第44回 夜勤時にトイレで転倒した患者さん
- 公開日: 2018/3/24
今回は、夜勤時に患者さんが転倒した際にどのような行動をとるかを考えてもらいました。
【事例】
クロイツフェルト・ヤコブ病の70歳代の患者さん。車椅子移乗軽介助の状況で、食欲不振で入院してきました。
ある日の夜中、身障者トイレまで介助し、終わったらナースコール押すよう説明して退出。物音がして行くと顔面から倒れていました。腫脹が強くあり、内出血もしていますが、バイタルに大きな変化はありませんでした。
ナースプレスでアンケートを実施、回答者数は200名。
このような状況の患者さんを見つけたとき、あなたならどう行動しますか。
まずは、Q1とQ2の回答について紹介します。
Q1. このような状況の患者さんを見つけたとき、あなたならどう行動しますか。 | Q2. Q1の理由を教えてください。 | ニックネーム |
---|---|---|
応援を呼びバイタルサインの測定。その後主治医へコールし診察依頼する | 急変の可能性もあり人手がいたほうがいいため | まろろんさん |
ナースコールで応援を要請。当直医に報告し、指示をもらい必要な検査、処置を実施。顔面から転倒ということで頭部外傷も想定して夜中でも家族に連絡、状況説明と謝罪をする。病棟責任者が出勤し次第報告 | 頭部外傷を想定すると重大事故のため | sさん |
意識状態の確認、皮膚の状態、痛みの有無を確認。他の看護師を呼び車椅子に乗せベットに寝かせる。医師に報告する | 頭を打っているので頭蓋内圧亢進症状がないか等をアセスメントし、医師の指示を仰ぎたいから | ぱっちゃさん |
1.スタッフを呼びベッドへ 2.意識レベル・痛みの確認、内出血部・腫れに対し冷罨法を実施。当直医に報告など速やかに行う。夜勤中の管理責任者(上司)への報告も行う | 急性期の打撲・内出血に対しての応急処置と転倒であるため。必要時レントゲン・CTなどの指示をもらうため。疾患的な細かな情報はないが見守りの必要性があったかもしれないため | おばさんナースさん |
ほかに出血がないか全身状態を観察する、頭痛などの有無を確認する、意識レベルの確認 | 顔面殴打による意識レベルに変化が起こるおそれがあるため | かりんさん |
バイタル測定後、医師に連絡して診察を依頼。頭部CTを撮る | 顔面打撲等なると、頭部の急性硬膜下血腫のリスクあり。転倒直後のCTを撮っておけば、症状出現時に比較できる | マリンさん |
当直医へ報告し診察を依頼する | 顔面から倒れていたということで頭部強打、骨折の可能性が考えられるためである。また、倒れた経緯が不明であるが症状が進んだか、内服薬の影響なのか不明であるが異常の恐れがあるので当直医の診察してもらうため | かなりのまさん |
まず、動かさず呼吸と意識を確認します。次に人を呼びます。瞳孔不同がないこと、気分不快がないことを確認し、駆けつけてきたもう一人の看護師と2人でゆっくり仰臥位または座位にし、血圧測定。手足が動くかどうか確認し、痛みなく異常なければ車椅子に2人介助で移乗します。 | 低血圧、脳血管疾患など、重篤な疾患の可能性を考えて | オリーブさん |
全身観察、バイタル測定後応援スタッフを呼び、ベッドへ臥床させ時間ごとに経過観察を行う | 顔面からの転倒により、内出血状態のため、血腫に伴う意識障害など注意して見る | たくママさん |
普通に 大丈夫ですか?(実際大丈夫ではないけど)と声かけして意識、レベル確認しつつ、すぐに人を呼びます。バイタル測るのはそのあとじゃないかと。そこまで1人でしない | 車椅子介助の患者さんが、トイレという狭い空間の中で、1人で使用とするのは危険だし、無理があるし、何かあったら対処できなくなるから、バイタル以前の話 | 幸作さん |
