環境による乾燥、靴などの外的刺激(摩擦)、疾患や加齢による代謝低下が原因で起こります。
病気でなくても私たちのかかとや指先の皮膚が角化して硬くなったり、カサついて靴下に引っかかったり、ひび割れて痛かったりしますね。
糖尿病や高齢の患者さんにとっては感染の原因にもなることもあり、角化のケアは大切です。それには皮膚の構造、役割を理解し、適切なケアをしましょう。
1. 皮膚の役割と構造
皮膚は身体の表面を覆い、外的刺激から保護する、体温調節、知覚、排泄等を行う器官です。皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織の3層構造になっています(図)。
表皮
表皮は一番外側にあり、厚さは平均0.2mmの薄さです。足裏や手のひらは約0.6mmと厚いです。表皮は角質層、顆粒層、有棘層、基底層からなり、基底層で細胞分裂をして新しい細胞を作り、押し上げられた細胞は角質層で古いものから角質となってはがれ落ちていきます。これが垢です。
真皮
毛細血管、リンパ管、神経などが存在し、傷つくと痛みを感じ、出血します。
皮脂を分泌する脂腺や汗を出す汗腺もあります。外部からの刺激を感じ取るセンサーの働きもあります。
表皮に水分や栄養素を補給し、表皮の新陳代謝を助けます。
皮下組織
太い血管も通り、主に脂肪細胞でできていて、外的刺激に対してクッションのような役割があります。栄養をたくわえる働きもしています。
※ターンオーバー
皮膚の新陳代謝のサイクルを「ターンオーバー」といいます。
平均は28日だと言われますが、洗浄、保湿が行われ、栄養が満たされていることが条件です。新陳代謝がうまくいかないとターンオーバーのサイクルが伸びたり、角質が傷ついたりはがれすぎたりすると細胞分裂や角質肥厚の速度が早まり、弱かったり、かたい未熟な角質層ができてしまいます。皮膚のこすりすぎやピーリングは注意が必要です。
2. 角化の原因 ―乾燥・加重―
角化とは「角質肥厚」といい、足裏の場合は角質の乾燥や加重により異常に厚くなることが原因となります。
角質肥厚の原因である乾燥は皮膚の新陳代謝の異常で起こります。
水分が不足した皮膚は見た目にもがさがさして潤いがなく、柔軟性も失われています。
乾燥によって皮膚を守るバリア機能が低下し、少しの刺激にも反応するようになります。
それは「かゆみ」として起こることが多く、かゆみ→かく→傷ができる→かゆみ、痛み、感染の悪循環となるわけです。
乾燥の要因はエアコンやあんかなどの冷暖房器具、保湿剤などのケア不足、水分摂取不足、体液循環の低下などが挙げられます。
もうひとつの原因である加重ですが水分や油分がしっかりとある足底は少しぐらいの無理な加重でも修復することができますが、乾燥や靴下、靴による圧迫に体重が加われば危険を察知した脳が皮膚を硬くして防衛に入ります。これが角化となるのです。
小指の裏側や指先にもみられます。
また、皮膚の防衛反応はこすられる刺激によっても起こりますので足に合わない靴のずれやしめつけにも注意しましょう。整形外科の患者さんは履物、ギプス、インソール、足底板などの装具による擦れも観察してください。
まずは「観察」、角化肥厚の状態(部位、範囲、厚み、障害があるかどうか?)、そして「ケアを選択」します。複数の選択肢から組み合わせを考えてみましょう。
1の保湿でだめなら2の薬剤を使用。それでも困難なときに削ってから保湿します。
次回は実際のケアをご紹介します。
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