第5回 輸液ラインにフィルターは必要?
- 公開日: 2009/7/1
輸液ラインのフィルター
今回は、輸液や栄養のことに興味がある方なら、『興味をもって』読んでいただける内容だと思います。
そう、中心静脈カテーテルの管理上、問題となっている『輸液ラインにフィルターは必要なのか?』という内容ですからね。
しかし、私の中ではずっと以前より結論は出ていて、なぜ、こんなにもめるんだろう、というのが正直な感想なのです。
結論を出す前に、少し、フィルターについての知識も増やしておきましょう。
フィルターにはどんな機能があるのか、ご存じですか?
輸液中の沈殿物や異物、細菌などの微生物を捕えて血液中に入らないようにする、空気塞栓を防止する、という3つの機能があります。
異物としては、混注する時の酒精綿の綿やアンプルカットのガラス片、バイアルなどのコアリングでできてしまったゴム片などがあります。
薬剤相互間の反応でできた沈殿物も重要です。
フィルターがないと、これらが全部体の中に入ります。
使用後フィルターの拡大写真
フィルターの網の目の中に微細な異物が捕捉されている。
フィルターがなければ、これらの異物はすべて体内に入ってしまうことになる。
空気塞栓を防止するという機能も結構重要です。
フィルターについているエアベントの部分から空気を逃がして血管内に入らないような構造になっているのです(第4話:輸液ラインの中の気泡でも説明しています)。
この2つの機能は一般的に意味があると認められています。
でも、本当は一番重要な『微生物を捕捉する』という機能については、CDCのガイドラインの条項を根拠に、意味がないという意見が出てきているのです。
しかし、0.2μmの孔径のフィルターでは、事実上すべての細菌を捕捉することができますし、できるということを条件にフィルターが認可されている、ということも考えておくべきでしょう。