医師に報告し経過観察を続ける。トイレも見守りに変更する | 時間が経ってから状態が変化する可能性もあるため、早期に発見治療するため。そして、同じ事故を防ぐため | akさん |
スタッフコールを押し、スタッフと一緒に車椅子に乗せる。そのあと医師に電話で報告する | 内出血や腫張があり、顔面を打っているため異常が出てくる可能性があるから医師に報告する | マイロさん |
医師への報告、診察依頼、安静を促し腫脹している部分の観察。身体の可動域の確認、冷罨法の施行、内出血の部分が広がるようであれば、再度医師に報告指示を受ける | まず医師への報告と診察依頼は、どの患者さんにおいても必要と考えている。顔面から倒れているとの情報なので、頭部へのダメージもあると考える。出血の状況にも注意し、脳機能障害に伴う症状の出現に注意することが必要と考えた | Kさん |
バイタルサイン測定し、車椅子で病室へ戻る。顔面の症状以外にぶつけたところはないか観察して医師へ報告する。頭部外傷の可能性もあるため、検査など指示をあおぐ。管理師長へ報告する。転倒転落のアセスメントを再評価し自身のトイレ介助が適切だったか振り返る | 腫脹と内出血もあり、頭部や他の部位も症状がある可能性も考えて全身観察する。また外傷部位によっては医師の指示が必要と考える。夜間帯の転倒転落なので、管理師長に報告しておく必要があると考える。また、患者さんのそばを離れても大丈夫なのか付き添っていたほうが良かったのか転倒転落のリスクを再度チェックしたり認知能力はどうだったのか確認するため、自身の行動の振り返りを行う | かまいたちさん |
発見者はその場を離れず、ほかの看護師を呼ぶ | 頭部を殴打している可能性があること、自身が離れている間に急変する可能性があるため、絶対に離れない | ちゃんこみさん |
意識の有無確認し、意識あるようなら、スタッフをもう1人呼び、車椅子かストレッチャーにて明るいところへ運ぶ。意識がないならドクター.コール | バイタルが安定しているため、詳しく傷や打撲部位、転倒時の状況を確認したいので、意識があるなら明るいところへ運ぶ。ないなら頭部の腫脹あるため、勝手に動かさないほうが脳への負担少ないと思う | n.s.さん |
意識レベルを確認しながら他のスタッフを呼ぶ。意思の疎通がとれるようなら打った所や、痛みなどを確認しながら介助で車椅子あるいは、ストレッチャーに乗せ部屋に戻り医師に報告する。医師に報告するタイミングとして明らかな骨折がありそうときや、レベルが落ちているときはその場に医師を呼ぶ | 介助者が1人よりも2人で介助したほうが、速やかに移動でき、患者さんにも大きな負担にならないから | テルマロさん |
患者さんの意識レベル・疼痛、骨折所見の有無を確認しバイタル測定を行う。他のスタッフが必要であれば応援を呼ぶ | 腫脹・内出血とあるため、先に意識レベル・骨折はしていないかの確認をし、状態を確認した上でそのあとバイタルを測定しようと考えた | yuuukiさん |
同僚看護師に報告し一緒に病室へ連れ帰り、ベッド安静とする。その後、医師へ状況を報告し指示を仰ぐ。その後も、バイタルの変化や、視力の変化、頭蓋内圧症状の有無を観察していく | 顔面から転倒し内出血もある状態なので、視力や頭部への影響から見え方の変化があったり、頭蓋内圧症状(頭痛.吐き気)が出てくる可能性が高いと思ったから | はっちさん |
