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【連載】Nursing 最前線 ―看護の現場をリポート―

シミュレーションや動画を活用した実践的な研修を導入し自立したICU看護師を育成<公立陶生病院>【PR】

  • 公開日: 2019/2/20
  • # 注目ピックアップ
  • # 看護師インタビュー

 瀬戸市・尾張旭市・長久手市の3市(一部事務組合)で構成される公立陶生病院は、尾張東部医療圏(瀬戸市、尾張旭市、長久手市、日進市、東郷町、豊明市)をはじめ、名古屋市東部や春日井市の一部までをカバーする病院です。高度・救急医療を支えると共に地域の基幹病院としての役割を果たすため、各専門職の教育研修に積極的に取り組んでおり、なかでも集中治療室(ICU)では、実践的な研修によって自ら動ける若手看護師が育っています。


知識定着率に基づき感じ体験できる研修を構築

 公立陶生病院集中治療室(以下、ICU)は、病床数8床、医師や看護師など39名のスタッフを有しています。呼吸にかかわる症例が特に多く、ECMO*1などの最新治療も積極的に行っています。

研修動画を確認している写真
研修動画はICU内のどこでも閲覧可能。実践の前に技術を再確認することができる

 「ICUの看護師には、最先端の医療を提供できる知識と技術に加えて、向上心や探究心など自ら学ぶ姿勢が必要。その一方で、患者さんの言葉にできない思いをくみ取り、生活に目を向けたケアを実践することも重要です」と話すのは濱本実也師長。スタッフで決めたICUのスローガン「おもいやり日本一」から志の高い人材が育っていることがうかがえます。

 ICUでの研修で取り入れている「ラーニング・ピラミッド*2」の考え方では、「講義」で5%だった知識の定着率が、「資料を読む」「視聴覚」「デモンストレーション」「グループ討論」「体験」と体験度が増すごとに高まり、「教える」に至ると90%になります。

ICU内の様子
ICU内の様子。状況に応じて多職種が連携し、チームによる高度な医療を提供している

 「ICUの研修では、卒後2年目から講師として『教える』を経験します。教えるために学び直しやトレーニングをすることが、講師となるスタッフの成長を加速させてくれます。講義の質は認定看護師や先輩看護師、ほかの専門職のサポートで担保。そのやりとりも知識を得る機会になっているようです」

 教育を担当する生駒周作集中ケア認定看護師はこのように話し、スタッフの学ぶ姿勢の変化・成長を実感しているといいます。

ICUメンバーの写真
お話をうかがったICUのメンバーたち。左から、生駒認定看護師、伊東看護師、鵜飼看護師、濱本師長、福家看護師

「動画」「シミュレーション」で知識・技術と考える姿勢を養う

 研修の大きな柱は、受講者が自ら感じ体験すること。急変対応研修などですでに行われていた「動画の活用」と「シミュレーション」を導入しました。

シミュレーションを行っている写真
理学療法士も加わり「気管内挿管患者(模擬患者)のリハビリテーション」をシミュレーション。患者さんのアセスメント、安全確保、苦痛の緩和がポイント

 卒後1年目の研修を担当する伊東裕子看護師は「ICUで求められる特殊な看護技術は、遭遇する機会が少なく修得に時間がかかります。これを解消するのが『動画』。いつでも学習でき、実践に際しての予習・復習にも活用できます。2018年度から取り入れました」と話します。使用している動画は現在10本程度。すべて伊東さんはじめ教育にかかわるICUスタッフが制作しました。

 「動画による研修は、言葉による説明ではわかりにくい手技を理解しやすくするだけでなく、指導の標準化にもつながります」(伊東看護師)

 もう1つの「シミュレーション」は、事例を学ぶことができるのが大きな特徴です。

 「トラブル事例を多く取り上げています。振り返りを行いながら、グループで話し合うことが大切。記憶に残りやすく、身につきます。ICUでは講義どおりの事例に出合うことはありません。シミュレーションであれば、考え得る問題に対し解決に向けた多様な道筋をたどることができます」

 シミュレーション研修担当の福家寛樹看護師は、実践力が身につくメリットをこう強調しました。

シミュレーションの様子
モニタ管理などデータ収集がポイントになるシミュレーションではシミュレータが使用される

常に受講しやすい研修で臨床対応の向上をめざす

 ICUの研修は、大きく「看護職全員対象」「入職1年目や異動者対象」「2年目対象」「自由参加型」「医師による抄読会」「出張報告会」「クリティカル部門研修」に分けられ、多くが勤務内・勤務扱いです。

 「スタッフが負担なく研修を受けられるよう、また自分に必要だと思われる内容を自由にチョイスできるようにしています」(濱本師長)

 2018年度に入職した鵜飼まなみ看護師は1年目研修を受講中。「さまざまな研修がある一方でマニュアルも整備され、自分なりに見直しができるので助かっています。動画も自由に閲覧できますし、シミュレーション研修ではかかわっている他職種からも対応の実際を学ぶことができます。少しずつですが、臨床に生かせていると感じています」と話します。

 「この研修が完成形ではありません。これからもスタッフの声を大事にしながら、研修を見直していきたいと思っています。何事にも問題意識をもてるスタッフを育てていきたいですね」(濱本師長)

ICUのスローガンを常にネームホルダ内に携帯している写真

ICUのスローガンを常にネームホルダ内に携帯

DATA

公立陶生病院
愛知県瀬戸市西追分町160番地
開設●1936年
病床数●633床
職員数●1358名 うち看護職753名(2019年1月1日現在)
看護配置●一般病棟 7:1 / ICU 2:1
日本医療機能評価機構認定病院/卒後臨床研修評価機構認定病院/地域がん診療連携拠点病院/災害拠点病院(地域災害医療センター)/地域医療支援病院/ DMAT指定医療機関
公立陶生病院の写真


ニプロ株式会社発行:看護情報誌「ティアラ」2019年1月(no.121)より転載

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