第9回 術後低酸素血症
- 公開日: 2009/12/7
今回は術後低酸素血症 (Postoperative Hypoxemia) について解説いたします。
Q: 術後低酸素血症とはなんですか?
A: 術後低酸素血症は持続性低酸素血症 (Constant Hypoxemia) と反復型低酸素血症 (Episodic Hypoxemia) に大別されます。
持続性低酸素血症とは、術直後から数日間に起こり、動脈血酸素飽和度(SpO2)が持続的に低下した状態で短時間での大きな変化は生じない低酸素血症です。発生原因は麻酔薬の残存効果や鎮痛薬(オピオイドなど)による中枢性もしくは閉塞性の呼吸障害で、開胸手術や上腹部手術では機能的残気量(FRC) の低下も原因といわれています。手術当日~翌日にかけてパルスオキシメータによるモニタリングや酸素投与は、持続性低酸素血症を予防するために行われます。また、SpO2低下が持続する為観察も容易です。
反復型低酸素血症とは4~5%のSpO2の低下が2分以内で反復する低酸素血症で(図1)、術後2晩目以降の夜間(睡眠中)に起こるといわれています。酸素飽和度の低下に伴って心拍数の上昇を認めます。発生原因はレム睡眠のリバウンドといわれています。
Q: なぜ反復型低酸素血症は術後2晩目以降に発生するのですか?
A: 術後2晩目以降にレム睡眠が顕著に増加するためです (レム睡眠のリバウンド)。