意識レベルの確認。同勤務帯のメンバーへ応援要請。当直医師への報告 | 意識レベルによって、緊急度が変わると思いました。起こせそうな状態であれば、1人で起こすより、2人で介助したほうが安全だと思います。自分の観察だけでは、不十分だったり、判断ミスがあるかもしれない(それではいけないのでしょうが……)ので、医師による診断、判断があったほうがよいと思いました | はなさん |
スタッフを呼び、患者さんをなるべく揺らさないようにしてベッドへ運ぶ。医師への診察依頼 | 身体内部の損傷の有無の確認 | nagi MAMさん |
まずは看護師の上司に報告、その後当直医師に状況を報告し、診察を依頼すると同時に、主治医に報告すべきか判断を仰ぐ。レントゲン技師が当直していれば頭部CTが撮影できるか確認する。できるようであればルートを確保し、患者さんを直ちにCT室へ搬送する | 外見上では確認できない事象が起こっている可能性があるため。看護師のみでは診断できないため | yuhy722さん |
大声で他のスタッフに助けを求める。主治医に報告。主治医がすぐに来院できない場合は、当直医や救急担当に依頼。とにかく早期に、頭部CTや腫脹部位の診察等の全身状態を診てもらえるように依頼する。リーダーや責任者に適宜報告し、決して独断で判断しないこと | そのとき、大丈夫と自己判断しても、後で骨折や頭部の硬膜下血腫等の発生、急変の恐れがある。転倒転落だけではなく、その他の出来事でも自己判断は一番危険 | tさん |
患者さんがまだ転倒した場所にいる場合は、介助でベッドまで戻す。転倒した原因(1人で戻ろうとしたのか、ナースコールを押そうとしてバランスを崩して転倒してしまったのかなど)を本人へ確認する。転倒した理由を聞きそのまま今の部屋で問題なければ手元にナースコールを置いて退出する。転倒の危険があり、ナースステーションに近い部屋に変更が必要であれば、リーダーと相談して移動をする。主治医に患者さんの状態等を報告し、指示を仰ぐ | ナースコールを押すよう説明したにもかかわらず、1人で戻ろうとしてしまったのであれば、また1人で行動してしまい、再度転倒してしまう危険があることからナースステーションに近い目の届くの部屋へ移動を検討する。ナースコールを押すつもりであったが、ただバランスを崩してしまっただけであれば、本人へ必要性を説明して、排泄時は看護師は退出せず、トイレの扉の前で待つなど、問題に対して対処できるため。また、転倒時はバイタルは大きく変化ないとのことだが、患者さんは頭部疾患にて入院されており、顔面から転倒、腫脹が強い、内出血があるということから、主治医に経過と状態を説明し指示を確認するもしくは可能であれば患者さんの診察を依頼する必要があると思う | 蘭子さん |
主治医に報告する。顔面の腫れには冷罨法。転倒転落予防を再点検する | 小脳失調から転倒しやすい。また認知症など、進行が早い | めんまさん |
人を呼んでベッドに戻し、バイタルチェック、打撲による負傷の確認、異常の有無確認、転倒時の状況確認、当直または主治医に連絡し診察依頼。結果を踏まえて家族に連絡します | 患者さんの安全確保、異常(けがの有無)の確認、起きたことの事実と状況を家族に認識していただくため | ももさん |
患者さんの状態を観察、安全確認、同僚にコールして応援要請、医師と管理当直に報告 | 顔面から倒れていたので、脳損傷の危険があると考える。また、腫脹や内出血による圧迫の危険もある。外傷の危険もあるため、感染に注意しながら全身を観察し、二次的事故を防ぐため安全確認。必ず医師に報告して診察依頼し、管理当直の指示を仰ぐ | サトさん |
Q3. バイタルサインを確認後、そのほかにどこを確認しますか。
●打撲傷の有無、痛いところがないかを本人に聞く。どうして転倒したのかを確認する(リーフレタスさん)
