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【連載】新型インフルエンザ対策のための感染管理

第2回 新型インフルエンザ・パンデミックに備えて その2

  • 公開日: 2009/4/30
  • 更新日: 2021/1/5
  • # 注目ピックアップ
  • # 感染症

新型インフルエンザの感染対策

個人防護具PPE (Personal Protective Equipment)

たとえワクチンや抗ウィルス薬を十分に準備することが可能でもその効果が確実でないことから、必須の対策は、手洗いと個人防護であると言えます。特に事前の準備(備蓄)と専門知識が必要なのが個人防護具です。

ここで重要なことはリスクに応じて適切な個人防護具(サージカルマスク、N95マスク、手袋、ゴーグル、ガウン、エプロン、シューカバー、キャップ、電動ファン付き呼吸防護具PAPR)を選択し、正しく装着するという事。大は小を兼ねるといった考え方で過剰な防護具を選択すると十分な量を確保できなかったり、息苦しさや暑いといったアメニティの問題が起こり、装着率の低下につながります。

個人防護具PPE説明写真

特に呼吸器防護に関しては、注意が必要です。前にも述べた様に新型インフルエンザの主な感染経路は接触および飛沫感染と考えられているので、通常は不織布のサージカルマスクで対応可能ですが、患者と近接したり、エアロゾルが発生する処置の場合は、空気感染予防策であるN95マスクまたは電動ファン付き呼吸防護具PAPRが必要となります。

N95マスクの装着

N95マスクを導入する上で最も重要なことは自分の顔に合ったマスクを選択すること。フィットテストを実施することにより、どのメーカー、どのサイズが最も自分にフィットするかを事前に知ることができます。フィットテストは正しい装着方法を身につけるトレーニングとしても必須となります。

また、N95マスクはパンデミックが発生すれば、品薄となり入手困難となることが予想されているので、使い回しが可能なPAPRの導入も特に新型インフルエンザを優先的に受け入れる感染症指定病院等は、検討する必要があると思われます。PAPRは使い回しができるだけでなく、強制的にファンで清浄空気を供給できることから長時間の着用が可能であり、フィットテストも不要です。

感染リスクに応じた感染予防・防止対策と保護具

表1. 感染リスクに応じた感染予防・防止対策と保護具 (厚生労働省第8回新型インフルエンザ専門家会議平成20年7月30日)

N95マスクのフィットテスト

使用済みの個人防護具は、汚染されており、防護具そのものが感染源となるため、外す手順が重要となります。ここに空気感染防護具策の脱衣の手順を示します。
前室にて

  1. 手袋を外す
  2. ガウンを脱ぐ
  3. 手指衛生を行う
  4. キャップを外す
  5. ゴーグルを外す
  6. 前室から清浄エリアに出る
  7. マスクを外す
  8. 手指衛生を行う

ポイントは、できるだけ汚染部位には触れないように脱ぐこと、首から上のPPEを外す前に必ず手指衛生を行うこと、適切な場所にダストボックスを配置することです。下記サイトで参考画像を確認できます。ご参照ください。

http://www.micks.jp/ppe/off_ppe_general.html

空調システム

各都道府県で指定されている新型インフルエンザ受け入れ施設および発熱外来の設置指定施設は、特に第一段階、第二段階の初期封じ込め時には、空気感染予防策を設備的に考慮する必要があります。また、第三段階のまん延期においては、全ての医療施設が患者を受け入れる必要があり、他の患者を守るためにもフロアを分ける等の配慮が必要となります。

発熱外来の設置に関しては、空き地にテント等を設営するという手段もありますが、空調や、給排水、電源や医療ガス等、インフラの設備が困難であるため、米国では最近、施設内に設置することを可能とするユニットも提案されています。このユニットで廊下を封鎖することにより、待合室やロビー等の空きスペースを安全な陰圧式隔離空間に変更することができ、発熱外来の設置や患者急増時に専用フロアを創出することも可能となります。

空気感染隔離ユニット廊下封鎖システム

緊急情報!豚インフルエンザ

この原稿を書いている最中に、豚インフルエンザ(Swine Influenza, H1N1亜型)によるヒト-ヒト感染がメキシコ、米国において発生しているとのニュースが飛び込んできました。 大多数が通常の季節性インフルエンザにみられない若年健常者において発症していることから新型インフルエンザが発生した可能性が非常に高まっています。

東南アジアでは鳥インフルエンザ(H5N1型)による死者も続いており、豚インフルエンザの発生はまったくの想定外です。2009年4月27日世界保健機関(WHO)は豚インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)警戒レベルを「フェーズ4」に引き上げました。

十分な注意が必要ですが、このサイトでもこれまで述べてきた様に感染経路がある程度はっきりしていることからその対策はシンプルといえます。抗ウィルス薬のタミフルやリレンザには今のところ感受性を示していることも不幸中の幸いです。医療施設では、適切な患者のトリアージとコホーティング、徹底した手洗いと適切な個人防護具PPEの運用が被害を最少にします。 今後も関連情報を随時掲載していく予定です。

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