●意識レベルの確認。瞳孔確認。他に打っているところはないか、打っていたら衣服をめくり出血や腫脹がないか骨折していないか確認(宮本さん)
●患者さんのJCSスコア、外傷の有無、他の疼痛部位、など(まめこさん)
●視覚異常、感覚障害、頭痛、嘔気、などないか確認(ましろさん)
●話ができるなら倒れた経緯を聞く、その時に症状の悪化がないか(身体の動き、めまいなど)、疼痛があるかを確認する(かなりのまさん)
●瞳孔不同の確認。顔面、頭部、その他外傷はないか。気分不快、吐気、嘔吐はないか。手足が動くかどうか。痺れはないか。呂律は正常か。どこか痛みはないか(オリーブさん)
●意識レベルや四肢可動域、瞳孔などの神経症状の有無、嘔吐や疼痛の有無。出血や腫脹の増悪の有無(ちゃんみーさん)
●意識障害がないか、瞳孔の左右差、会話は通常通り可能か、痛みの程度、転倒後立ち上がり動作など、動ける範囲は変化しているか(ぽっぽ24さん)
●頭部症状や嘔気、嘔吐、全身の打撲や骨折の有無、麻痺など(KMさん)
●本人の認識、身体損傷の程度による影響など、報告するために必要な情報(jamさん)
●顔面の傷の状況を確認し、それ以外に受傷部分がないか確認する(おはぎケンタッキーさん)
●他にケガがないか、感覚の確認しつつ、会話状況、意識レベル確認を確認します。また、患者さんがこの転倒をどう受け止めているのか、自分が悪かったと思っているのか、看護師の対応が悪かったと思っているか、その後のトラブル防止のためにも 会話から読み取ろうとします(幸作さん)
●意識レベル、顔面の皮膚状態、内出血の範囲、顔面以外の創部がないかどうか(ゆんさん)
●排泄前であったか後であったかを確認する。前であれば、尿意便意について聞き、そのままトイレ介助するかおむつにするかを決める。後であれば汚染がないか確認する。(MHさん)
●顔面の傷の程度、意識レベルの観察、手足が動くかどうか、痛みがないかをみる(たいたかそうさん)
●顔面以外に打った所がないか、全身確認。意識レベルに変化はないか、頭蓋内圧亢進症状や神経症状の有無。顔面の出血、腫脹の状態を経過観察する(ゆっこさん)
●腫脹の部位と程度、意識レベルの変化、振戦・不随運動の有無、麻痺の出現、言語障害の有無、悪心・嘔吐、末梢冷感の有無、発汗の有無と程度(yoshiboさん)
●1.意識レベルを観察する。2.鼻や耳からの出血の有無を観察する。3.鼻筋が曲がっていないか、頬の左右の高さが同じか、全身の痛みはどうか、観察する。4.瞳孔の左右差、ものが二重に見えないか確認する。5.嘔気・嘔吐症状の有無を観察する。6.患部のクーリングを行う(Shion1947さん)
●最低6時間はバイタルと全身状態の観察。他骨折の有無 頭部症状の有無(うめさん)
●眼振や眼球偏位、四肢の動きなど(はしさん)
起こったことにどう対処するか
今回のアセスメントは、Q1・2・3は、今起こったことに対してどう対処するかを聞き、Q4は、今後について聞いています。Q1・2・3については、みなさんそれほど違いはありませんでした。Q1・2では、バイタルサインの確認。次に、打撲、外傷、骨折についての観察を入れられているとよいでしょう。さらに、顔面を打ったことによる頭蓋内の出血の可能性も考え、頭痛、悪心・嘔吐がないかも挙げられるとよいですね。
Q3もみなさんそれほど、違いはありませんでしたが、バイタルサインの中に意識レベルが含まれていると考えているかどうかで、違いはありました。ここで意識レベルの確認を入れている人は、バイタルサインの中に意識レベルを含めないで考えているのだろうということが推測できます。
さて、ここまでアセスメントしてもらったところで、さらにみなさんならどうするかを聞いていきたいと思います。
結果は次回、紹介します。